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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
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 門を出て東に。もう目の前には森林が見えていて、そこに近づいていく。しかしそれにしても、森が多い、大きい。前にも考えたことがあるとは思うが、本当に自然が多い世界。いかんせん日本、とくに自分のいた地域は自然なんてものはなかった。

 自然のある町、そう謳った町でさえあるのは街路樹程度。自然と同居、そんな文字が翻る町並みを見てかなり不思議に思ったものだ。街路樹と人工の小川、その程度で自然とは。氾濫対策、その名の下コンクリートに覆われた川、開発のために地下に埋められた。道路脇に立つ街路樹は、コンクリートに周りを覆われて根も延ばせない。除草剤が存分に撒かれて子供が遊べなくなった原っぱ。どこをどうみたら自然と共存なのか。つくづく疑問だった。

 今、自分の目の前には森林、人の住む世界との境界線もない。


 ハルニレ大森林、木々はプルミエ大森林と同じなのか、見慣れた光景。気分は探検家、いつかはかなり奥まで入って冷や汗をかいた記憶がある。今は違う、その頃とは。レベルもその頃とは段違い、テンとシェムの他にもガルムも増えた、今だったら上級モンスターであろうと叩き潰す、その覚悟はできている。実力もその覚悟に比肩できるほどまでは高めたつもり。

 ビッグモスの幼虫が時折姿を見せる、非常に懐かしい。新米であろう冒険者が必死に戦っているのを見かけたときには、胸が暖かくなった。


 最低級、低級モンスターを無視しつつ奥に、奥に、奥に。かれこれ40分は歩いたころ、やっと木々の空気、いや森自体の空気が変わる。ビッグモスの成虫もたまに見かけ、フォレストマンティスもよく見る。どちらにしろ今の自分の敵ではない、向かってきた敵だけ狩って先を進む。


 そこから少し、また雰囲気が変わる。原生林、そんなイメージの大樹が並ぶ地帯へ。フォレストオーガが今回の目標だが、そう簡単に見つかるのか。今までの知能のなさそうなモンスターとは違い、魔法が唱えられる程度までいい頭を持つモンスター、戦い方を考える必要もあるのでは。そんなことを思いつつ、歩いていると、ふと木の根元にキノコを見つける。まるで豚の顔のような傘の模様があり、いや遠目で見れば程度のものだが、オーガマッシュルームだろう、アイテムボックスに入れて確認もする。


 その後、オーガマッシュルームを探して3千里、既に6本見つけ、合計7本。モンスターは、フォレストマンティスがメイン、1度だけセンチピードロードがやってきて相当焦った。それでもなんとか討伐し、歩き続ける。

 と、前方奥から人影、周りの木から推測するにかなり大柄な人物が10人近く、慌てて下がる。予感は当たったようで、光が当たり見えた顔は、人と豚を足して2で割ったものをもっと汚くしたような、あれがオーガだろう。4体ほどの塊で行動するのかと思っていたら、10人近く、どう狩ろうか。少し離れつつ考える、こちらは風下、まだ気づかれてはいないようで。

 シェムの煙で麻痺させる、これはいい案だが、問題点が1つ。10体ものオーガを覆うだけの量はだせない、多くて3体かそこらだろう。ではどうするか、空を飛べるシェムには空中から奥のオーガスに対して噴射してもらうことに。その隙にガルムはオーガスの喉元に喰らいついていってもらう。おそらく動揺するであろう集団の前方で、自分とテンが魔法を乱射する、作戦ともいえない様なお粗末なものだが、まぁいけるだろう。


 「シェム、ガルム、話はわかったな?頼むぞ?」

 了承したようで、大きく迂回しながら近づいていくガルムと、空を飛んで枝に隠れながら近づいていくシェム、自分とテンは倒木の影に。


 集中する、シェムとガルムのタイミングに合わせなければ、彼らはオーガの攻撃を受けることになる。まだか、まだか、はやる心。

 刹那、集団の奥を黄色い煙が覆う、振り向くオーガ、その無防備な背中にフレイムランスを乱射する、隣ではテンがフレイムを放っているよう。いくら上級モンスターとはいえ、異常な知恵の値による高威力の炎の槍は辛いらしく、こちらを振り向く数が増えてくる。こちらに来る前にできるだけ消耗させておきたい、MPを考えずにばら撒いていく、中心の一際大きいオーガが指示を出したようで、4体ほどこちらに、あれがオーガリーダーだろうか。こちらに近づききる前に、フレイムウォールを放ち足止め、ダークランスを頭部に投げつけていく。投擲の経験はあまりなかったが、ダンジョンでやってきたことが功を奏したようで、頭部や肩に当たる槍、2体ほど頭部に刺さり、片方は目、片方は頬。目に刺さったほうは脳まで達したのか、痙攣しながら倒れる、非常に気持ちが悪くなる光景、我慢して後の3体に近づき、首をダークソードで刎ねることに。まず頬に刺さった方、大きな掌で刺さった位置を掻きむしっている、意外と知能は低いのか、余裕で首を刎ねる。残りの2頭は、こちらに向かってくるも、片方は顔にフレイムが当たりのけぞる、見逃さずにダークランスを突き刺し、もう1体の振り下ろす剣をダークソードで受け止める。オーガに剣術の嗜みがなくてよかった、上から振り下ろすだけならば、合わせることもできる、そしてダークソードの効果が切れ、支えがなくなりバランスを崩すオーガの首を刎ねる。

 奥では、ガルムが3体目のオーガスの喉笛を噛み千切ったようで、まだ麻痺しているオーガス2体にフレイムランスを放つ。

 瞬間、感じる衝撃、吹き飛ばされ、痛みに眉をひそめる。息がうまく吸えない、見るとオーガリーダーがこちらを見ていて。大きな腕で自分を殴り飛ばした、その考えで間違っていないよう。一番の障害は自分だと判断したらしい、息を整えるのに必死な自分に近づいて、拳をふるってくる。1発、2発、3発、数発はよけきれたが、それでも少なくない数体に当たり、体力は削られる。それでも、こちらも負けじとダークソードを振るい、少し距離が開き次第フレイムランスを放つ。テンはオーガス対処に行ったようで、自分とオーガリーダーの一騎打ち。


 オーガリーダー、大柄肉体、醜悪な顔、筋量はオーガよりも多く見える。恐らく自分が近接武器を扱っていたなら苦戦していたに違いないだろう、しかし違う。オーガリーダーは残念なことに剣を振り回すだけ、魔法は使えないようで、木々を壁にして逃げまどいつつファイアランスを放つ。おおよそ10発程度、延々と隙を見つけては撃ち、すぐ隠れるという作業のあと、オーガリーダーはその巨体を地に倒す。

 動かなくなって少し、近づいてみると、体は焼けただれ、周りにはタンパク質が焼けるひどい臭い。テンたちのほうを見に行く。もっとひどい惨状、血が地面を汚し、周りには喉笛を噛み千切られたオーガス、焼け焦げたオーガ、そしてオーガの首。良家のお嬢様なら一瞬で卒倒しかねない光景、その死体も少しすると消える。オーガからは、オーガの牙、ゴブリンよりも大きい、そんなものがドロップ。オーガスからは、オーガスの牙、ゴブリンよりもこれまた大きい白い牙。しかしオーガのものに比べると一回り小さく、丸っこい。これが雄雌の差だろうか。オーガリーダーの角、これはオーガリーダーの額に生えた角、結構大きい、携帯電話程。意外と弱い、いやこれも相性か。


 その後も狩り続け、オーガのアイテムを集めたところで村に戻る。今日の成果は銀貨7枚、相当稼いだ。

 

 Name: アスカ

 Title:

 Unique Skill: <魔力増大>

 Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル2>、<火魔法レベル2>、<MP回復速度上昇>、<共通語>、<筋力強化>、<俊敏性強化>、<体質強化>、<鑑定魔法>

 Level: 83

 HP: 1900/2800

 MP: 19550/23500

 Constitution: 28

 Wisdom: 235

 Strength: 15

 Intelligence: 235

 Quickness: 20

 Bonus Status Point: 0

 Bonus Skill Point: 1


 テン(ハイ・フレイムスライム) Level:65

 シェム(ハイ・スケルトン・フェアリー) Level:67

 ガルム(ダークウルフ) Level:62

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