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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
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 朝はどこの場所でも変わらない。朝食を食べに食堂へ、一番大きい宿だからか結構人がいる。皆パーティごとに固まっていて、4パーティほどだろうか、ソロは自分だけ。その後歯を磨き体を拭う。この宿は7泊で1銀貨、ディセとかわらない、ライラック王国は価格を固定しているのだろうか。部屋には1人用のベッド、クローゼットに小さな机、これもどこの宿でも変わらないのだろうか。おそらく、ディセにはこれよりランクの高い宿なり部屋なりはあったであろう、ただ価格帯はお察しだったかもしれないが。


 宿を出て、ギルドに向かう。まずはどのような依頼があるか確認、そしていくつか受注してから午前中はこの村を散策しようと思う。昨日は着いてすぐ寝てしまったため、特に探索はできていない。そして、残った時間で大森林へ。ハルニレ大森林へはこの村から歩いて20分、朝10時頃には散策も終わっていることだろう。と、ここで鐘の音、この村は大きいため鐘があり時刻を知らせているそうで、ギルドだと教えられた建物から聞こえているよう。

 

 ギルドは、教会に併設されていて。しかしプルミエのものよりも大きい、流石人が多いからか。FからAランクまでなんでもござれ、ディセに劣らない量の依頼が全てのランクで貼られている。ギルドの受付は男、20台だろうか、聞くと、ここは1日に6つまでしか受けられないそう、モンスターは森から延々とポップするが、依頼を大量に用意するとなるとギルドが、ひいてはこの村が維持できなくなりかねないそうで。それでも利益を度外視して1人組6つまで受けても簡単ことではなくならないほどの依頼を用意しているらしいが。

 依頼を眺める、しかしあまり時間はかけられない、やはりFからCまでのランクに人が多く、それ以上は少な目なのか数は少ない、それなのにBランクの依頼は早くも10枚は剥がされていく。冒険者が多い為。

 ちゃっちゃと目を通して選ぶ、時間が足りなくなるかもしれないので4つほど、


 ・フォレストオーガ3体の討伐 銀貨1枚

 ・フォレストオーガスメイジ2体の討伐 大銅貨90枚

 ・フォレストオーガリーダー1体の討伐 銀貨2枚

 ・オーガマッシュルーム10本の採集 大銅貨80枚


 フォレストオーガは、大柄で醜悪な人型モンスター、ハルニレ大森林の奥地、入口から1時間近く進んだあたりを縄張りにしているそうで、基本的にグループで行動する。フォレストオーガリーダーを隊長として、オーガのメスであるオーガスはオーガに比べて魔法に長けているため後衛を、フォレストオーガを前衛としたパーティ。力も強いため上級中位、下手するとAランク依頼に達するレベルのモンスターだそうで。その分報酬も1体あたりの価格としては破格らしい。注意すべきはフォレストオーガリーダー、メイジは魔法が使えるとはいえ初歩的なもの、リーダーはオーガよりも力、俊敏性共に高く、指揮するだけの知能もあるため1体でBランクの冒険者パーティーを壊滅させうる能力も持っている可能性もあるそうで。

 オーガマッシュルームはただのキノコ、なぜBランクか、それはそれが生える地域はオーガが住む地域だからだそう。見た目も醜悪で、傘が上から見るとまるでオーガの顔の様らしい。


 依頼を受注し、ギルドから教会のほうへ。プルミエよりかは小さいが、一応祭壇もあり、熱心な信者が朝方にもかかわらず祈りを捧げている。ディセにも行ってはいないがあったらしく、この国では一番大きい物だったそう、これはこの教会の神父の談。特に信者でないのに優しくしてくれるあたり、この宗教の神父は随分と優しい人が揃っているようで。

 教会を出て、村を回る。武器屋と防具屋は同じ建物内にあり、2つ合わせてプルミエの防具屋と同じくらいの大きさだろうか、メインは修理らしい。あいにくといまは修理するような防具はないのでミセリコルデを研いでもらうことに。この店は鍛冶師2人が店番をしているようで、片方がカウンターに、もう片方が作業場に。おかげで店の中は非常に熱い。

 「そういえば、ゴブリンの鎌ってアイテムをゴブリンがドロップしたんだが、これは使えるか?」

 ついでにふと思い出したゴブリンの鎌のことも聞いてみる。

 「ほう、レアドロップか、運が良いのか悪いのか、ゴブリンの鎌は素材としてはよくないものでな。武器に使っても何の意味もないわい。強いて言うなら草刈鎌や、調理用ナイフといったところかね。」

 「ナイフが作れるのか、丁度いい、お願いしたいんだが、いつまでにいくらでできる?」

 「そうだな、大銅貨80枚で作ってやろう、鍛冶師しかそれはいじれない分価格が高くてな、オーダーメイドのこの世に1つしかない品になるしの。明日取りにくるといい。」

 「わかった、お願いする。」

 ナイフ1つとしては非常に高いが、それでも折角ならいい物を、アイテムの有効活用もかねて大銅貨80枚を渡す。もっと上位のモンスターのレアドロップになればかなりいいものが出来上がるのだろうか、1種を粘着して狩り続けてレアドロップを狙うのも面白いかもしれないな、と考える。実行できるのはもっと強くなってからだが。

 

 次にいくのは薬屋、といっても中はとくに何の変哲もなかったのですぐ出たが。ほかにも、馬小屋、ここにはまだケーナがいた、八百屋、肉屋など。この世界に来て以来、肉と野菜ばかり食べている気がする。炭水化物はライ麦パン。日本人としては、魚と米が食べたい。八百屋に聞くと、魚はもっと山に近いところか、大きな川のそば、もしくは海近辺でしか食べれないそうで、それを楽しみにすることに。残念ながら、米は知らないそうで、悲しみを背負う、しかし麦を粉末にして水で練ったもの、うどんのようなものだろうか、それはあるそう。この国では食べれないのでその食べられる国を聞いて覚えておくことに。トリスと全国美味い物巡り、それも面白いかもしれないな、やりたいことがどんどん増えていく。

 

 10時の鐘が鳴るころには、もう村を一通り見終わっていて、所詮村、目新しい物はなかった。仕方なく森に向かうことに。

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