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短めです
喧騒から逃げるように、都市へ。まだ、いや当然だろう、ダンジョン踏破の報せは来ていないようで。おかげで楽々と都市の中に入り、ギルド。受付嬢のおばさんは、この時間に戻ってきた自分たちをみて勘違いをしたのだろう、必死に慰めてくれるが、残念ながらそれは無駄に終わる。どうやら、ダンジョンを踏破したものはアイテムボックスにランダムで手に入るアイテムの他に、踏破した証、木の板が入手でき、それを納品すれば依頼達成というわけ。目を見張るおばさん、多少のアクシデントはあったものの、かなり予定より早く踏破できたと、自分たちでも感じている。なかなかどうして、慣れた手つきで作業していく、受付のおばさん、今更ながら報せが届いたようで。
「大変だッ!ダンジョンが踏破されちまった!ダンジョンが踏破されちまったぞぉ!」
「ウソだろッ、また攻略しなおしかよぉぉぉぉぉぉぉ。」
「あいつらか、やれると思ってたぜ、次は俺たちだな。」
「折角安定して狩れる場所見つけたのにぃ!」
悲鳴が木霊するギルド、早くも現実から目を逸らすようにジョッキに酒を並々と注いでいる冒険者も見かけられる、悪いことをしただろうか、ただ自分の目標の為には必要なこと、悪く思うな。
手続きも終わったようで、Bランクの証、銅で出来たギルドカードを渡される。少し、名刺サイズほど、小さくなっただろうか。目標まであと1ランク、Bランクの依頼を100回達成すればいいらしい、この都市には都合のいいBランク依頼がないが。あることにはある、があまりやりやすい物とはいえないそうで、近い場所では、ここライラック王国北部からラセット王国の西部、その北エボニー王国の南端に広がるハルニレ大森林だそうで。他にも、場所はあるが、悉く北上しなければならず、ハルニレ大森林付近の都市ならば400キロほど、馬車で7日ほどだろうか。徒歩で行く人が多いらしく、それだと15日から20日ほどかかるそうだ。道中街道付近で出てくるモンスターは、中級下位程度、そこまで大きな障害でもなさそうだ。
ギルドの酒場で、ランツと祝杯を挙げる、勿論片隅でだ。今日一日で、少しながらレベルも上がっていて、
Name: アスカ
Title:
Unique Skill: <魔力増大>
Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル2>、<火魔法レベル3>、<MP回復速度上昇>、<共通語>、<筋力強化>、<俊敏性強化>、<体質強化>、<鑑定魔法>
Level: 76
HP: 2800/2800
MP: 16450/21000
Constitution: 28
Wisdom: 210
Strength: 15
Intelligence: 225
Quickness: 20
Bonus Status Point: 0
Bonus Skill Point: 1
テン(ハイ・フレイムスライム) Level:58
シェム(ハイ・スケルトン・フェアリー) Level:61
ガルム(ダークウルフ) Level:55
レベルは3つほど、テン達も結構レベルがあがったようで。スキルポイントを使用して、Constitutionを上昇させるスキルを取得、おかげでHPも3000近くに。テン達は、次上位種に進化するのはいつだろうか、60でダメだったということは、30ずつではないことはわかっていてるが。できれば、Aランクになるころには次の上位種に進化させたいものなのだが。
ランツもレベルが上がっていたようで、彼はこの後北上し、エボニー王国に入り、そのまま東北方向に進み、ヴァーミリオン大帝国の東側と一部接している、大陸最東部に存在するウィステリア皇国に行くらしい。ウィステリア皇国で、大陸最強と誉れ高い皇国軍に参加したい、とのことで、明日には出発、これが最後の別れになるそう。
酒宴は2時間ほど続き、かなりの量飲んで、食べた。互いに酒を飲みかわし、半ばへべれけに酔ったところで、お開きに。いつかまた会おう、そう約束して、ランツと別れる。ギルドからの帰り道、夜風が火照った体に気持ちいい、少し酔いも覚めるようで、頭も少しクリアになる。ふと思い出す。アイテムボックスには、ダンジョン踏破の報酬が入っているはずだ、と。先ほどは、詳しく見ていなかったが、確認してみよう。
アイテムボックスには、旧き王家のネックレス、そんな名前のアイテムが入っていて、効果は見えない、いやないのだろう。ただ、出してみると非常に美しい。朱い石、おそらくルビーだろう、が銀でできた台座に乗せられていて、それが革紐で首に括り付けられる、そんな質素な品だが。しかしながら、ルビーは大きく、親指大のもの。これは、トリスにピッタリではないのか、そう思いアイテムボックスにしまう。ランツは、何が手に入ったのだろうか。
防具屋は、また明日だな、と宿屋の暖簾をくぐっていく。




