30
切実に、戦闘面書くの苦手。会話より苦手。
朝起きて、ギルドに向かう。DかCランクの依頼を受けて、ダンジョンに向かう。10階層から17階層付近をうろつき、出会ったモンスターを虐殺して、4時ごろには入口にもどる。ギルドに戻り、依頼の報告と、低級モンスターのアイテムを全て売り払う。中級モンスターのドロップアイテムは、次の日の依頼で使えるかもしれない、そう思ってとっておく。残念ながら次の日に依頼を完遂できる分は狩れるので、取っておいた分はアイテムボックスの肥やしになり売り払うのだが。そのまま酒場で娼婦の声に耳を傾けず酒を飲み、6時ごろになると帰っていく。単調な生活を繰り返すだけ、そんな数日を過ごしていた。レベルも、46まで上昇。ボーナススキルポイントも追加され、新しく<敏捷性強化>のスキルを取得。素早さが5上昇。もう1ポイントボーナスもあるが、突然の入用に備え、取っておく。
Name: アスカ
Title:
Unique Skill: <魔力増大>
Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル2>、<火魔法レベル2>、<MP回復速度増加>、<共通語>、<筋力強化>、<敏捷性強化>
Level: 46
HP: 2000/2000
MP: 15000/15000
Constitution: 20
Wisdom: 150
Strength: 15
Intelligence: 150
Quickness: 20
Bonus Status Point: 0
Bonus Skill Point: 1
数日、この数日で友人はできなかった。どうも自分の戦い方を見ていた人がいるらしく、モンスターを2体使役して、魔法を乱射しながらモンスターを殲滅して歩く、そんな危険人物のような扱いをされていて。故に話しかけてくる人もおらず、一人酒場でワインを舐める作業。魔法を乱射しているわけではないのだが、他の人に比べMPの絶対量が多い為、魔法を使う数が少ない他の人から見れば、乱射しているように見えるのか。
テンとシェムもレベルが結構上がり、現在34と37。結構な高レベルらしく、Dランクの冒険者並みだそうで、これは受付のおばさんの言葉、唯一中のいい人、それも自分が声を掛けられない一因らしい。それに1番の理由が、休まない、この1点だという。他の冒険者は、2、3日に一度ダンジョンに入ったり、連続して入ってもその後数日休んだり、その休んでいる間も酒場で娼婦を捕まえて昼間からやる事をやっているそうで、娼婦も取らず、かといって休みの日を取っているようにも見えない、雨の日でも屋内であるダンジョンには通っているためだろう、夜の街での目撃情報もない、この格好はやはり目につくらしく、それ故関わらないほうがいい、そういう空気になっているそう。自分としては目標、あと5か月でAランク冒険者になり、トリスを迎えに行く、そのために毎日ダンジョンに入っているだけ、娼婦も彼女に遠慮してとっていないだけ、次の日朝から行動する為夜の街にでていないだけで、結構夜も寝ていて休息を取っているだけなのだが。裏でついているあだ名は、ストイックソーサラー、らしい。
そんな今日も、夜明け頃起床する。体を拭い、歯を磨く。右手のミサンガが揺れる、今日は買い物にでかけるのでも、いいかもしれないな、と思いつく。毎日ダンジョンに潜っていたが、1日くらいいいだろう。ディセは、大きな都市であり、市場も大きな規模で、掘り出し物等もあるそう。狩りを続け、レベル上げに執心していたが、トリスへの土産も、少しずつ買って行こうと思いつく。ネックレスは上げたので、リングや腕輪など、全身のアクセサリーを、出会ったときに渡したらどうだろうか。あと5ヶ月、それだけあれば、そのくらい買えるだろう。おそらく、ここ近辺でそれに適した都市はここだけ。故に今日は休憩。
金はここ数日の稼ぎで、銀貨5枚に大銅貨130枚、小銅貨は40枚程度たまっている。宿の更新に、大銅貨100枚必要だが、それはまた10階層から17階層程度まで行軍するだけで1日で手に入る。故に休む人たちが多い、というわけか。
鎧を付けずに、外に出る。宿の目の前にいつも店を、串焼肉だろうか、だしている親父が目を丸くする。
「おまえさん、いつもの鎧の魔法使いだろ?珍しいな、鎧を着ていないなんて。」
「今日は、少し休もうと思ってね。ところで、市場にはアクセサリーは売ってるのかな?」
「ほぉ、今日はこれから天気でも悪くなるのかいな。アクセサリーって、コレか?」
小指を立てつつ、親父は聞いてくる。この世界でも同じなのか。
「うん、そうなるね。だから、女物のかわいいやつ、あるといいんだけど。」
「ほぉぉ、驚くことばっかりだよ今日は。女物のアクセサリーはあるが、市場のは、どこかから流れてきたものだったり、曰く付きのものだったり、色々でね。掘り出し物はあるんだが、安全安心で効果も何もないものは、宝石屋とアクセサリー屋にあるんじゃないか?」
感謝をつげ、立ち去る。効果、ゲームによくあるように、この世界でも、リングやネックレスに、体質を上げる働きだったり、火魔法に対する耐性を、上げる働きがあったりする不思議なものがあるそうで。防具には、本当に稀にしかそんな効果はないそうで、あるのはほぼ武器とアクセサリーにのみ、不思議なものだ。特に、防御性能を上げる働きは、アクセサリーにしかないらしい。しかし、1つ1つが値を張るそうで、高額なものだと金貨が出張ってくるレベルもざらだそうだ。
市場。この都市において、市場は、プルミエのものとは比較にならないほど大きい。どのくらい大きいか、プルミエは市庁舎を囲むように市場があったが、総勢店の数は30ほどだろうか、結構隙間も空いていた。この都市においては、市場だけで1つの区域ができている。おおよそ100ある店舗、縁日の屋台のような形で食料や品物を売っている店もあれば、そこらの農村から出稼ぎに来たのだろう、風呂敷を広げて薬草や果物を置いている店もある。農作物や、食料を売っている店が、おおよそ7割を占める。では、あとの3割は、防具を売っていたり、武器を売っていたり、アクセサリーを売っていたり、雑貨だったり。
その市場を、歩く。10代だろうか、日焼けした小麦色の肌を質素な服で包む農家の娘が売る果物屋、目つきの悪い、フードを被った胡散臭い商人が広げる多種多様なよくわからないもの、色々な店がある中を、農家の娘から買ったリンゴのような果物を齧りながら歩いていく。
武器や、防具、たしかにそういったものに興味はあり、必要なものだが、それはとりあえずはいいだろう。銀貨が6枚分、あるとはいっても、所詮銀貨。今のような、安物の中でも安物のような鎧では困るし、上の性能のものを買いたいが、安い物の中では良い物、それで銀貨50枚ほど、Bランク冒険者までいけば、そのくらい余裕になるだろうか。依頼の報酬も、Bランクになると、1回大銅貨80枚とかそういうレベルらしい、その分難易度は上がるそうだが。それは、Bランクの冒険者が少ないからだそうで、ランクあたりの人数は、ピラミッド型になっているらしく、SSSランクは2人とかだそうだ。
金がない以上、防具を諦め、プレゼントの、アクセサリーにする。宝石屋やアクセサリー屋で、きれいな、効果がついたもの、一緒に旅する日々があることを考える以上、効果付きのものだとより安全なのでは、そういうものを買おうとすると、恐らく銀貨6枚では低性能のリング1つ買えるかどうかの価格だろう。なので、市場で掘り出し物を探す。
この世界には、ダンジョンのほかに、遺跡、そんなものもあるそうで、それらから発掘される古い遺物の中には、絶大な効果があるものもあるそうだ。だが、多くの遺物は未鑑定と呼ばれる、効果も何もわからない状態で発見され、そこに鑑定の魔法をかけることでやっと効果がわかるそうだ、大部分がゴミらしいのだが。故に、未鑑定のものを購入し、鑑定の魔法を込めた札、結構な額がするらしい、それを貼り付け、MPを消費して鑑定し、それで一儲けすることも可能だそうだ。まぁゴミばかりで、鑑定にかかった費用を考えると、大赤字ということが多いそうだが。
他にも、鑑定済みであっても、使い道のないものや、デメリットがあるものなどが、巷に流れ、市場に眠っていることが多いそう、これは先ほどの親父の談、彼も一儲け企んで涙を飲んだ内の1人らしい。
市場を一通り回る、まだ何も買っていない。1周まわって気が付いたことだが、本当に未鑑定品を売っている店は少ない。これだけ店があって、おおよそ5店舗ほどだろう。しかも、未鑑定品を売っている店は悉く怪しい。風呂敷を広げている店ばかりで、つまりは旅をして回っている、ということだろうか。
まず、1つ目の店に向かう。店主は、肥えた親父で、頭頂部が日の光を反射していて、目に悪い。出しているものは、おおよそ武具が多く、未鑑定品と鑑定済みの品、あとは既製品が並んでいる。既製品にしろ、鑑定済みにしろ高価で、自分には手が出せない。未鑑定品は安いと言えば安いのだが、非常に高値を吹っかけられる、市場は言い値で売るようで。まず武具に興味はないので、一通り見て、話と価格を聞いた後、店を後にする。2店舗目は、そのすぐ近くに合った店で、防具がメイン。結果は言わずもがな。
食事をとって、その後いった、3番目の店には、体中に入れ墨をした、少々厳ついお兄さん。アクセサリーが多く、見ようと思ったが、威圧的に対応してくれたため、さっさと撤退。残念ながら、レベル50近くにもなっても、あそこまで厳ついお兄さんには勝てる気がしない。4番目の店は、数が少なすぎて却下。
気づく、未鑑定品、そんな怪しい物を売る店に、まともな店があるはずがなかったということに。時刻は、2時ほど、次が最後の店、店主は最初に見たフードを被った男。風呂敷の前にしゃがみ、品物を見る。今までの店とは違い、フードの男は全く話しかけてこなく、ゆっくりと見ることができる。その店には、未鑑定、と書かれた札がおいてあるアクセサリーゾーンと、危険物、と書かれた札が置いてあるアクセサリーのゾーン、そして何かの粉や、牙など、用途不明のものが並べてあるゾーンの3つに大きく分かれていて。
「この、未鑑定品、ってのはわかるけど、危険物ってどういう意味なの?」
質問をすると、男は、初めてこちらの目を見てきて、
「危険物は、デメリットがあるアクセサリー、武器防具のことをいうんだよ。ただ、うちで扱っているモンを、そこらの、筋力が落ちる、とかそういうチャチなモンだと思うなよ?うちが扱うのは、もっと危ないものばかり。軽い物で、例を挙げるなら、装備すると、しばらく呼吸ができなくなるが、Strengthや、Quicknessの値が10上昇するリング、装備している時間に応じて、体が腐っていくかわりに、Quicknessの値が50上昇するネックレスなんかがある。ひどい物じゃ、死ぬ代わりに、全能力値+100なんてのもある。くれぐれも、買う前に装備しないようにな・・・」
どうやら、相当まずい物らしい。その分、価格は抑えてあるけどな、なんて言われても、買うに買えないレベルのものばかり。仕方ないので、未鑑定品を選ぶことにする。大量に並んだ、アクセサリーをみつつ、聞く。
「未鑑定品の、リングを買おうと思うんだけど、1ついくらかい?」
「兄ちゃん、一儲けしようってか。その心意気、きらいじゃないねェ。だから、サービスだ。リング、3つで、銀貨3枚でいい。」
銀貨3枚、いいものだとしたら、十分儲けものになる価格。
「本当か、なら、買お「但し、危険物から、適当なものを1つ買う、っていう条件付きだ。どうだい?危険物は、普通の店では売れないし、捨てられない。面白いだろう?うちで扱うクラスの危険物になると、捨てられない呪いってのが、掛かってるんだ。売れはするが、買ってくれる奴がいるかどうか。いや何、安心しろ、俺はな、兄ちゃんが将来使うものを、選んでやるよ、なんとなく感覚でわかるんだ、これが俺のユニークスキルだからな。」
「どういう、ことだ?」
「俺のユニークスキルは、<危険物を与える者>、大したものじゃァないよ、1人の未来、そこで使うかもしれない、危険物が、なんとなくわかるのさ。兄ちゃんが、将来、有ってよかった、そう思えるかも知れないものを選べるだけ。まァ、俺が広げている危険物にそれがあるかはわからないがねェ。」
「まずは、未鑑定品を選びな。せいぜい、当たりがでるといいな。」
そういわれ、リングを選ぶ。この世界においてリングは、一種の魔法がかかっているらしく、装着者の指の大きさに自動で変わるので、大きさの心配はいらない。未鑑定品は、色がくすんでいて、故に未鑑定品だとすぐわかる。シンプルなものを3つ、選び声を掛ける。
「ほォう、それでいいのか?まァいい、兄ちゃんが選んだものにケチはつけないよ、さァ、兄ちゃんにはどの危険物がぴったりかなァ?」
男の目が、赤く光る、これが、スキルを使用している最中なのか。自分の隅々まで見つめられている感覚。
「んん?これは面白い。兄ちゃん、いいモンがあるよ。いやァ、これを売る人が現れるとは思ってなかったね。」
そういわれ、渡されたのは、1つのリング。翡翠だろうか、緑の宝石がはめられている、銀色の美しい指輪。しかし手に置いただけで、なんとなくわかる、禍々しさ。
「おっとォ、付けるんじゃないよ、まだ。それは、俺がこの商売を始めたころに手に入れた危険物でね、装備した者の命を吸い取り、アンデッドとして復活させる、そんなものさ。アンデッドになった奴の意識は、生前のまま、何を勘違いしたのか、貴族が、これで不老不死になれると思い込んでねェ。あれは面白かったよ。アンデッドになった貴族は、今までの血色のいい肌が一瞬で青白くなってねェ、一瞬でアンデッドだってわかるようになっちまったのさ。指輪を外せばもとに戻れるとでも思ったのかね、そんなこと意味はないのに。アンデッドになった彼は、人の生き血を欲してね、夜な夜な街に出て、ヴァンパイア紛いのことをしているうちに、本物のヴァンパイア、しかも真祖が来てねェ、情報を流したのは勿論俺だが、それに退治されちまった、というわけさ。真祖は、センスの欠片もない紛い者だって、いっていたよ。どうだい?そんな曰く付きのリング、買うかい?」
「申し訳ないが、金が全部で銀貨6枚しかなくて・・・」
「なら、それでいい、未鑑定品のリング含めて、銀貨6枚で売ってやるよ。このリングは今まで、1度たりとも俺のスキルでは、売れって指示が来なかったんだ、いいさ、赤字なんていつものことだ。」
金銭面の都合、ということで断るつもりが、引き下がられて断るに断れない。まぁ、未鑑定品のリング3つで銀貨6枚という時点でも、相場より安いことは変わらない。
「わかった。銀貨6枚、これで間違いないね?」
銀貨を6枚、袋から出して渡す。今日はもう何も買えない、こんなに使うつもりではなかったのだが。
「いいねェ、その思い切り。結構いるんだ、話を聞いてやめちまう奴が。つまらない奴らさ、人生に一つくらいスパイスがあってもいいだろう?そうは思わないか?」
「ほら、これが商品だ。いやァ、まさかこれが売れるとはなぁ、俺は、こうやって危険物を並べてはいるが、基本的に、俺のスキルにひっかかった奴しか売らないんだよ。得したな、兄ちゃん。いや、本当に得かは、わからないがな。」
クヒヒヒヒ、と笑う、商人の前を後にして、金もないので、宿に向かう。残りの時間は、ミセリコルデを研いだり、防具にこびり付いた血の汚れを落とす作業をしよう、そう思いつつもなんとなく嫌な気分を拭えない。今日は、早く寝よう、そう考えて宿へと歩くのだった。
自分は、知らない、あの商人が、<危険物を与える者>、そのスキルの名前通りの通り名で、有名な商人であることを。そして、別の顔も持っていることを。最後に、あの商人が、去りゆく自分の背中を見ながら、こう呟いたことを。
「いやはや、あのリング、使う時は、兄ちゃんの人生が変わるときだよ。」
そしてまた書き溜めがなくなったので、これからは行き当たりばったりで書いていきます
一応スペルチェック文法チェックはしている上、見直しもしていますが、誤字あったら連絡お願いします
2013-3-12改稿
2012-12-2修正
 




