表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
28/239

28

 

 要塞都市プルミエを出発し、早4日。これから約半年会えない、そうわかっているのに、トリスのことが頭から離れない。決して、あの日あの言葉を聞くまでは、そんなことを考えもしなかった。彼女と自分が結ばれる、そんなことは。人は、ある人から愛情を受けた時、その人に同じだけの愛情を返したくなるという、眉唾物の主張をどこか恋愛相談のサイトで、地球にいたころみたことがある。鼻で笑った記憶があるが、今考えると間違っていなかったのかもしれない。ミサンガをなでつつ、考える。

 現在、自分が乗る馬車はルリコン帝国の中央部の南側を進んでいる。ルリコン帝国は小国だが、治安はよく、街道もモンスターは駆除されていて安全、しいて言えば、危険なのは野盗の類だけだろうか。ここまでの4日は、順調に進んでいる。モンスターは低級程度だが殲滅し、馬も体調がよく、しっかり進んでいるおかげで、予定通りあと6日かそこらで到着できるようだ。

 依頼主と、傭兵とも仲良くなった。行商人である肥えた男は、王都の商人で。今回、ディセに物を売りに行き、向こうで新たな商い口を作ろう、そう野心を持つ男で。そのためディセへの馬車を用意したという。道化師は、マルーン、ルリコン、ローズマダー、そしてローシェンナを回っているそうで、今回、丁度王都で馬車を用意していた行商人に出会い、乗せてもらったそうだ。道化師の服は高いらしく、普段は普通の、農民の服を着ている。弓使いの女は、驚いたことに、エルフで、もっと驚いたのが、道化師の妻だそうだ。元は、ライラック北部の山中にあるエルフの村出身で、ルリコンの都市にいったところで道化師に出会い、一目ぼれしたそう。女と見くびっては行かず、馬車がないときは二人歩いて国を移動していたらしく、道化師のレベルは13と言っていたのに対し、彼女は32もあった。大柄な、ハルバード使いの男は、レベル55、まだまだ初心者、と自称する男で、名をツィアーという。出身はルリコン帝国で、10歳の頃、両親がモンスターに殺害され、流浪の旅に出て、王都で冒険者になり、そこから各地をまわり修行をしている最中だという。今回は、久々に王都の師匠にあった帰りで、傭兵としてこの馬車に雇われたそうだ。

 自分の自己紹介をしたところ、驚かれた。やはり、モンスターを2体使役しているのは、このレベルにしては珍しいらしく、スキルも6つ持っていることに驚かれた。ユニークスキルのことは黙っていた。

 ちなみに、現在の自分のステータスは、


 Name: アスカ

 Title:

 Unique Skill: <魔力増大>

 Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル2>、<火魔法レベル2>、<MP回復速度増加>、<共通語>、<筋力強化>

 Level: 32

 HP: 2000/2000

 MP: 10500/10500 

 Constitution: 20

 Wisdom: 105

 Strength: 15

 Intelligence: 125

 Quickness: 15

 Bonus Status Point: 0

 Bonus Skill Point: 1


 新しく取得したスキルは、<筋力強化>、その名の通り、筋力が強化されるもので、取得した途端、力の値が5増えた。他の人からすれば、5レベル分だが、自分にとっては50レベル分、かなりいいスキルだったように思う。

 テンとシェムは、それぞれレベル24と27、あと少しで上位種だ。早く上位種にしたい、と思う一方、一体どのような上位種になるのか、少し怖いという気分もある。

 

 馬車が止まる、何かと思い顔を出すと、馬に乗った人、5人ほどだろうか、囲まれていた。どうやら、野盗だろう、武器もまちまち、鎧も付けていない、ひげは剃られてもいない。絵にかいたような粗暴さを示す外見、


 「持ちモン全ておいてきな!当然命もだがな!」


 とリーダー格だろうか、1人の男が叫ぶと、他の4人もゲラゲラ笑う。とりあえず、弓使いのエルフと、ツィアーと3人で降りる。


 「おっと、べっぴんさんがいるじゃねーか、べっぴんさんは生かしてやるよ!おめぇら、今夜は宴だぞぉぅ」


 どうやら、中身も粗暴、生かしておくのも勿体ないカスのようで、笑いこけている男たちの一人が、エルフの弓で打ち落とされる。即死したのか、起き上がらない男をみて他の野盗は飛びかかってくる。ツィアーが走りだし、夜盗2人を相手取る、いや、5合ほど打ち合った後、1人は袈裟切りにされる。それを横目に見ながら、シェムの煙で麻痺した男と対峙する。新しく闇魔法レベル2になったことで出現した、ダークランス、ランスといっても手投げ槍のような、それを投擲して殺す。ふと見ると、エルフも弓でもう一人を撃ち殺したようで、その光景におびえたのか、逃げようとするツィアーと打ち合っていた男の背中をツィアーが投げたナイフが突き刺す。


 なんとも他愛のない、魔法使いと弓使いに近接戦闘しかできない男たちが、勝負を挑んだのが悪い。ツィアーはさすがレベル55、野盗なぞ歯牙にもかけない強さだった。

 野盗の死体から、金になりそうなものを、野盗は違法の存在故返り討ちにした場合、襲ってきた野盗の持っていたものは殺した物の持ち物になるそうで、回収して道端に放置、夜の間にモンスターが死体を回収するだろう、先を急ぐ。


 それから7日間、野盗やモンスターを時折返り討ちにしながら、雨により1日、増水した川の前で足止めをくらったものの、順調にルリコンを通り過ぎ、ディセに到着した。

 ディセは、石造りの家が並ぶ農業が盛んな都市だが、周りに森も多く、鉱山もあるそうで、故に活気があり、家々も非常に大きい。なによりも、ダンジョンと呼ばれる迷宮が都市の東側に存在し、そこでレベル上げしに訪れる人たちで潤っているそうだ。その3番目に大きな建物、1番は市庁舎、2番は教会、それはギルドのライオット支部、そこに到達。行商人、道化師、傭兵と別れをつげ、報酬である大銅貨50枚、1つの依頼としては今までで最高の額、食事もついていたので文句もない、受け取ってギルドに入る。


 ギルドはプルミエのものとは違い、酒場が併設されていて、掲示板にはたくさんの。見てみるとほとんどがダンジョン絡み。

 ダンジョンは数多くの階層があり、階層ごとに出現するモンスターが決まっていて、大部分は最低級から中級程度だが、下層には中級中位モンスターがいるそうだ。最下層に辿り着くと-方法は、中級モンスターを討伐したり抜け道があったり、様々-ダンジョン踏破となり報酬がもらえるそうで。今まで踏破したものは、20人ほど、ここ1年でらしい。それまでの階層のモンスターを倒してもドロップアイテムは手に入るので、それに関する依頼が沢山ある、ということだそうだ。ダンジョンは、踏破した者が出るたびに形を変えるそうで、同じ道は二度とないが、モンスターの強さ自体は上級が最高だそうで、故に30人ほど踏破しているそうだ。上級が最高なら、もっと踏破していても、とも思うが、報酬自体がランダムかつそこまでいいものがでないそうで、かなりレアな物もでたこと自体はあるそうだが、本当に稀で、中級中位モンスターを軽く倒せる人たちは、もっと北で、上級下位モンスターあたりを倒していたほうが、経験値的にも金的にもおいしいそうで、それが理由だそうだ。

 酒場で、なんとなく情報を仕入れたあと、宿を探す。小さな、安めの宿を見つけ1週間分払う、100大銅貨。プルミエより安いのは、宿のグレードを下げた、つまり夕食なしなためと、ライオット王国自体が宿に対する税を低くして、価格を下げさせて冒険者をダンジョン付近に囲い込もうとしているからだそうだ。

 10日間、ほとんど洗えてなかった体を水で流し、布で拭い、髪を流す。たっぷりそれに1時間近くかけ、その後は宿でゆっくりとしていた。

2012-11-29修正

2013-3-12改稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ