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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
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時は加速するッ

 そこから3日、7月に入り、日差しが強くなったような錯覚を覚える。連日、プルミエ平原で狩りをつづけ、平原に住むモンスターの習性をなんとなく覚えてきたころ、防具が完成した。

 狩りを早め、2時に切り上げ、要塞都市プルミエに向かう。3時にはギルドに依頼の報告とアイテム売却を兼ねて訪れ、4時には防具屋の前につき、いつもの店員に話を聞く。

 揃った鎧は、全体で15キロに満たないくらいだろうか。ギャンベゾンの下に着る、薄手の服を大銅貨10枚で購入し店員の指示を受けつつも装備していく。まずは薄手の服を着る。その上に鎖帷子が肌と擦れないように、ギャンベゾンと呼ばれる少し厚めの服を着る。皮、これはマッドゴートの皮だそうだ、でできたズボンを履き、そして鎖帷子を着込む。上半身にスケイルアーマーを着て、腕と脛にグリーブを装着する。マントを最後にスケイルアーマーに装着し、完成。店員の手伝いがあって、20分、一人で着たのでは、倍の時間がかかるだろう。こればかりは、練習だなと思いつつ、装着感を確かめる。しっかり採寸されたからか、ぴったりというわけではないが、ぶかぶかというわけでもない。これなら、ある程度まで体のサイズ、主に厚みが変化しても特に問題はないだろう。防具屋内を少し歩き、ジャンプをしてみる。やはり結構な重さがあるゆえか、俊敏性がかなり犠牲になっている。今までのようにすばやく動くことはできないだろう。それでもある程度は動ける。小走り程度はできるだろう、プレートアーマーではこうはならなかったはず、この防具が役立つときは絶対来る、そう信じて防具屋を後にする。

 次にいくのは、武器屋。ステッキを買うわけではなく、今までの戦闘で、モンスターが自分のそばまで来たとき、ダークソードで対応するしかなかった。それでもかまわないといえばかまわないのだが、無限ではないMP、故に剣をもち、近接戦闘はそれでやれたらより魔力の節約になるのでは、と考えたのだ。武器屋には、前に来たときと同じように、大量の武器が並んでいて、頭を悩ませる。

 まず、ツーハンデッドソード、巨大な両手剣、巨大故に重く、恐らく力の値が足りないであろうため、何より両手で扱う必要があるため、没。次にバスタードソード、片手剣と両手剣の間の子の武器だが、片手で扱うには自分には重すぎる、没。エストックは、両手であつかう細長い剣で、刺突をメインに使う、が、片手では扱えるサイズではないので没。

 片手剣、これは日本にすむ一般人がゲームで知っている、ショートソードとロングソード全般で、片手で使うものだが、少々大きい気もする。然しながらこれは候補に入る。レイピア、前述のエストックを短くしたもの。軽量を生かしての摺り切り、刺突がメインの武器だが、細すぎて曲がり、折れやすいため没。

 槍、リーチの長いこの武器は、刺突も、振り回して殴る、という使い方もできる優れものだが、何分超近接戦闘を視野に入れて選んでいるのに態々長物はいらない。パイクなんて持ってのほか。ランスは、非常に重い金属製の武器だが、歩兵で扱うものではない。

 バルディッシュ、長い斧だが、なぜ態々長物を選ぶのか、没。ハルバードは、槍と斧と鉤爪がついた武器だが、臨機応変な戦い方と慣れが必要、なにより長物はいらない、故に没。トマホークは、刃が小さい物の、投擲も可能、そのため候補に。

 ウォーハンマーは、両手で扱う槌、打撃なため、堅固な鎧の相手にも効果がある、が両手武器なため没。メイスは片手で扱えるようにした戦槌、これも候補に入る。

 最後に、短剣と呼ばれるサイズのものたち。ダガーは、リーチが短い物の、投擲に適している剣。ミセリコルデは、ダガーに比べ長いものの、刺突に特化している。この2つはまだ候補に入る、がソードブレイカー、お前はダメだ。モンスターに対する武器を欲しているのに、剣を破壊することを目的とした武器はいらない。

 一通り見た後、候補に残ったのは、片手剣、トマホーク、メイス、ダガー、ミセリコルデとなった。あくまで予備の予備、そうそう使うことはなく、剣術は習ったこともない、投擲の練習なんてしていない、こんな状況で片手剣やトマホークはないだろうと。また、メイスは捨てがたいが、振り下ろすという動作がある以上、刺突メインのダガーやミセリコルデに比べるといざというときの速度で劣るのでないのか。そしてダガーはミセリコルデよりリーチが短い、よってミセリコルデに。刺突、その練習を少しはしないといけないなと思いながら、店員にミセリコルデを1つ用意してもらう。選んだのは、鉄のもの。1本大銅貨35枚。腰につけるための鞘、マッドゲッコーの皮製もセットでついてくる。これはちょうど在庫があったらしく、当日持ち帰り。左腰に装備し、ある程度様になったものだ、と姿見に移る自分をみて満足する。

 武器屋をでて、宿に戻る。時刻は6時の30分前、というところだろうか、そろそろ太陽も落ちようとしている。宿に入ると、女将に、


 「お、ついに防具を装備したのかい。ずいぶんと恰好よくなったものだ、これであんたも見てくれは一人前だねぇ。しかしあんたステッキ持ってるんだから魔術師だろう?鎧なんて着ないでローブを着たらいいのに、あ、あんた仲間いないんだったね、すまないね。」


 最後の部分には嫌味が籠もっていたいたような、そんな気がした。

2012-11-28修正

2013-3-12改稿

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