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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
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 この都市に来て4日目、3回目の朝を、変わらずに迎える。寝起き特有の、不快感のある口を井戸から汲んだ冷水で濯ぎ、寝汗にまみれた体を拭う。大分慣れてきたが、一度はしっかりと体を洗いたい、石鹸を使って。

 そういえばこの世界で、肉や油、皮はどうしているのだろうか。殺すとドロップアイテムが残るのみ、ドロップアイテムにそれらがあり、それを使用しているのか。今まで倒してきたモンスター、猿と芋虫、まぁどちらも食料や布には、日本に住んでいた自分としては、ならないだろう。どこかでここらに住んでいるモンスターの情報とともにそういうことの情報を収集しよう、そう考える。

 衣類を洗濯し、部屋干しをして、食堂へ。今日の朝食は、塩漬け肉とパン、それに野菜が入ったスープ。先程考えた故か、肉の味が気になる。羊のような、臭みもない、塩漬けなのでまぁ当然と言えば当然なのだが。そんなことを考えつつ食事を終わらせ、今晩からの3日分の宿泊費大銅貨90枚を払い、ギルドへ向かう。

 ギルドは、相も変わらず、閑散とまではいかないが、あまり人がいなく。掲示板にも結構な数の依頼が貼られている。ここ数日掲示板を見ていて気が付いたがここのギルドの掲示板には、D、E、Fランクの依頼ばかりがあり、特にEランクが多い。C以上のランクの依頼も一応あるにはあるが、片手で数えられる程度。あとで受付嬢に聞いてみようか、と思う。

 Eランクの依頼を確認する、討伐系が多い。それだけではない、Fランクの依頼は、街中、もしくは南東、南西の森を舞台にしたものばかりだった。難易度が低いからだろう、駆け出しには丁度いいのではないだろうか。しかし、Eランクになると、新しくプルミエ平原という場所で行う依頼が多くある。今まではFランクということで、風呂敷を広げ過ぎないように敬遠していたが、今日は行ってみようと思う。おそらく、いけるのではないだろうか。Eランクとはいえ、南部の森のようにモンスターは最低級のもの、高くても低級ほどが対象だろうと思いつつ、掲示板に目を通し、選ぶ。


 ・ゴブリン2匹の討伐 12大銅貨

 ・ホーンドスネーク10匹の討伐 11大銅貨

 ・ヴィヴィッドラビット4匹の討伐 5大銅貨

 ・ホーンドスネークリーダー1匹の討伐 10大銅貨

 ・5ツ葉のクローバー1枚の採集 30大銅貨


 やはり、朝にきてよかったと思う。依頼内容は、討伐4つに採集1つ。受付嬢に詳しい話を聞くため、番台にもっていく。予想通り受付嬢はいつもの娘さんだ。年頃はいくつだろうか、15歳より若いということはないだろうし、20歳より上とも考えにくいような。欧米系の女の子の年齢はよく見抜けない、あまり見た経験がないのだから。


 「この5つを受注したいのだが?」

 「承りました。5ツ葉のクローバー1枚の採集依頼は、明朝6時の鐘までとなっております。ほかのものは明日の昼12時の鐘までですが、よろしいでしょうか?」

 「了解だよ。質問、いいかな、討伐目標のモンスターに関しての情報を聞きたいんだけど。」

 「承りました。まずゴブリンですが、ゴブリンは人型の最低級最上位から低級下位に位置するモンスターで、大きさは50から80センチほど。基本番いで行動する為、今回の依頼のように、2匹討伐することが設定されている依頼が多いです。多少の知恵を持ち、数が少なめなため、Eランクの依頼としては、モンスターあたりの報酬は高額となっております。」

 「次に、ホーンドスネークですが、最低級中位程度のモンスターで、大きさは30センチほどの角の生えた蛇です。ドロップアイテムである、角を10本持ってきてくだされば依頼達成となります。ホーンドスネークリーダーは、ホーンドスネークの群れを統率する、捩れた角が目印の体長50センチほどの蛇ですね。こちらは、低級下位の力を有しているため、1モンスターあたりの報酬では、Eランク屈指の高さを誇っています。ヴィヴィッドラビットは40センチほどの最低級下位のモンスターです。」

 「ありがとう、それで、なんでこの採集依頼は非常に高額なの?」

 「これは、プルミエ平原には、クローバーの群生地が時折あるのですが、クローバーには、伝承がありまして、5ツ葉のクローバーをその伝承目当てに、下級貴族が欲しているための依頼だそうです。あまりないこともあり、高額報酬となっております。」

 「そうか、ありがとう。」


 その後、少し会話をして、ギルドを出る。別れ際の少女は、こちらに満面の笑みを浮かべていた。この街にきてそれほどの時間はたっていないが、それでも少しは打ち解けただろうか。いつもならこのまま出かけるが、今日は武器を、杖を受け取ってから行きたい。故に、武器屋が開店する8時の鐘まで多少時間があり、いつものパンを購入するついでに少し情報収集。

 どうやら、朝の睨みはあっていたようで。モンスターの内、肉や油などをドロップするモンスターは存在していて、それを使用しているそうだ。ここらでは、ヴィヴィッドラビットがそうらしい。また、Eランクの依頼が多い理由は、騎士王国マルーンの兵士が時折大規模な山狩りをしているため、ここらは安全。故に低級以下モンスターがほとんどだからだそうだ。

 雑談をしているうちに、8時の鐘がなり、武器屋へ向かう。頼んでおいたステッキは、シンプルながらも黒染加工がうまくされている綺麗なものだった。知能の上昇はないそうだが、金属製かつ、安物なので仕方ない。礼を言って、店を出る。

 プルミエ平原は、南部の森に行く最中にある道を曲がり、プルミエの西に行くことでいける平原だそうで、徒歩で40分ほど。大南門をでて新たなフィールドでの狩りを始める。

2012-11-25修正


2013-3-9改稿

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