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またも短いです
なぜ昨日の少年が、まる一日森にいたと思ったのか。それは服装が変わっていなかったからで、中学生が森に入る、そんなインパクトからそれを覚えていた。
少年、中学生くらいの年齢、というのはそこまで間違っていなかったようだ。彼を背負ってプルミエまで歩く。意識のない人間を背負うというのは非常に骨のおれる仕事で、重心を無意識に調整してくれる、ということがない故らしい。結局プルミエまで一時間ほどかかってしまった。
どうやら物珍しいのか、すれ違う人、追い抜く人が奇異の視線、励ましの声を投げ掛けてくるが、手伝う人はいない。どうやら依頼に失敗したパーティとでも思われているのか。
大南門にて、警備兵にことの次第を伝える。
「つまりは、この少年を、南西の森で倒れているところを見つけここまで運んできた、と、いうことか?」
「そういうこと。あのままでは、衰弱死していたのは確実。なにか問題でもあったか?」
「いや、特に問題はない。感謝する。この少年はお前の見た通り昨日都市に戻っていなく、他の都市にでもいったのかと思っていた。」
「そうか、なら、よかった。じゃぁこの少年はどうしたらいい?ここで預かって意識が復活するまで見ていてくれるか?」
「いや、彼は冒険者、それならギルドに悪いが連れていってくれないか?ギルドなら治療もある程度してくれるだろう。」
そう言われ、ギルドに向かう。まだ意識がない、いつ頃から意識を失っているのだろうか、脱水症状などでてないといい。そう考えながら少年を運ぶ。少年を背負った自分をみて受付嬢は少しばかり目を丸くする。大きめのくりっとした目が見開かれる様は見ていて心地が良いような。
ギルドにつくと事情を話し、少年を預ける。
「そうですか。では、こちらで保護いたします。」
これで取り合えずは、少年に関しては終わりだろう。意識が戻り次第、色々質問するそうだ。
そして本題。依頼の達成報告。まずFランクのものを。ネガキノコを10本とアシッドヨモギの葉を15枚わたし報酬を受け取る。合わせて8大銅貨。Fランクの依頼の達成数が、規定数の5回に達したため、Eランクへの昇格の申請をする。特に作業は必要がないらしく、3分ほど奥に引っ込んだ受付嬢からカードを渡される。先ほどまで木の板でできていたギルドカードは、縁を金属、鉄だろうか、装飾されていて。これがEランクのギルドカードだそうだ。Dランクに上がるためには、Eランク依頼15個の達成が最低条件、一気に増えたものだ。これは時間がかかるかと思ったが、Eランクの依頼は、冒険者が無視する最低級のモンスターおよび少量の低級モンスターを目標としたものばかりなためか、Fランクのそれに比べると数が非常に多いようだ。1日5つクリアして、3日、鎧の一部を受け取る、そのくらいだろうか。
次に、Eランク依頼の達成報告をする。証拠としてビッグモスの幼虫の頭殻を5個、フォレストモンキーの尻尾を、3本と7本合わせて10本渡し依頼達成、29大銅貨。Dランクまで、あと12個の依頼をこなせばいい。やはり、朝受けておいて正解だったと思う。
最後に、ドロップアイテムと素材の売却。まず、キノコ類を。ポジキノコはネガキノコと売却額は同じだった、ネガキノコ13本で1大銅貨と30小銅貨、ポジキノコ17本、1大銅貨と70小銅貨、アカミズタマキノコ97本、4大銅貨と85小銅貨、合わせて7大銅貨と85小銅貨。キノコは根こそぎとってこれ、あまり大きな稼ぎではない。労力的には割に合わず、ビッグモスの幼虫を狩ったほうがいいのではないだろうか。次に、ドロップアイテムの売却、ビッグモスの幼虫の頭殻は23個あり、1つ50小銅貨、11大銅貨と50小銅貨になった。羽は、1枚3大銅貨と50小銅貨で、やはり強かった故か、低級下位に位置するモンスターだそうだ。合わせて、14大銅貨と50小銅貨。
依頼の報酬、ドロップアイテムの売却、素材の売却で手に入った金額の総合計は、59大銅貨と35小銅貨。袋の中の金銭と合計し、91大銅貨。明日宿代としてまた3日分、そして明日の昼の分を考えると、明日の道中は素寒貧で行動する羽目、それどころかアイテムも補充できない。明日2日分にしても、所詮自転車操業。一応明日からは、報酬の高いEランク依頼を5つ受けていくので問題はないだろう。そう考えつつ、宿へと向かう。宿で飯を食べつつ、この調子では鎧を全身そろえるのにあと何日かかることだろうか、早急にランクを上げて、高報酬の依頼を受けたいと考える。明日は依頼を受注したら、武器屋に向かいステッキをもらいそれから冒険にでようと考えつつ、今日も睡魔に身を委ねるのだった。
鎧の価格が安いだの、なんだの偉そうに言っておいて、今回の報酬を見るに、すぐ鎧の額までいくのでは、という方も、いるのかわかりませんが、あくまでこの鎧は安物です故。
2012-11-25修正
2013-3-9改稿




