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書き溜めがなくなったので更新速度遅くなります
それでも一日1話は更新したいです
あとプロットに肉をつけないと。
起きたのは昨日と同じくらいの空が明るい時間、昨日と同じように木桶を使って水をくみ、体を拭く。本当は夜にもやりたかったのだが、暗闇の中井戸までいって水をとってくるのは危険だし、できない。忘れなければ、夕食の前に汲んでおこう。あ、宿代が3泊しか払ってない、つまり明日の朝まで、金を今日中にまた大銅貨90枚用意して延長しようと思いつつ、歯を磨く。
やはり、今日の稼ぎにもよるが、手に入れたドロップアイテムは売り払う必要があるのでは、そうすれば金も多少はたまるだろうと思う。朝食は、昨日とほぼ変わらない。さっさと掻き込み、ギルドへ向かう。今日は、先に市場で昨日と同じパンを買っておく。
ギルドに入り、掲示板を見る。昨日と同じ依頼があると、幸せだったのだがほぼなくて。ふと見ると、Eランクにビッグモスの幼虫の討伐依頼が貼られていて。とりあえずそれをはがし、Fランクの欄をぢっと見つめる。昨日3つ成功させたので、残り2つをクリアすれば、晴れてEランクになれる、故に、楽で早く終わるものを探す。結局、今度はネガキノコ10本の採集と、唯一あったアシッドヨモギの葉15枚の採集を受注することに決める。それぞれ、報酬は5大銅貨と3大銅貨、ビッグモスの幼虫5匹の討伐の依頼は、受けて即達成し報酬の大銅貨7枚を即受け取ろうとして考える。もし今もっているFランクの依頼をクリアすれば、Eランクになれるわけで、そのときこの依頼を成功させれば、Dランクに一歩近づけるのではないかと。しかしこんなことはできるのか、という疑問から3つの依頼を受注する際にまた昨日と同じ受付嬢にそれとなく聞いてみたところ問題ないようで、もう少しEランクの依頼を探すことにする。それにしても、受付所運い休みは無いのだろうか。
Eランクの依頼は、Fランクのような配達と採集とは違い、モンスターの討伐と少し危険度が上がっている。探すと、フォレストモンキーの討伐もあり、3匹で大銅貨7枚。よく見るとほぼ重複した内容、7匹の討伐依頼もあり、これは大銅貨15枚。この2つを受注、依頼は一人5つまで、とのローカルルールがあると先ほど言われた、契約事項にはなかった、騙された気分。今日はアシッドヨモギとネガキノコを採集しつつ、適当にモンスターを狩る予定。フォレストモンキーは最低でも4匹倒さねばならないが、シェムとテンに任せてしまおう、と自分は採集一辺倒宣言。4時には帰ってきて、素材を売り払おうと考えつつ、大南門のほうに歩く。そういえばゴブリンの牙は初日1本5大銅貨で売れて、ビッグモスの幼虫の頭殻や、フォレストモンキーの尻尾が同じ価格で売れるなら損ではないか、と気が付く。冷や汗をかきながら、門にいた警備兵に話をきくと、そんなことはなく、ゴブリンは低級レベル、それに加え知能があるため群れて行動し、危険故高いが、フォレストモンキーは最低級中位、ビッグモスの幼虫に至っては最低級下位で、それぞれドロップアイテムは1大銅貨と50小銅貨程度だそうだ。それでは依頼を受けない限り最低級のモンスターを倒すメリットなんてないのでは、と聞くと笑われた。モンスターは、低級あたりから狩らないとMPと武器防具の無駄で普通は放置するらしい。なんとも残念な気分。
そんな気分を振り払うために、今日も冒険へと出発する。
先ずは南東の森、アシッドヨモギをちゃっちゃと採集する、その間はフォレストモンキーの討伐をテンとシェムに頼む。昨日生えている場所は確認してあるので、15枚はすぐに採集できた。テンとシェムを探していると、フォレストモンキーに遭遇、昨日と同じように戦おうとした途端、別方向から発生した黄色の煙に飲まれ討伐されてしまった。彼らの有能さに舌を巻きつつ、召喚者がこれではと落胆、反省。どうやら相当なスピードで狩っていたらしく、既にドロップアイテムを3つ持っていて、これで4つ。依頼の内、3つ、南東の森で行うものは達成した。そのまま街道、まだ来てから2時間も立っていないだろう、故に今は8時ごろか、南西の森に向かう。
ここまで急いだのには理由がある。南西の森でネガキノコに加え、売れるのでアカミズタマキノコもついでに、ポジキノコも一応採集しようと思ったが、昨日根こそぎとってしまった故、もう少し奥にいかねばならないのかと想像していたため。そんな簡単にキノコが生えるとは思えない。しかし予想は裏切られ、ただやはり少なからず影響はあったのか、昨日より遥かに少ない。結局奥地に進むことに。昨日は所詮街道から200メートルも奥まったところまでしかいってはいないが、今日はそれよりも奥、100メートルほど奥まで行って採取しようと考える。100メートルほどでは、あまり森も様変わりせず、少し木が太くなったように感じる程度。ただキノコたちは結構生えていて、1時間ほどしゃがみこんでキノコを採集した結果、ネガキノコ23本、ポジキノコ17本、アカミズタマキノコ97本ほど採集。それに加え腰の痛み、プライスレス。その間にもテンとシェムは狩りをしていたようで、ビッグモスの幼虫の頭殻を5個ほど追加。これだけ売っても、おそらく90大銅貨に届く程度。これではいつまでたっても鎧が買えない。しかし、近辺のキノコはまたも根こそぎとってしまった。もう少し奥に行って、何か採集して売らなければ、そんな欲を隠さず前に進む。
そこから5分ほど歩いただろうか、キノコには目もくれず前に進むと、一気に空気が変わった。凸凹のある、人が整備していない、それ故足場を気を付ける必要がある。一歩一歩の難易度が跳ね上がる、空気は冷たく、そして日の光はより少なく、ほんの少し進んだだけなのにまるで違う森のようで。しかし周りに生えているのは、見慣れてきたキノコばかり。採集すれば金にはなるが、結構疲れるのでもう少し奥に。途中、会うのはビッグモスの幼虫ばかり、頭殻も3つほど増え、森の空気が濃くなる。森は涼しい、日が差さないから、湿気が多いから。シダだろうか、そういうものが時折目につくようになってきた。後ろを振り向けば、自分が通ってきた道がなんとなく残っている。早くも距離感覚が狂い、太陽も見にくく、時間感覚もなくなってくる。テンを左手で抱え、左肩にシェムを載せ、右腕で道を拓く。倒木を乗り越え、遮る枝を折り、時折蜘蛛の巣に引っかかる。気分は探検家、小さい頃見た映画、有名な探検家が、ジャングルの奥地の秘宝を目指す、そんな気分で進む。楽しくなってきた。
空気が変わってから、どのくらい進んだのだろうか。まっすぐ進んでいるのかもよくわからない、帰りは同じ道をたどらなければならないと思いつつ、大切なことを思い出す。 奥には上級モンスターが闊歩していることもあるらしい、と聞いていたのに、結構奥まで来てしまった。そういえばビッグモスの幼虫にしばらく会っていない。彼らにも生存本能はあるだろう。上級モンスター、今あったら確実に殺される、脂汗が一気に滲み出る。周囲の気温が何度も下がったような錯覚。戻ろう、戻って、森林の様子が様変わりする付近で安全にキノコを採集、ビッグモスの幼虫狩り、それでも十分宿代になる、レベルが上がってから出直そう、と道を引き返す。
幸運なことに、道はなんとかわかり、戻る足は少し震えている。それでも結構な距離を戻り、見覚えのある倒木。ここから少しで、森の雰囲気が変わった場所までたどり着けるはず。冷静になって歩いてみれば、相当奥地に進んでいたらしく、なににも遭遇せずに助かった。
安堵し、緊張がほぐれたからか、周りの光景をよく見れるようになっていて。だからだろうか、倒木の端に、寄りかかるようにして座り込む少年の姿を見つけたのは。急いで近寄り、肩をゆする、意識はない。しかし脈は少し弱弱しいがある。肩に包帯が縛りつけてあり、しかし緩めなのか、血が滲み出ている。包帯をとると大きな裂傷、しかし出血の量は傷の大きさに比べると少ない。彼も持っていたポーションを全てふりかけたのだろう、持っていたポーションを、2つほどかける。多少はマシになったか、専門分野ではない故わからないが、包帯できつく縛り止血する。
どうしようか逡巡する、背負って連れて帰ることに。そして彼を背負おうとしたとき、聞こえる物音。振り返ると大きな蛾。体長1メートル半ほど、羽は退化しているが大きく30センチほど、細長い6本の足で地面に立つ緑色の蛾。一目でわかる、これがビッグモス、入口にいた大きな芋虫の成虫だと。この少年はあいつに襲われたのだろうか。どのくらいの強さなのかわからないが、彼を連れて帰るにはどうにかする必要がある。
「シェム、麻痺の煙をタイミングを見て奴にまけ、その後毒だ。テンは動きが止まり次第ファイアを。」
そういいつつ、自分はファイアランスを放つ。ビッグモスは俊敏な動きで避けようとするも、右側の足の内の1本に当たり、動きが遅くなり、
「足が多いと的が増えて大変だな」
≪ダークソード≫
右掌に生成した闇の剣で、その隙に距離を縮めた自分は切りかかる。羽に刺さる剣、しかしそこで止まり、左前足が持ち上がり、右わき腹に衝撃、1メートルほど転がり、ビッグモスを見る。体の表面が所々痛い。木々で軽く裂いたのか、右のわき腹は、脈打ったようで。体力は700/1500、それでも、魔法を唱える。
≪ファイアウォール≫
ビッグモスの足元から噴き出した小さな火は奴の足を舐めるように、奴は火の外に跳ねだして、地面に着地した刹那、黄色い煙に包まれる。シェムの魔法、それを見た自分は、魔法を唱える。
≪ファイアランス≫
火の槍が黄色い煙に向かって飛んでいく、火の玉も横から、テンのだろう、念を押してフレイムも放つ。煙が晴れた時いたのは、体を燃やしつつもなんとか立つビッグモスで、
≪フレイム≫
ファイアより大きい火の玉を、ほとんど反射的にビッグモスに放つ。流石のビッグモスも、地面に倒れ伏した。わき腹が痛む、残った最後のポーションを飲むと、多少は楽になる、体力も1200まで回復。一体ビッグモスは変態することでどれだけ強くなるのか。ドロップアイテムは、ビッグモスの羽、アイテムボックスにしまう。幸い森には飛び火していないようで、燻る地面を踏み、火種を潰した後、少年を抱え、街道へ向かう。
途中幼虫にこそ出会うものの、成虫には会うことはなく、3匹ほど幼虫を狩りつつ、街道へ。太陽は、頭上より西側にあり、つまりは結構な時間森にいたということ。明るい日差しに囲まれ、そこで気が付く、この少年、どこから来たのかと思ったが、昨日森に入っていった少年だと。約1日、森の中にいたのか、よく生きていたなと思いながら、少年を背負い、都市に歩き始めるのだった。
2012-11-24修正
2013-3-9改稿




