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162話目が読み辛く、内容も内容なので本日は2話更新とします
先に162話目のほうをお読みください
隠蔽された事実!都内に捨てられた街の真実 前編
都会に隠された巨大な街の残骸。先日そこからの便りが世間を揺るがした。本誌はその街は何であったのか、何が起こったのか、何故棄てられたのかを追った。
先日、ついに2枚目の手記が発見された。東京第3特区の住宅街、他の特区とよく似た整備された街、その一角にある棄てられた街からの手記だった。
別段凶悪犯罪も、不可解な事件も起きようがない平和な街で何故大事件が頻発してしまったのか。そしてそれがどのような結果をもたらしてしまったのか。筆者は資料と共に実際に現地で取材をすることにより隠された真実を暴いた。
舞台は東京第3特区の閑静な住宅街である。東京の他の特区、ひいてはこの日本の大部分の都市部に広がるそれと全く同じ新興住宅群が広がる街である。別段変わった点はほぼ見受けられなく、碁盤の様に整備された道路に沿うようにして型に嵌めたような量産住宅の家々が並んでいる姿を見ることができる。筆者自身もこれとよく似た2世代前の量産住宅て育った経験があるため、実際に街を歩いてみても懐かしさを感じるような街。数少ない老人は老人用公園施設にて老後の楽しみに励み、子供達は年代別小児用運動児童複合施設にて元気に遊び回っている、全国のそれと全く同じ光景だった。
しかしながら、道路に立って地図を見るだけでこの街の不自然な点を見つけることができる。とはいっても、今までならば気にも留めなかったようなことだ。地図にはこの住宅街の区分けを示す広域図と今いる場所を示す詳細図が描かれている。その中の広域図にそれはある。地図の西側、丁度住宅街の中心区画から2つ左にズレた区画がまるまる進入禁止になっているのだ。(写真2)説明文には読みにくいが「地盤弱体化及び軽微危険警戒区域指定の為再開発中」と書かれている。しかし、この再開発中の場所が今日日本を騒がす問題の発信源となったのだ。
再開発中、つまりは工事中ということだろう。この広域図を見た外部の人はそう考え、そこで思考停止するのだろう。極々普通のことだと思う、私もそう思うのだろうから。しかしながら、その場所に近づいてみるとそれが如何に不自然であったのかよくわかる。再開発中というにはあまりにもしっかりとした白い壁が立っているのだ。(写真3)高さはおおよそ5メートルはゆうにあるだろうか。登れるような出っ張りもなく、所々黒ずんでいて年数を主張している。道路の右側4分の1ほどから白い壁が聳えている。つまり、全く奥がどうなっているか見えないのだ。それに加え、結構な広さ、流石1区画分あるだけはある、しかしながらそこに出入口の1つも見当たらない。数キロメートル平方に及ぶ区域を取材したが、出入口の扉どころか窓のようなものも見つけられなかった。勿論中から工事を行っている音が漏れてくるなんてことは一度もなかった。工事の音も聞こえず、中に入る術も見受けられないのに再開発中とはどういうことなのか。
「特定開発機密及び政府指定最重要機密区域及び進入禁止区域指定の為極秘隠匿事項となっております。」(東京第3特区役所係員の応答より抜粋)
これが本誌の質問に対する区役所の答えである。何の答えにもなっていない、全て誤魔化され、情報を漏らすことはなかった。どんな質問の仕方をしても、最終的にわかったのは壁の中身が極秘隠匿事項第8種に分類されているということだけだった。
では極秘隠匿事項第8種とは何だろうか。法令等の資料を調べたところ、国家機密情報秘匿法に細かな分類がかかれていた。それによると、極秘隠匿事項は第1種から第8種までに分類わけされているそうだ。第1種より順に、防衛機密情報、攻撃機密情報、災害機密情報、技術機密情報い号、技術機密情報ろ号、技術機密情報は号、国家重要機密情報、研究機密情報となっている。それぞれの例は当然ながらあげられていないが、名前より大体の内容を把握することは容易だ。そのなかでもこの壁の中身は第8種研究機密情報に位置していることから、ここには重大な秘密が隠されているのだろう。しかしながら、この区画が指定された背景及び原因を公的機関で確認することはできない。そのため、本誌は様々な情報を元に推測を重ねた。
本誌が壁ができた原因、ひいては進入禁止区域に指定された原因として考えられるのは、あの大規模失踪事件と連続殺人事件だろう。ふとした時から報道が減り、タブーとなったそれにあえて踏み込んでみよう。連続殺人事件は、6年前に発生した凶悪殺人事件である。ある男性が犯人とみられる事件で、都合7人に及ぶ尊い命が犠牲となり、恐らくその犠牲になったと思われる行方不明者も数人でた事件。警察の渾身の捜査により犯人は特定されたが、追跡中に東京第3特区のこの住宅街のある一角での監視カメラの映像を最後に姿が掻き消えた事件。これが原因となりほぼなくなっていた暴行事件や殺人事件が日本全国で急増したという顛末がある未解決事件である。大規模失踪事件に関しては、同じく6年前に発生した未解決事件である。東京第3特区のこの住宅街の一角を中高等学校に向けて登校中であった少年少女100名あまりが一瞬で失踪し事件であり、監視カメラの映像をもってしても犯人の特定はできず、それどころか人為的なものかどうかすら怪しい事件である。またこれに先の殺人事件の犯人も巻き込まれたとみられており、警察は髪の毛1本すら見逃さぬ操作を行ったものの異例の“お手上げ会見”と揶揄された会見を行い操作打ち切りとした。丁度その頃からだろうか、この住宅街の事件が発生した一角から人が他の場所に流出していったそうである。細かい内容としては後編にて詳しく説明する予定である。
「あそこにはねえ、近づかないほうがいいですよ。汚染されてるんです。」(街をよく知る人は語る)
こういった事件を詳しく掘り下げるため、まず本誌はヘリコプターを使用しての上空撮影を試みた。しかしながら、それを理由とする上空航行申請は受理されなかった。また、本誌が様々な方法から入手した壁の中に関する全ての写真はその部分のみ白く塗りつぶされていた。これは日本軍及び政府による撮影妨害がかけられていることを意味し、それだけの機密であることを意味している。
本誌はそこまで調査した段階で上空からの情報収集を断念し、地元住民に話を聞くことにした。1軒1軒インターホンを鳴らし、計100世帯に意見を聞いた。しかしながら、原因とみられる事件に関して詳しく知っている人は既にいなく、8割が事件後に移住してきた家庭だった。残る2割の内、大多数の人々は取材を拒否した。運よく取材に成功した人は本誌だけに有力な情報を教えてくれた。
次号掲載予定の後編に続く
(文 西村寧々)
週刊新都 第246号
新日本国 情報整備省 出版担当課 風説防止部門 検閲結果:不適
 




