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地球編はこの章で終了します
「わたしのかべさん」
東京第3特区大小学校日記コンクール審査員賞受賞作品
東京第3特区大小学校3年へ組13番 清水 誠子
わたしのお家の近くには、大きな大きなかべさんがあります。とっても大きくて、いちばん上までみあげると、首がいたくなってしまいます。とっても白くて、じっと見つめるとお日さまをはねかえしてお目目がいたくなってしまいます。でも、わたしはそのかべがすごく好きです。
わたしのお父さんとお母さんは、毎日朝早くからおしごとにでかけます。わたしが学校にいくのといっしょにお家をでるので、みんなでなかよく手をつないでえきまであるきます。大きなかべさんは、そのときにいつもわたしたちをお見おくりしてくれます。お日さまの光がせなかにあたって、あったかくて大好きです。わたしがそういうと、いつもお母さんはわらいます。ふふふって笑います。お父さんもわたしのあたまをなでなでしてくれます。
学校はすごくたのしくて、毎日毎日みんなと会えるのがたのしみです。たーくんと、まーちゃんとおままごとをして、みんなでおりがみをするのが大好きです。まーちゃんは、いつもつるさんをつくります。たーくんもつるさんをつくるんだけど、いつもまちがえてぐちゃぐちゃになっちゃいます。そうすると、あいちゃん先生がたーくんのおりがみをカメラにかえてくれます。あいちゃん先生はおりがみがじょうずで、すぐにカメラにしちゃいます。あいちゃん先生は、ほかにもいっぱいいっぱいつくれます。ちょうちょとか、ぞうさんとか、すごくじょうずです。わたしもあいちゃん先生みたいな大人になりたいです。わたしは、いつもそこであの大きなかべさんをつくります。むかしはおりがみいちまいでつくっていたけれど、いまはにまいでつくります。にまいだとおおきくて、ぺたんとたおれないつよいかべさんができます。あいちゃん先生はいつもなんでかべさんをつくるの?ってききます。白くて、大きくて、大好きだからだよってわたしはあいちゃん先生にいいます。だって、わたしはかべさんが大好きだからです。まーちゃんもたーくんもとってもとっても大好きだけど、かべさんはもっと好きです。
いつも学校からかえると、お母さんもお父さんもお家にいません。わたしのために、夜までおしごとしてくれています。だから、わたしはいっつもかべさんのところにいきます。お家からあるいてほんのすこしでかべさんにつきます。そこで、いっつもおままごとをします。かべさんのよこはすごくあったかくて、くるまもこなくてあんぜんです。お母さんは、あぶないよと言いますが、お父さんはあぶなくないよと言います。こんなにかんぺきなしゃかいだからだいじょうぶだよってくちぐせです。わたしにはよくわかりません。
かべさんのよこにいると、いろんな音がきこえてきます。とりさんがなく音だったり、犬さんがほえる音だったりいっぱいきこえてきます。でも、なかにはきいたことない音もあります。うぉっうぉっっていうなきごえや、ほうほうっていうなきごえなんてきいたこともありません。お母さんとお父さんにはなしてもわからないといわれます。でも、みんなこえはやさしくて、こわくありません。みんな、けんかしてるんじゃなくてなかよくしてるこえなんです。お母さんはしんじてくれませんが、お父さんはしんじてくれます。どうぶつえんにいるこわいライオンさんとか、おとなりの大きな犬さんがわんわんほえてくるのとはぜんぜんちがいます。みんな、なかよくしようよ、げんきだよって言ってるようにきこえます。わたしは、そのこえが大好きです。かべさんがあって、いっしょにはあそべないけれど、わたしはいっしょにあそぼうっていいます。かべさんがなかったらあそべるのにっておもうときもあるけれど、きっとかべさんがなかったらいっしょにあそべないとおもいます。きっと、わたしはこわくてないちゃうとおもいます。どんなどうぶつさんがいるのかわからないけれど、みえないからたのしくあそべています。
さいきん、お母さんもお父さんもあのかべさんがなくなるっておはなしをしています。わたしにはよくわからないけれど、大人がいっぱいいるばしょがあることもしっています。でも、どうしてなくなっちゃうのでしょうか。わたしは、かべさんが大好きです。できればかべさんをこわさないでください。大好きなかべさんをころさないでください。大好きなかべさんといっしょにいさせてください。わたしの、こころからのおねがいです。




