表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
13/239

13

思うんですよ、ゲームとかだと鎧安いじゃないですか セットでいくらとか 本当はもっとめちゃめちゃ高いんじゃないかって 今回の話でも、これでも安くしたんですよ あとはパーツってのも色々必要だと思うんです 修理とかなんとか

 市庁舎をでて市場を歩き回る。時間はあまりわからない、腕時計みたいなものはないのだろうか。市場を歩き回ってそのようなものがないのか探す。こう見回すと文化水準はどうだろうか、魔法があるためか、科学、化学、それらはあまり発展していないらしい。市場を見渡し、二言三言質問してわかったのだが、腕時計なんてものはないらしい。いや、正確に言えばあることにはあるが、オルケー神が作ったといわれる魔法の力を秘めた石、時計石-金貨1枚と言われた時には倒れそうになった-くらいらしい。ほとんどの人は時計が設置してある塔をみるか、2時間ごとの鐘の音をきいて把握しているそうだ。では都市からでたらどうするのか、日の位置で時間を判断するのだそうだ。早見表みたいなのを売りつけられそうになったので退散したが。オルケー神は非常に万能で、色々なものをこの世界に残したのだ、とのようなことを神官は言っていた。まさかとは思うがあの声はオルケー神のものだったのかもしれない、確かめる術はないが。

 そういうことで時計をあきらめ、先ずは宿を探す。一応今は2時ごろらしいと先ほど聞いたので、早いうちに宿をとっておこうという考えだ。市場を抜けて、店が立ち並ぶ場所に来る。この都市は、環状となっており、南側は住宅街が、北側には商店が立ち並んでいるそうだ。宿も商店街のほうにあるそうで、果たして歩いていると、3~4軒ほど並んでいる。適当に選んで中に入る、選んだのは、ユニコーンの隠れ家、という店。どうやら地球の伝説によく似たモンスターがこちらにもいるようで、エンブレムがユニコーンを模していた。店の中はランタンがついていて、どこでも明かりはこのランタンなのだろう、入口横の受付ではおばさんが店番をしていた。


 「こんにちは、宿を取りたいのですが、1人です。いくらほどでしょうか?」

 「いらっしゃい。1人かね、じゃぁ1泊大銅貨30枚だよ。」


 大銅貨30枚、3000円ほど。高いのか、安いのか、相場がわからないので判別しようがないが、袋から大銅貨90枚をだしてとりあえず3泊分支払う。


 「はい、はい、3泊分90枚ね、たしかに。水浴びは裏の井戸で頼むよ。夕飯は6時の鐘が鳴ったら食べれるからね。8時の鐘が鳴ったらそれ以降はなしだからね、8時過ぎて少ししたら私たちも寝るんだ。朝飯は6時の鐘と共に食べられるよ。昼は出してない。では鍵、部屋は202号室だよ。」


 鍵を受け取り、2階にある部屋に向かいながら考える。この世界のいいところは、時間の数え方に違いがあまりないところだ。1日24時間らしい。暦は、1年が12か月、1月30日で1週が火・水・地・風・光・闇の6日制、地球とは多少違う。ただ、1年365日なのは変わらないそうで、余った5日は年末に休みとしておかれるらしい。今は6月の3回目の地の日。季節はどうなのだろうか、場所によって様々だそうで、原因はオルケー神がそうきめたから、随分とご都合主義な神だ。

 鍵を開け部屋を見てみる、小さ目な部屋。1人用のベッドと机が1つずつ。箪笥も1つあるが、小さ目。部屋の査定はそこそこに、装備を、日常生活の道具を買うため、金はあまりかけられないが、店へと向かう。宿とは違い、店は少ない。武器屋、防具屋、薬屋、その他もろもろ、1種類1軒、全体としては少ない店の数。その分1軒あたりの大きさは広い。

 まずは防具屋、店の中では一番大きいだろうか、内部に入ると、鎧と衣類にわかれている。衣類のゾーンに向かう、下着を買わなければ。しかしこの世界が、中世ヨーロッパの文化水準であるならば、下着など存在しない。貴族か王族、金持ちのみ。平民女性のスカートの中はお察しだった、とどこかで見た記憶がある。果たして、なんという幸運か、下着が売っていた。男女とも同じものなのだろうか、トランクス型で、紐で腰部と脚部を縛る、ドロワーズのような。少し中世ヨーロッパとはここは違うようだ。それを3枚、ちょうどよさそうな大きさのものを購入する。3枚で大銅貨3枚と店の人。1枚100円か。支払い、今度は鎧を選ぶ。魔術師は、基本的に、ローブを着るらしい。何故か。基本的に後衛職である魔術師は、ソロでは行動しない。故に攻撃をくらうことが少ないため、動きやすいローブを身に着け、一応の念のために、要所を守るプロテクターを下に着るのだと、ベスの弁だ。自分には当てはまらないが。ソロで行動する予定の自分は、動きやすさも重要、しかし防御力も捨てられない、故に軽装の鎧を。店員には、自分は短剣を使っていると言ってある。短剣は、刀身が短く、リーチがなく、致命傷も与え辛い、故に手数で、ヒット&アウェイで攻めることになり、重い鎧は適さない。それ故そういっておけば、動きやすく軽い物を選択してくれるだろうと思ってのことだ。

 果たして策は成功し、店員は自分を3つほどの鎧の前に連れてきた。まず1つ、皮だろうか。要所はプレートでカバーしながら、基本的に皮を使用しているため、軽い。非常に動きやすいのだろうが、流石に特化しすぎで、×。次にプレートメイル、頭はないが、店員曰く薄い物だそうで。しかしながら没、重いのだ。魔術師にどうやって25キロほどの鎧を、フィールドアーマーと呼ばれるものは40キロとそれに比べると軽いが、着ろというのか。最後は、おすすめしないんですが、と言われ見せられたもの。黒に染まった鎧を見せられた。こちらの世界では、黒は、あまりいいイメージがないらしく、特に、パーティだと夜間見えづらい、とのことで。ある鍛冶師の気分で作ったが、売れ残っているという。漆黒の鱗を持つ鎧は、いったい何でできているのだろうか。なんてことはない、黒染加工されたスケイルアーマー。此方に、こんなに綺麗に、黒染加工をすることのできる職人がいたのか、魔法の賜物だろうか、少なくとも動きを阻害しにくく、鋭利なものから身を守ることのできるこのタイプの鎧、即決で。売れ残りなので価格も安く、購入するに値する逸品であった。難点は上半身のみ、というところだろうか。腕部と、下半身は、鎧の下部が大腿部まではカバーするものの、脚部は何もない。聞いたところ、これ単体では3銀貨と80大銅貨だが、他の部位をこの店で買うのなら3銀貨と50大銅貨にするという。売れ残りを処分できる上に、他の物も売り、そして固定客にするならばそのくらい痛くない、そういうことだろうか。というわけで脚部も見ることに。グリーブ、色をそろえたいので、黒のものをと頼むと、黒染加工済みのものをいつのまにか持ってきていた。先ほどの鎧に一番似合い、かつ軽めで。しかし衝撃で曲がりそうな安物は困る、選んだところ60大銅貨だそうで、靴は、今は革靴だが、これも必要。しかし鎧でなくてもいいので、皮製の踝までのブーツを頼む、皮が5種類ほど、選べということか。一番しなり、かつ伸びもよい皮、マッドゲッコーの皮を黒に染色を頼み、仕立ててもらう。30大銅貨。店員に、お金がない故また買いに来ると告げ、とりあえずこれだけ。未だ、頭、腕部、グローブ、あとは下に着る薄手のチェインメイルを買っていないというのに大出費。大銅貨37枚となった袋を持ち、完成は1週間後、と言われ外にでる。鎧、舐めていた、こんなに高くつくとは思わなかった。後悔先に立たず、武器屋を見に行く。

2012-11-23 修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ