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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
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 セロに起こされ、見張りを交代し、幌馬車の周囲を警戒する。テンはまだ寝ぼけ眼なのか、腕の中で静かにしている。シェムのほうは、見なければよかった。幌馬車の前のたき火の明かりで、ほのかに照らされ、闇夜に浮かぶ骸骨そのもの。シェムを呼び、肩に乗せ頭をなでる。骨のみの首は、紙粘土のように、少しの衝撃で折れてしまいそうな錯覚に陥る。うれしいのか、手をすり合わせながら羽をはためかせているが、骨なので不気味さが強調されている。


 そろそろ夜明け前、だろうか。空がほのかに色づき、月の時間が終わりを告げる。結局見張り番をしている間、いや今晩まるまる、一度もモンスターは顔を見せなかった。意外とモンスター自体は、この近辺には、少ないのではないだろうか。比較対象などないが。もしかしたら、あのゴブリン達がイレギュラーな存在であったのかもしれない。彼らを起こそうかと思っていたところ、セロが起きだしてきた。自分の前に番をしていたはずなのに一番で起床してくるあたり、しっかりとした、話し方からなんとなく想像はついていたが、そんな人物なのだろうか。適当に挨拶をかわしつつ、食事の準備を始める。セロが食事当番ということで、自分は近くの川に水を取りに行くだけだが。彼らはここからほど近いプルミエの冒険者故か、それとも地図があるのか、小川の場所を知っている。それ故に近いところへの旅なら水分は現地で入手するので十二分に事足りると言っていた。残念ながら、水魔法では飲料水は生成できないようで、小川へ向かう道すがら考える。自分もこれから彼らみたいな冒険者になるのだろうか、誰かとパーティを組み、仲良く-傍目から見て彼らはまるで兄弟のように仲が良く-旅を、依頼をこなしていくことができるのだろうか。この世界の生まれではない自分は、どこかでここの者と違う部分がでてくるだろう。それを包容してくれる人たちと出会えたらいいな、と考える。


 草原を歩き続けて10分ほど、かなり空は明るくなってきた。草原が一瞬途切れ、小川が、本当に小さな小川が、目の前に現れた。これはどうして、何も知らなければ遠くからは草原で隠されている小川が見つけられようか。鍋を水で満たし、セロのもとに戻る。小川を見て、流石にあの大きさでは無理だ、水浴びをしたくなる。かれこれ3日、風呂はおろか水もしっかりと浴びていないのだ。石鹸、あるのかわからないが、それと歯ブラシを入手して、一刻も早く体を清潔にしたい、そう思う。こちらの人々はどうかわからないが、現代人としては1日1回は体を清潔にしたい、当然の欲だろうか。たき火、モンスターからの防衛、などなど考え火魔法をとったが、体を洗うため水魔法を取っていてもよかったのではないか、という悪魔の囁き、既に取得したのだ、後悔先に立たず、とはこのことか。


 戻ると、日が出ていて、他の二人も起きだしていた。軽い食事をとり、出発する準備をする。アルトに聞いたところ、人々は夜は暗く成り次第就寝し、日の出とともに仕事を始めるそうだ。この流れに当てはまらないのは、火魔法、光魔法を使える者たちで、それでも彼らの大部分は朝ほかの人と変わらずおきるんです、とのベスの受け売り。

 荷物をまとめ、いや散らかしてはいないが、幌馬車に乗せてもらい、要塞都市プルミエに向かう。プルミエにつき次第、ギルドに登録する。都市に入るためには、ギルドカード、が必要だそうで、今回は事情を言えば大丈夫だろうと、セキュリティという面で大丈夫なのだろうか。アルトに薦められたので、そうしようと思う。

 そう決心し、彼らと他愛のない話をしつつ、昼ごろには要塞都市プルミエの景観が認識できるようになってきた。塀で囲まれているため中はあまり見えないが、壁の合間から飛び出す大きな塔が見える。あれがプルミエの市長の塔で、なんでも3代前の市長が都市の威信をかけて作成したようで、しかし今では市長の権力の象徴となっているらしい。

 ついに、幌馬車は要塞都市プルミエの大南門についた。

誤字脱字、感想等あったらどうぞよろしくお願いします。

楽しみにしていますので・・・


2012-11-22修正

2013-2-12修正

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