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システム外の蠢き

結城 瞬17歳。

彼は今ベッドの上で天井に手を伸ばしていた。

小さい頃に発症した神経疾患によって、彼の下半身は自由に動かすことが出来なかった。家の外では車椅子。公園で走り回る子供がずっと羨ましかった。

そんな彼の今1番の居場所。それはフルダイブMMO、フリューゲルの世界だった。ドイツ語で翼を意味するそのゲームは広大な土地、様々な職業、自由な生き方が出来る最新のゲーム。

彼はガジェットを手に取ると頭に装着した。


「ログイン」

その一言でガジェットはピッ、という機械音を鳴らして彼の脳の中の視界を白く染め、一瞬にして青空を映し出した。


[プレイヤー名 BLINK]

ブリンク。それが彼の名前だった。瞬くという意味の言葉で、彼はこの世界で現実ではすることの出来ない移動、に強い思いを抱き、この名前をつけた。

ブリンクのステータスは異常だった。まず職業は盗賊。初期職業の中では1番俊敏性の高い職業だ。そしてこのゲームではレベルが上がる事になにかのステータスにポイントを振って強化することが出来る。ブリンクはそのステータス全てを敏捷性に振っていた。体力も攻撃力もないただの早いやつ、それがブリンクだった。


ブリンクの目標は1つ。この世界で走り回ること。普段歩けない状況にいる自分とは違う、走り回る自分を感じること。そのために彼は獲得したステータスポイントも装備も全て俊敏性につぎ込んできた。


今日も今日とてブリンクはとある場所に来ていた。何も無い草原。東には都市が見え西には山脈が見える境の場所。ここはフリューゲルの世界の中の端っこ。誰にも邪魔されずただ走り回れる、ブリンクにとっては公園みたいな場所だった。

いつものようにこの場所ではしりまわる。スキル、加速。盗賊のスキルのひとつで自身の俊敏性を一時的に倍にする。このスキルが発動してる時は攻撃ができないというデメリットはあるものの走り回りたいだけのブリンクにはどうでもいいデメリット。加速のスキルを発動したブリンクは野を駆け回る。山脈エリアのスレスレを走り、ガタガタした岩場もぴょんぴょんとアスレチックみたいに乗り越えて、今日も気持ちいい風を感じていく。そして、最後の岩場をぬけたとき、足元にはこれまでには見なかった穴が空いていた。ブリンクのスピードが早すぎて処理の遅れが発生していたのである。その穴にブリンクは吸い込まれるように落ちていく。

ここが世界の端であること、そのせいで本来入ることの出来ない、システムの壁と世界の隙間。その空間は真っ暗だった。

黒いと言うより何も無い。音もひかりも。しかし存在していたのは、綺麗な床。磨かれたツルツルした石の上にブリンクが落ちてくると、慌てたようにすぐそばにいた二人の男の1人が声を上げる


「雷神の神殿にひとがおちてきたぞ!まずい。早くこいつを始末しないと。」

神官の格好をした2人の頭の上にはNPCと文字が書かれている。この世界に元々存在しているゲームのプレイヤーではない人たち。ブリンクは始末という言葉を聞き、頭を働かせる前に2人から逃げようとその俊敏性を活かして後ずさりする。するとブリンクは床のない真っ暗な場所へ。しかし落ちたりすることはなく、床の方へと強制的に戻される感覚を味わう。

神官の一人がブリンクに向けて手を伸ばすと、ブリンクに向けてなにかのスキルを放つと、次の瞬間何も無い空間の上の方からピカっとなにか光ったと思えば、世界は真っ暗に。


メッセージ:死亡しました。

30秒後に直前のセーブポイントまたは安全地帯に戻ります。


そのメッセージを呼んだブリンクは、理不尽な一撃に驚きつつ、バグの世界が初めてでワクワクしてしまっていた。






「おい、あれ…ライゼル見ろ。あの少年の体に雷神の光が。」

「大司祭様これは大変なことになります。今すぐに彼に呪いを。わたしが試練を与えますので、修練場に復活するようにさせてください。」


ブリンクが最後にいた何も無い真っ暗の空間をみながら神官ふたりは頭を悩ませる。

本来雷とは地面に到達したらそのまま消滅していく。しかしこの空間にはその地面もない。雷がブリンクを殺したあと、留まり続けた雷はそのままブリンクの体のそばで電撃を放ち続ける。そしてブリンクの体はその電撃を体内に宿してしまったのだ。

ライゼルと呼ばれた男はその様子を見て、雷神の力を持つプレイヤーになるかそれとも雷の力を暴走させてしまい世界と身を滅ぼす存在になるのか、少し期待を胸にふくらませてしまっていて。

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