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月待ちの灯(あかり)  作者: しゅう


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常撫子(とこなででしこ)1

主人公 牧野まきの 賢治けんじ

牧野まきの 志津しづ

娼館の女 おおらん

その日、志津は八戸の賑やかな目抜き通りを歩いていた。店先で並んだ色とりどりの手拭いを眺めていると、背後から親しみのこもった声がかかった。


「あら、志津さんじゃありませんか!」

振り返ると、そこにいたのはお欄だった。お欄は、山中工業の騒動の折に賢治と知り合って以来、志津も親しく声をかけるようになった、この街で働く女性だ。いつも通り明るく、華やかな着物を着こなしていた。


「お欄さん、お久しぶりです。お元気そうで。」

「ええ、志津さんも。相変わらずお変わりなく、穏やかなお顔でいらっしゃる。でも、こんなところで立ち話もなんですわね。少しお茶でもいかが?」

二人は、通りの角にある甘味処に入り、席についた。湯気が立つお茶を一口飲んで落ち着くと、お欄はふと真剣な表情になった。


「志津さん、実はね。先日、賢治さんがいかに山がお好きかというお話を聞いて、感心したのよ。うちの稼業の者にも、賢治さんのような浮世離れした方に想いを寄せる娘もいるんです。」

お欄はそう前置きしてから、尋ねた。

「あの、差し出がましいようですが、志津さんはどうして賢治さんとご結婚なさったんですか?だって、あなた様のようなご身分の方が、あの方と、お見合いで結ばれるなんて…世間では、当時、噂が絶えなかったんですもの。」


志津は静かに微笑み、茶碗を両手で包み込んだ。提灯の丸い光を思い出すかのように、その表情は穏やかだった。

「そうでもないですよ。明治の終わり頃でしたね……」

読んでいただきありがとうございます。

今回から、賢治と志津とが結ばれるまでのお話です。

上手に書けたのか不安定ですが、大丈夫だと思い投稿しました。


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