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ゼロから始める軍神少女  作者:
第一巻:入学と弁論編 (だいいっかん:にゅうがくとべんろんへん)
8/76

傷跡の誓約(最適化のみ)

鋭い激痛が、シミアの意識を昏い闇の中から無理やり引きずり戻した。


シミアは猛然と目を開けたが、まだ周囲の光景をはっきりと捉える前に、腰の横から熱した鉄を押し当てられたかのような激痛が走り、思わず冷たい息を吸い込んだ。冷や汗が瞬時に背中を濡らす。


「シミア様!!!」


泣き声混じりの聞き慣れた声が耳元で炸裂し、次の瞬間には温かい手が彼女の手を固く握りしめていた。


「シャル……」シミアの眼差しはまだ少し焦点が合っておらず、もがきながら体を起こそうとしたが、再び襲ってきた激痛に力なくベッドへと倒れ込んだ。


「お動きにならないでください、シミア様!」シャルの真っ赤な眼窩は涙で満ちていた。彼女は怒りと後悔に微かに震える手で、必死にシミアの肩を押さえる。「傷が……傷がまだ治っておりません! また裂けてしまったら、大出血してしまいます!」


「傷」という二文字を聞き、シミアはようやく気づいたように布団の中へ手を伸ばした。腰の上には分厚い布が何重にも固く巻かれており、右の腹部からは焼けるような痛みがはっきりと伝わってくる。


最後の記憶は、女王の柔らかいベッドの上で彼女の震える体を抱きしめ、そのまま眠りに落ちたことだ。


「ミリエル様は?」彼女は無意識に尋ねた。


その名を口にした瞬間、部屋の空気が凍てついたかのようだった。シャルが自分の手を握る力が、猛然と震えたのをシミアははっきりと感じた。


「今、ここには他の者はおりません」シャルは歯を食いしばり、一字一句区切るように言った声には隠しきれない憎悪が満ちていた。「あのような残忍な女に『様』をつける価値などございません!」


シミアはミリエルが最後に自分に言った言葉を思い出した――安心して、私があなたに責任を取るから。


あの時は少し奇妙に感じたが、今の自分の怪我と照らし合わせれば、少し分かったような気がした。


彼女に促され、シャルは途切れ途切れにその後に起こった全てを語り出した。


およそ一時間後、シミアは数人の無表情な侍女に担がれ、まるで荷物を放り投げるかのように宮殿の入り口に捨てられた。その時彼女が着ていた礼服はすでに鮮血に染まり、体には骨が見えるほどの深い傷がいくつもあって、本人もとうに意識を失い昏睡していた。


シャルは全ての魔力を使い果たしたが、それでもかろうじて血流の速度を緩めることしかできなかった。まさに彼女が絶望のあまり泣き出しそうになったその時、長いスカートをまとった紫色の短い髪の魔法使いが、まるで時間を計っていたかのように宮殿の中から走り出してきた。


その見知らぬ魔法使いは極めて熟練した治癒魔法で血を止め、シャルと協力して傷口を処理してくれた。最後に、一人の侍女が真新しい「領主の証」をシャルの手に渡し、魔法使いと共に一言も発することなく立ち去った。


シャルの説明を聞き終え、シミアの脳裏に次第に一つの完全な光景が描き出されていった。


(儀式で失礼を働いたからには、必ず罰を受けなければならない。これは全ての大臣に見せるための「威厳」)


(私に苦痛を感じさせないために、事前に茶の中に人を昏睡させる薬物を入れた)


(私が本当に死なないことを確実にするために、事前に最も腕の立つ魔法使いを待機させておいた)


ミリエルが自分を脅迫した時の、あの恐怖に満ちた震える瞳を思い出した。自分の首に当てられた、あの同じように微かに震える冷たい手を思い出した。


(もし本当に私を死地に置く決心をしていたのなら、絶対に、あのような表情を見せるはずがない。結局のところ、もし私が、あの時本当に殺意を抱いていたのなら、ただ彼女を抱きしめる機会を借りるだけで……)


孤独な女王による、穴だらけで不器用な、暴君を模倣した芝居。


そう思うと、シミアの顔には諦めと理解、甚だしきは少し可笑しいとさえ思う複雑な表情が浮かんだ。彼女は天井を見つめ、まるで自分に言い聞かせるかのように小声で呟いた。


「……本当に見てみたかったわ。彼女が私を打つ時、一体どんな表情を浮かべていたのかをね」


その言葉に、傍らでちょうど彼女の額のタオルを交換しようとしていたシャルの動きが瞬時に固まった。彼女は手を伸ばし、少し困惑したようにシミアの額に触れた。


「おかしいですね。シミア様、熱はございませんのに」


シャルの真剣な顔つきを見て、シミアはツッコミを入れたかったが、最終的には口を開かなかった。このことはシャルには理解できないのだと知っていたからだ。これこそが、彼女ともう一人の「転生者」との間で、傷と鮮血を交換して手に入れた最初の秘密なのだから。


まさに彼女が、この秘密をシャルに打ち明けるべきか躊躇いながら考えていた、その時。


――コン、コン、コン。


軽やかなノックの音が、部屋の束の間の怪異な静寂を破った。

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