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ゼロから始める軍神少女  作者:
第一巻:二つの戦場、二人の将軍 (だいいっかん:ふたつのせんじょう、ふたりのしょうぐん)
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吹雪の中の温もり

春の暖かな陽光が、突如として現れた鉛色の空に完全に飲み込まれた。


何の前触れもなく、大粒の雪がまるで泣き訴える鵞鳥の羽のように空から急降下してくる。猛烈な寒風が甲高い音を立てて唸り、蘇ったばかりのこの森を粗暴に蹂躙し、芽吹いたばかりの緑の葉を枝ごとへし折っていく。これは自然の天候ではない。強引に引き裂かれ、そして氷雪で縫い合わされた、悪意に満ちた領域だ。


「シミア将軍、ご無事ですか? 私の鎧が……動きません……」


ドドリン将軍が率いる最も精鋭の親衛が、今、まるで凍てついた鉄像のように立ち尽くしていた。雪の結晶が彼らの鎧のあらゆる隙間に潜り込み、瞬時に氷と化して関節を固く鎖していた。


「ハハハ、ようやく契約を守ってくれたな、ウルフ!」


十数歩先で、カシウスの狂ったような笑い声が風雪に引き裂かれて途切れ途切れになった。


「シミア様……」シャルは彼女のそばにぴったりと寄り添い、自分の微々たる体温で、すでに感覚を失いかけている彼女の腕を温めていた。


「シミア、シャルを守って!」シメルは全力を尽くして長剣を掲げ、二人を背後から守り、その剣身は体の抑えきれない激しい震えによってぶんぶんと音を立てていた。


「ちくしょう!」トリンドルの指先に一房の意地っ張りな炎が燃え上がったが、形を成したその瞬間、狂暴な風雪に無情にも吹き散らされた。


シミアの目の前は、一面の白い地獄だった。


まさにその時、あの濃くて解けようのない風雪の中に、一つの屈強な影が、まるで神話の中から歩み出てきた巨人のようにゆっくりと鮮明になっていった。


彼は雪を踏みしめてやって来た。しかし風雪はまるで彼を恐れるかのように、その身の三尺手前で自ずと両側へと避けていった。彼は分厚い毛皮の大衣をまとい、右の顔には一本の深紅の傷跡が獰猛な蜈蚣のように這っている。彼はそのまま、全てを凍てつかせるに足るこの領域を無視し、まるで自分の庭を散歩するかのようにカシウスのそばまで歩いていった。


彼は身をかがめ、カシウスと何事か囁き合った。


「……行こう……カシウス……」


まさに彼がカシウスを背負おうとした時、後者はしかし大声で彼を制止した。「待て、ウルフ! シミアを……あの娘も連れて行け! 彼女はこの計画の最も重要な目標だ!」カシウスの指が風雪を突き抜け、シメルに固く守られているシミアを指差した。


ウルフと呼ばれた男が、ゆっくりと、ゆっくりと振り返った。


彼はカシウスを下ろし、歩みを進めた。それは緩慢で重々しく、しかし全てを粉砕するような圧迫感を帯びた歩みだった。


「止まれ!」


シメルは一声怒鳴りつけ、骨に染みる寒さを克服し、あの影に向かって突撃した。しかし彼女がまさに近づこうとしたその瞬間、ウルフは振り返りもせず、ただ無造作に後ろへ手を振った。


人を絶望させる分厚い氷の壁が、何の前触れもなく雪の中からそそり立った! シメルは避けきれず、その体はまるで打ち飛ばされた蝶のように容赦なく氷の壁に叩きつけられ、一つの鈍い巨大な音を立てた。彼女のあの誇りとしていた長剣は手から滑り落ち、斜めに遠くの雪の中に突き刺さり、微かに揺れていた。そして彼女の体はまるで制御を失った人形のように力なく落下し、雪の中に倒れて微動だにしなかった。


「シメル!」シミアは一つの悲鳴を上げた。


「あなたが誰であろうと、私の騎士を傷つけることは許さない!」トリンドルの火の玉が唸りを上げて飛来したが、しかしあの透き通るような氷の壁の前で、まるで山脈にぶつかった蛾のように一筋の波紋さえも起こすことなく無形へと消滅した。


トリンドルは気落ちすることなく、再びあの残り少ない魔力を呼び起こし、さらに狂暴な炎を凝縮させた。しかし、あの氷の壁はまるで凡人の努力を嘲笑う永遠の豊碑のように、微動だにしなかった。


あの男が手を上げると、また一堵の氷の壁がトリンドルとシミアを隔てた。トリンドルは拳で力なく氷の壁を叩き、シミアの名を叫んでいたが、シミアにはただトリンドルの声が次第に遠ざかっていくのが聞こえるだけだった。


シミアは、あの絶えず近づいてくる影を見て、脳内が真っ白になった。


カメル先生の、あの怒りに満ちた訓戒が彼女の耳元で狂ったように響き渡る。「お前は公然と歴史に反対し、伝承を否定する。それは血脈の伝承の力を否定しているのだ! お前はこれほど多くの貴族の学生たちに、彼らの伝承には意味がないと告げているのか?!」


疑いようもなく、目の前のこの突然の吹雪、あの凍てついた精鋭の兵士たち、あの容易く打ち破られた強大な剣士、あの揺るがすことのできない魔法の障壁……この全てが、自分がかつて軽蔑し、唾棄し、甚だしきは「理性」で否定しようとさえした、魔法の力だった。


(シミア、あなたは間違っていた。これは魔法の世界だ。魔法は全てを支配する力を持っている。あなたの戦術も、あなたの知恵も、あなたの全てが、この絶対的な力の前にただ無駄な足掻きに過ぎない。あなたは、あなたの傲慢と共にこの吹雪の中に埋葬されるのだ)


「シミア様! どうか……早くお逃げください!」


一つの泣き声交じりの、この上なく聞き慣れた呼び声が、シミアを自己否定の深淵から無理やり引きずり戻した。彼女はシャルが自分のそばを離れ、遠くへと駆け寄り、全身の力を尽くしてようやくシメルのあの重い長剣を雪の中から引き抜くのを見た。彼女はふらふらと、彼女にとってはあまりにも巨大すぎるあの剣を掲げ、あの痩せた体で自分の前に立ちはだかった。


「シミア様は私の家族です……許しません……あなたに彼女を奪わせはしません!」


「やめて、シャル! あの人は私たちが……」


シミアは猛然と前に飛び出し、シャルを背後から守り、自分の体であの死神のように歩み寄ってくる男と直面した。


「もしあなたの任務が私を連れ去ることならば、どうかもう私の家族を、私の友人を、私の兵士を傷つけないでください!」


彼女の脳裏に、王都を出発してからの様々が一幕一幕、閃いた。自分の努力、自分の足掻き、ミラー様の理解、アルヴィン将軍の微笑み、そして……ミリエルの最後の託付……


(悔しい……本当に悔しい……でも、今の私にできることは、ただ一つ……)


「あなたと共に行きます」シミアは目を閉じ、二筋の熱い涙が瞬時に湧き出したが、滑り落ちるその刹那、刺すような寒風に頬の上で凍りついた。「どうかこの吹雪を止めてください……もう彼らを傷つけないで……お願いします……お願いします……」


彼女は全ての尊厳と抵抗を放棄し、一種哀願に近い様相であの男に向かって深く、深く頭を下げた。


予期していた氷のような打撃はやって来なかった。


代わりに、一双の広くて粗いたこだらけの大きな手が、彼女の頭の上に置かれた。


彼はそっと、彼女の頭の上の積雪を払ってくれた。


シミアは愕然として顔を上げた。一対の……この上なく優しい眼差しと目が合った。


彼は身をかがめ、彼女と視線を合わせた。あの獰猛な傷跡が彼をこの上なく凶悪に見せていたが、しかし彼の眼差しは、記憶の中の父の、あのいつも温かみを帯びた眼差しに酷似していた。


彼の指がただそっとシミアの頬の上のあの凍りついた涙の珠に触れただけで、その氷晶は瞬時に溶け、彼女の青白い頬を滑り落ち、あのとうに風雪に濡れそぼった制服の上に滴り落ちた。


そして彼はそっと、そっとシミアの髪を撫でた。まるで道に迷い傷ついた、脆い小動物をなだめるかのように。


彼は口を開いた。嗄れて磁性のある声が、まるで荒れ狂う風雪を突き抜けたかのようだった。


「戦場は……お前のような小娘が来るべき場所ではない」


「帰りなさい……お前を連れては行かん。お前の友人も家族も、傷つけはせん……」


男は立ち上がり、振り返り、カシウスのそばまで歩いていくと、一気に彼を雪の中から担ぎ上げた。


「待て! ウルフ! お前は彼女を連れて行かねばならん! 彼女は連邦の脅威だ! 我々の敵だ!」カシウスはまだ狂ったように叫び続けていた。


「……わしの契約は、お前を無事に雇い主の元へ送り届けることだ。お前のあの卑劣な野心を実現させることではない」


二人の声は次第に遠くなり、やがて風雪の果てへと消えていった。そして、あの森全体を荒れ狂わせていた吹雪もまた、彼の離去と共にぴたりと止んだ。


温かい陽光が再び雲層を突き抜け、この静寂の森を照らし出した。まるでたった今、あの魂さえも凍てつかせるほどの吹雪が一度も舞い降りたことがなかったかのように。


「シミア様……シミア様!」


「シミア!」


仲間たちの焦った呼び声の中、シミアはもはや支えきれず、その意識は完全に果てしない暗闇の中へと沈んでいった。

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