不完全な現実
燦々と降り注ぐ陽光が王家図書館の巨大な透明の穹窿を突き抜け、温かい光の柱となって室内の隅々まで均等に降り注いでいた。空気中には古い紙と紅茶が混じり合った、人を安心させる香りが満ちている。
ミリエルは着心地の良い普段着をまとって素足のまま、窓辺の大きな肘掛け椅子に全身を丸め、コーナがフラッドの邸宅から探し出してきた書類に目を通していた。
彼女の手の中の古籍には、かの巨獣が落命した後にその体の各部分が、いかにして各国に戦略物資として分配されたかが詳細に記されていた。その中の一頁には、巨獣の骨粉を利用して魔法の影響を遮断する利器をいかにして作り上げるかが描かれていた。
数日前、ミゲル・フラッドが玉座の前であの魔法を容易く切り裂く短刀で自分の魔法攻撃を突破した光景を思い出し、ミリエルは背中にまだ冷や汗が流れるのを感じた。あの貪欲な表情、あの空っぽの牢獄、あの忽然と消えたフラッド……全ての謎は今に至るまでまだ答えが出ていない。
――コンコンコン。
ちょうど彼女が少し休憩しようと思った時、戸外からノックの音が聞こえてきた。
「女王陛下、わたくしです、コーナです」
「お入りなさい」
ミリエルは体を肘掛け椅子に深く沈め、頭を仰向けにして温かい陽光に身を包まれながら、この得難い束の間の休息を楽しんでいた。
コーナは慎重に扉を押し開け、手に最高級の蝋印で封をされた手紙を持ち、足早にミリエルのそばまで歩み寄った。
「ミリエル様、前線からの戦況報告です」
「うん……少し疲れたわ」ミリエルは目を閉じたまま、声に一筋の気だるさを滲ませた。「読んで聞かせて」
コーナは机の上のペーパーナイフを手に取り、手慣れた様子で封筒を切り開き、中の手紙を取り出した。
「アルヴィン将軍より女王陛下へ。二週間にわたる激戦の末、現在、辺境地域の戦況は次第に安定しつつあります。我が軍は千人の死傷者を出す代償を以て、敵軍に少なくとも三倍の損害を与えました」コーナは一息置き、ミリエルのまるで眠ってしまったかのような様子を見て続けた。「中でも最も目覚ましい活躍を見せたのは、紛れもなくシミア・ブレンでございます。女王陛下がご信頼なさるこの指揮者は、彼女の敵軍の戦略的意図に対する的確な判断、そしてあの神業としか言いようのない『空城の計』が、我が軍が最終的な勝利を収めることができた礎でございます。この他にも、彼女はエグモンド、ケント、そしてフォークナーの三大家族を見事に団結させ、議論の余地なき功績を上げました」
ミリエルの閉じていた睫毛が微かに震えた。彼女は細く目を開け、コーナの視線と合うと、二人は顔を見合わせて微笑んだ。
「最初からシミアさんが勝利することを信じておられたのですね?」
ミリエルはゆっくりと体を起こし、机の上のとうに淹れてあった紅茶を手に取り、小口で味わった。
「ただ……一つの推測があっただけ」彼女の声は軽く、まるで独り言のようだった。「もしかしたら彼女は、私と肩を並べられる人物なのかもしれないと。彼女のあの残酷で正確な構想を、私は夢の中でいつか目の当たりにしたことがある。彼女ならどんなに不利な条件でも勝利を収めることができる。彼女は私たちとは違う。この世界の知識に縛られず、誰もが見ることのできない盤外のものを見ることができる」
ミリエルは茶杯を置き、その目に一筋の複雑な光が閃いた。
「彼女は天才よ。でも……彼女もまた、孤独な人だわ」
コーナの顔に優しい笑みが浮かんだ。彼女から見れば、その言葉はシミアを形容するというより、むしろ目の前のこの同じように孤独な女王様を形容しているかのようだった。
「コーナ、手紙を読み続けて。そこでにやにやしないでちょうだい」
「は、はい……二週間以来、我が軍は勇猛果敢に戦い……」
「その段落は飛ばして」ミリエルは少し苛立ったように彼女を遮った。「私が何を聞きたいか、分かっているでしょう?」
コーナの頬がわずかに赤らみ、さらに下へと読み進めていった。しかしすぐに、彼女のあの元々軽やかだった表情が、ある一文によって少し揺らいだ。
雰囲気の変化を感じ取り、ミリエルは直ちに肘掛け椅子からまっすぐに座り直し、コーナの手から手紙を受け取った。彼女はすぐにコーナを動揺させた段落を見つけ出した。
……観摩団を率いていた教師カシウスの反乱、及びその学生シャルに対する誘拐事件により、我が軍は同時に二手に分かれざるを得ませんでした。そしてほぼ時を同じくして、春爛漫の辺境に何の前触れもなく三日間にわたる猛吹雪が舞い降りました。情報によれば、これは疑似的に『天災』の一つ、鋼心連邦『冬狼』傭兵団の『白王』ウルフの仕業であるとのこと。この吹雪は完全に我が軍の追撃の可能性を断ち切り、またシミア嬢が計略を以て包囲したカシウスを重囲から脱出させる結果となりました……
……敵軍がすでに甚大な損害を被ったことを鑑み、我が軍は現在、朝廷への帰還を準備しております。学生観摩団も同様の手配といたします。ただ、トリンドル・エグモンド様を筆頭とする方々が、大部隊から離れエグモンド家の邸宅に数日間仮住まいしたいとの申し出がございました。エグモンド家がこの度の戦争において功績があったことを考慮し、加えてシミア嬢ご本人の承認もあったため、属下としては拒否し難い状況でした。彼女たち数名の安全は一時的にエグモンド家に移管されることになります。陛下のご諒解を賜りたく、お願い申し上げます。
ミリエルは手紙の最後の数行を凝視し、あのいつもは水の如く静かな銀色の瞳に、一筋の氷のような独占欲の混じった炎が燃え上がった。
(トリンドル・エグモンド。あのいつもシミアにまとわりついている小狐。彼女の家で数日間泊まるですって?)
彼女が手紙を握る手は無意識のうちにきつくなり、指の関節が力を入れたせいでわずかに白くなった。
「戦争に勝ったのは良いことではありませんか。そんな恐ろしい顔をなさらないでください、ミリエル様?」コーナはミリエルの瞬時に陰鬱になった顔を見て、心配そうに尋ねた。
「え?」ミリエルははっと我に返ったかのように直ちに手を緩め、その顔の危険な表情も瞬時に消え、代わりに一種わざとらしい軽やかな、少し意地を張ったような口調になった。「コーナの言う通りね。ふん、彼女に外で数日遊ばせてあげましょう。どうせ……どうせ彼女は、最後にはいつも私のそばに帰ってくるのだから」
「ミリエル様、何を、おっしゃっているのですか? 重点はあの『白王』ウルフのことではないのですか?」
その時、ミリエルはようやく我に返ったかのように、再び視線を、手紙に向けた。
「戦略級魔法師……ですって?」彼女は小声で呟き、その顔の軽やかさは完全に消え、代わりに一種未だかつてない、未知の強敵に対する険しい表情が浮かんだ。「これもまた……侮れない相手のようね……」
彼女は手紙をゆっくりと机の上に置いた。
「でも……とりあえず、王国も、しばらくは休息できるでしょう」
彼女は再び肘掛け椅子にもたれかかり、目を閉じ、まるで何も起こらなかったかのように。
「そうだわ、コーナ。紅茶はいかが?」
「あ……はい!」
二人は久々の、お茶を飲みながら雑談できる午後を過ごした。