籠城の女王様
玉座の大広間は、空気が凍てついたかのようだった。
冷たい大理石の床が、高い窓から差し込む蒼白く空虚な光の柱を映し出している。緊急に召集された領主たちは、命のない石像のように広間のあちこちに散らばっていた。彼らの顔に浮かぶ隠しようもない当惑と不耐が、この空間を息の詰まるような圧迫感で満たしていた。
そして、すべての視線の焦点は、玉座で泣きじゃくる少女一人に集中していた。
「うぅ……ううぅ……」
彼女の美しい銀色の髪が、体の激しい震えと共に乱れて揺れる。華麗な絹の袖を無造作に持ち上げ、何度も、ほとんど悪ふざけのように、次から次へと眼窩から溢れ出す涙を拭っている。その抑えられた途切れ途切れの泣き声が、だだっ広い大広間に響き渡り、何とも言えぬほど物悲しく聞こえた。
コーナは玉座の後方の影に立ち、体の前で両手を固く握りしめていた。爪が掌に食い込むほどだ。彼女は、前に駆け寄り、その小さな君主を胸に抱きしめたいという衝動を必死にこらえていた。彼女の視線が玉座の下の領主たちを掃うと、心の中は氷のような怒りに満たされた――彼女が見たのは、君主の危難を憂う臣下の姿ではなく、「やはりな」とでも言いたげな、侮蔑の入り混じった露骨な感情だった。
「うぅ……ルルト家は……わたくしを……うぅ……ないがしろには……していなかったのに……」ミリエルの声は嗚咽で途切れ途切れになり、少女特有の、胸が張り裂けそうな無力感に満ちていた。
事態が急転したのは、今朝のことだった。ルルト家が「君側の奸を討ち、辺境を守る」という名目で、悍然と私兵を集結させ、迅雷の勢いで王宮を包囲したのだ。今や、城壁の外は鬨の声が天を震わせている。女王陛下は城内の全領主を緊急に召集して対策を協議しようとしたが、会議が始まる前に、玉座の君主自身が、まず崩れ落ちてしまった。
(嘘でしょう……)
コーナは、ミリエルがこれほど純粋に、何のてらいもなく泣くのを、初めて見た。
(おかしい)
コーナの脳裏に、数日前の深夜の図書館での光景が、否応なくフラッシュバックした――同じこの顔が、燭台の光に照らされ、冷静に王国の財政赤字を分析していた。あの銀色の瞳に輝いていたのは、最も抜け目のない商人に匹敵する、鋭く理性的な光だった。
あの、人を射抜くように鋭い眼差しをしていた女王様と、目の前でわんわん泣いているこの少女が、どうして同一人物でありえようか!?
「うぅ……ううぅ……」
「バ、バセス将軍……」ミリエルは泣き腫らした目で、最前列に立つ老将を見つめた。その眼差しは、まるで土砂降りの雨に濡れた、家なし子猫のようだ。「うぅ……エグモンド家は……どうか……どうか、反乱軍を討伐する兵を、出していただけませんか?」
エグモンド家を代表するバセス将軍は片膝をつき、その声は盤石のように落ち着いていたが、一片の感情もこもっていなかった。「陛下にお答えいたします。我が主家の主力はことごとく辺境に出払っており、王都には……とても余分な兵力はございません」
「……では、フラッド様……」女王の視線は、今度は無力そうに、もう一人の権勢並ぶ者なき十階領主、ミゲル・フラッドへと向けられた。「ううぅ……忠実なるフラッド家は、わたくしを、助けては……くださいませんか……」
ミゲル・フラッドは大げさに頭を掻き、顔に「これは困った」というような為難い表情を作り、同じく片膝をついた。「陛下、ご存じの通り、わがフラッド家の領地は南方の農業領にございます。今、王都が包囲されている状況では、たとえ今すぐ人をやって兵を動かしたとて、遠水は近火を救えず、といったところでございましょう」
その後も、ミリエルは泣き声交じりに、ほとんど哀願するように、その場にいる全ての領主一人一人に尋ねて回った。しかし、得られた答えは、例外なく、いかにももっともらしい、様々な口実ばかりだった。
コーナは目の前のこの茶番劇を見ながら、心の中の奇妙な感覚がますます強くなるのを感じていた。彼女ははっと気づく。女王が今朝書き記した召集名簿は、あまりにも……都合が良すぎる。召集されたのは、ほとんどがフラッド家と関係の深い農業領の貴族であり、伝統的な中立派や、ここ数日の秘密の謁見でミリエルに忠誠を誓ったはずの家々は、一人も招かれていなかった。
これは御前会議というより、むしろ……周到に準備された、人心の公開処刑のようだった。
時間だけが刻々と過ぎていき、女王の泣き声は次第に小さくなり、無力なすすり泣きへと変わっていった。そして、領主たちの忍耐も、明らかに尽きかけていた。ついに、ずっと沈黙していたミゲル・フラッドの目に、見逃すはずのない鋭い光が宿った。彼は、まるで熟慮の末であるかのように、突然顔を上げた。
「陛下!」彼の声は誠実さと悲痛に満ちているように聞こえた。「王都の危機を目前にして、臣下としてこれ以上座視はできません! どうかご命令を。直ちに城を出て、我が軍を召集し、救駕に馳せ参じることをお許しください! たとえこのフラッド家の全てを賭してでも、必ずや陛下の為に、これらの賊を掃討してみせましょう!」
その言葉は、まるで溺れる者に投げられた一本の救命綱のようだった。
「うぅ……フラッド様……あ、あなたの、忠実なるフラッド家……」ミリエルは最後の望みを掴んだかのように、支離滅裂に言った。彼女が涙に濡れた顔を上げ、フラッドを見たその瞬間、コーナは自分が見間違えたのかとさえ思った――女王の、涙で潤んだ瞳の奥で、まるで氷のような光が、一閃したように見えたのだ。
だが次の瞬間には、あの脆さと依存心が、再び彼女の顔を覆っていた。「よ……よろしい……わたくしは王都で……あなたを待っています……」
「では陛下、一刻を争いますゆえ、臣下はこれにて失礼し、直ちに手配に移らせていただきます」
「ええ……ええ……」
女王はすすり泣きながら、その真っ赤な目で、ミゲル・フラッドを筆頭とする領主たちが、満足げに踵を返して去っていくのを見送った。
最後の領主の姿も大広間の戸口から消えた時、玉座の間は、瞬時に静寂に包まれた。
「ミリエル様、ご無事ですか? わたくしが……」コーナはついに堪えきれなくなり、足早に玉座の前まで進み出て、用意していたハンカチを取り出し、君主の顔の涙を拭おうとした。
しかし、彼女が顔を上げた時、見たのは、彼女が今まで一度も見たことのない、ミリエルの顔だった。
涙は、まだその精緻な顔に残っている。
しかし――
ついさっきまで無力さと恐怖に満ちていたはずのその双眸が、完全に変わっていた。
そこには一片の温度もなかった。氷のように冷たく、空虚で、まるで命のない石塊を見ているかのようだ。彼女はもう震えてもおらず、すすり泣いてもいない。ただ静かに玉座にもたれかかり、まるで完璧な、感情のない人形のようだった。
彼女の口角が、ゆっくりと、ゆっくりと、弧を描き始めていた。
それは、狩人が、獲物が罠にかかるのを見る時にだけ見せる、あの笑みだった。