雪融けと少女たちの決意
ロースアンの街は、今日、素晴らしい天候に恵まれていた。 冬の陽光は、まるで大地に金色の衣装をまとわせたかのようだ。積もった雪はまだ溶けていないものの、その厚さは外出にちょうど良い程度に収まっている。
そのため、シミアとシャルは、宿屋から近くの商店街へと足を向けていた。
しかし、滅多にない好天にもかかわらず、シャルの顔からは憂いが消えない。「シミア様は、どうお考えなのですか、あの件について」
シミアの心には、もちろん気がかりなことはあった。だが、現段階では、安易にミルドレッドに拝謁する理由もない。正直なところ、シミアは王国領主学院への就学について、少し迷っていた。
「原則として、学院への就学は必須ではないのだけれど……」
ミルドレッドがわざわざ、自分を助けてくれた近衛魔術師のマキル・ハイムを遣わして知らせてきたことを考えると、それはミルドレッドが自分の入学を望んでいるということではないだろうか。シミアの迷いには、この一層の理由もあった。
王国領主学院とは、すべての貴族領主および相続人のために開設された学院だ。学院は領主学院と護衛学院に分かれている。文字通り、領主学院は王国の未来の領主の能力を育成するための場所であり、護衛学院は領主を補佐する様々な人材を育成するための場所である。
領主階級の最下層であるシミアは、当然ながら領主学院に入学する自由があった。非常に魅力的だったのは、領主が領主学院でかかる基本的な費用は王家が負担するということだ。しかし、気がかりなのは、シミアには上流社会と付き合った経験がまったくないことだった。両親からは多少の礼儀作法を教えられていたものの、その学びは一年前に両親の死と共に唐突に途絶えてしまっていた。
それ以来、少し裕福な一般人として生活してきた。シミアは、誰がどう見ても、自分に貴族の教養があるとは思えないだろうと感じていた。
「でも、逆に言えば、これも学びの機会だわ」
通常、すでに領主となっている者が王国領主学院に入学することはできない。今回の失態が、かえって自分にこのような機会を与え、この世界のさらなる知識を学ぶことができるのだ。
もし王都を離れたら、今後、シミアがこれほど多くの知識を学ぶ機会を得るのは、おそらく困難だろう。
「あのですね、私が言いたいのは……本当に分かっているのですか? ブレン様を殺害した者たちと、近距離で接する危険性を」
シャルの声は非常に小さかった。公共の場でそのような内容を大声で話すことが、どれほどの災いを招くか、彼女はよく理解していたのだ。
だが、はっきりと聞き取れたシミアにとっては、それはまるで重い一撃を胸に叩き込まれたかのような衝撃だった。
シミアの心によみがえったのは、自分の前世の記憶――自分を捨てた両親、虐待した親戚、裏切った同級生、見捨てた教師たち。
「あの頃に比べたら、もう十分に幸せよ。ありがとう、シャル」
シミアの顔には、幸福と感謝の念が浮かんでいた。
「では……」
しかし、シャルの期待に満ちた眼差しは、望む答えを得られなかった。
もしシャルと二人で平凡に生きていけるのなら、シミアにとってそれは非常に魅力的な選択肢だった。
たとえいつか一階領主でなくなったとしても、二人の努力次第で、きっとどうにかなるだろう、と。
「でも、もし私の目標がここで止まってしまったら、きっと幸せはゆっくりと失われていってしまう。もし私がもっとたくさんの力を手に入れられたら、私たちの選択も、未来もきっと変わるはずよ」
シミアの告白を聞き、シャルは目を閉じた。
「シミア様は、いつもそうですね」
シャルはゆっくりと目を開けた。
「もしかしたら、変化を恐れているのは、私の方なのかもしれません」
彼女はシミアの前に進み出ると、その顔をシミアの胸に埋めた。それほど厚くない生地越しに、シミア特有の匂いがする。ずっとシミアと共にいたシャルは、理解していた。
「シャル、私……」
自分はいつも自分の願いを貫いている。シミアにとって、もしシャルが自分に妥協を強いるような言葉を言ったら、きっと自分は諦めてしまうだろう。この瞬間、彼女の心はひどく迷っていた。
「私、いつもシャルに頼ってばかりで、本当にわがままね」
シミアは少し内疚を感じていた。シャルを家族だと思っているのに、いつも自分の思い通りに行動している。
ブレン夫妻の死を知った時、シャルは自分の最後の肉親――シミアを守ることを目標とした。
もし貴族の陰謀に巻き込まれたら、自分よりも、きっともっとすごい人たちがいるはずだ。そうなれば、自分の唯一の肉親であるシミアも、この世を去ってしまうだろう。二人が平民として暮らし、貴族間の陰謀から離れていれば、こんなことにはならないのに。
シャルはこれまでずっと、回避するという考えを貫いてきた。だが、当事者であるシミアが今、ひどく困惑した表情を浮かべている。彼女は理解していた。もし自分が心の内を口にしたら、シミアはきっと自分の考えを諦めてしまうだろう、と。
もしかしたら、シミアの心の中には、自分の肉親を殺した敵に復讐したいという思いがあるのかもしれない。
熟考した後、シャルはシミアの体から離れた。
「私も、学びます。きっと一番優秀なメイドになりますから。その時は、どうか立派な領主になってくださいね、シミア様」
ミシャの声は少し震えていた。なにしろ、これは罠に満ちた険しい道だ。だが、彼女の眼差しは非常に強く、その発言は迷っていたシミアを現実に引き戻した。
「うん、きっとそうするわ」
あるいは肉親、あるいは主従。二人の関係は、ひっそりと変化しつつあった。
陽光の下、深く積もった雪が溶け始めている。