『源満仲、発心出家の速記録のこと』速記談4002
前摂津守源満仲、多田の宅において出家の日、同じく出家する者、男十六人、女三十余人であったという。恵心僧都が戒師であった。受戒のとき、第一の不殺生戒を守れるかと尋ねられたとき、満仲は眠っていて返事をしなかった。第二の戒以降は、守りますと答えた。この夜、満仲は、恵心僧都を尋ね、第一の戒を守りますという声が聞こえなかったかもしれませんが、心の中でお答えしていたのです。家人がいぶかるといけないと思って、声に出せなかったのです。そのことを申し上げるためにまいりました、と申し上げたという。恵心僧都が、受戒のときの速記録を確かめたところ、確かに第一の戒に対する答えは記されていなかった。
教訓:大乗戒を形式的なものととらえるか、実質的なものととらえるかによって、この後の対応が変わる。