魔王への道のり
街の北西方向に、謎に長い道があった。
「……?なんだろうこの道……」
先が見えないくらい長い。
先には何があるのだろうか。
◇
かなり進んだ頃、道の先に光の階段のようなものが見えてきた。登った先に何があるだろうか。
右足から前に出し、登る。
段数は思っていたよりは少なく、すぐに上に着いた。
{魔王城-正門}
立派な門が建っていて、正面には天使のような人?が立っている。
「侵入者?それとも迷子?」
「……まぁ迷子……かな」
「じゃあ、私の経験値にしてあげるよ」
天使は浮き始めた。卑怯だぞー!
……いやこっちにも飛べるヤツらいるじゃん。
四人くらい。
「……じゃあニーア!初陣だけど任せた!」
「了解です。ご主人様」
ニーアは天使に狙いを定め、飛ぶ。
「ニュートロン・ラジエーション」
ニーアの手のひらから出た光の弾が、天使の胸を貫いた。
「ぐ……っ……!……ぁ」
天使はその場に倒れ、意識を失った。
門をくぐって進もう。
◇
{魔王城-三の丸}
驚くほど魔王城なのに順調に進めている。
三の丸には、見たことがない敵がいた。
三の丸を守りし エケルハフター
……ドイツ語でおぞましいという意味。
その名の通りの見た目だ。
鼻は極端なくらい尖って、目は怖いくらい凹んでいる。しかも複眼が百個くらいだ。
顎はなく、首は手回し発電機のような構造だ。
胴体は洗濯ばさみが馬鹿みたいに連続して、その下に頭蓋骨。しかも全部神経と血管、舌を出している。
前足は2のような形をしており、後ろ足は毛のように貧相だ。尻尾はプロペラの形状。
……はっきり言うよ。気色悪い。
「……シテ……コロシテ……」
しかも、顔からそんな声を出すし、胴体の頭蓋骨も全部そう言っている。
本当に悲しい生き物だ。
「……分かった。でも容赦なくいくよ」
会話は出来ない。
理解してるかも怪しい。
「ニューク」
エケルハフターを倒した!
……あっけな。まぁいっか。
◇
《魔王城-物見塔及び広場》
近くに高い物見塔がある広場に出てきた。
物見塔から、笛の鳴るような音がした。
笛が鳴り終わると同時に、広場に天使が集結した。
「なるほど。こいつが侵入者ね」
「……L-1yは要らない?」
「要らない要らない。魔王は知らないから。それに私ら魔王に忠誠誓ってはないし」
……え?さらに何かいるの?え?
「まぁでも、魔王からの命令だしね……。戦う必要はあるよ。侵入者さん。恨みもないしむしろ魔王倒してくれないかなと思ってるけど、足止めさせてもらうよ」
「望むところ!」