黄陽の砂漠
街の割とすぐ近くに、その砂漠はあった。
しかし、かなり暑い。
「……暑ぃ……暑くて干からびそ〜……動いてるから暑いよぉ……」
……そういえば、ラーナは氷属性だった。
肌もひんやりしてて気持ちよかったしな……。
よしラーナ!出てきて!
「……ぁぁ、気持ちぃ……」
ラーナに抱き着いて涼んでいると、ラーナは背負いましょうか?と言う。
お願いしよっかな……。
私はラーナの背中に乗った。
「ぁーいいなー!私だって涼みたかった!」
「白い兎さんをいじめる気ですか?」
「……贅沢言いませんにやさん」
二人はそんなことを言っていた。
……さ、さて。ファイアドラゴンがいるのはもう少し進んだ場所らしい。
大きなピラミッドのような岩が目印らしいのだが……。
「あそこだよ」
岩が見えた。奥に、赤いドラゴンが見える。
砂山の鈍角 ファイアドラゴン
氷属性と火属性は互いに弱点である。
そのため、ラーナに万が一があったら怖いからラーナをしまった。
「……あ、あのー。私達ファイアドラゴン倒せないんだよね……。えっと……」
「だ、だからさ……。倒してくれない?」
「いい……ですけど」
私はドラゴンに向かって歩き出す。
ドラゴンはこちらを向いて威嚇した。
初っ端から本気出して殺るか。
「紅の禁眼」
ドラゴンは口を開けたまま動かない。
じゃあ、強そうなアレを……。
「空想上の恒星!」
長い。略していいかな?……ダメ?そう……。
ドラゴンの周りに光の粒が出来て、赤や蒼、黄色に白など多種多様だ。
その粒はドラゴンに向かって衝突し、小さな爆発を起こす。一つ一つは弱そうだが、えげつない数の光の粒がある。
「Auf Wiedersehen」
……何さ。言いたいことあるなら言ってよ。
……かっこいいじゃん。外国語で決め台詞。
ドラゴンは倒れていて、その場所に真っ白な卵と、龍の体の組織達があった。
……角とか、牙とか、鱗とか、皮膚とか、肉とか、骨とか、血の瓶とかが……。え?瓶はどこから……?
「……あのー。そんな速く倒せると思って無かったけどさ……。素材、持ってっていい?勿論卵は上げるからさ」
「……あ、はい……」
二人は卵以外を回収し、街へ戻って行った。
……卵、どうする……?
「白兎が孵しなよ。白兎が倒したんだしさ」
「……ドラゴンいるんだけど」
「知らないよそんなこと」
私が孵すのかぁ……。スライムは二人。ドラゴンも二人。あぁもう滅茶苦茶だよ。
私が卵に触れると、卵の色が変わった。
……ほんの少し、色が黒くなった。
正確には白色から薄灰色になった。
とりあえず、私らも街に戻ろう。
◇
私は卵を抱えて見守っていた。
すると卵は揺れ始めた。速いにも程がある。
……すぐにヒビもできた。だからさ……。
ついに手が見えてきた。はえーよ。
その手はピンと伸びて……私の目に直撃した。
「うぇぁぁぁぁぁぁ!」
思わずそんな声を上げる。涙も出る。
痛いんだもん仕方ないじゃん……。
「……あ、産まれてる」
ドラゴンが生まれた。私を刷り込みで親と認識したようだ。
……だけどさ。最初から人型なの……?
女の子だし……。そこそこ成長してる。
……あと服を着ろ。