耳噛むな!……ぁぁぁ……!
さて。ライの背中に乗って歩いていると、街が見えた。
「ライ、あの街に向かって」
「了解ですご主人!」
街の前には衛兵がいた。
……ちょっと怖いから、隠れて様子を見よう。
「ライ、ここで下ろして。で戻って」
「分かりました!」
衛兵の近くには分かりやすく低木が植えてある。そこから覗いて見てみよう。
「……なぁ、さっきの奴通して良かったのか?あいつは……」
「俺だってそんなこと分かってるし後悔してる 。あいつは……俺様最強☆……だよな」
「……やっぱりな。人に向かって攻撃する野蛮人のあいつだよなぁ……」
……な、なんだってぇぇ!?
私は衛兵に近づき、通してくれませんかと頼んだ。
「……お嬢ちゃん、レベルは?」
「……っと、50です」
「なら大丈夫だ。通りなさい」
私は街の中に入った。
◇
さて。私は無料の宿に泊まった。
……このゲームで泊まる必要はほとんどないが、強いて言うなら回復出来るし安全な所に居られる。
さて。皆もベッドで寝たいだろう。
……待って、ここベッド三つしかないじゃん。
「……と、とりあえず皆出てきて」
皆出てきたが、何か、シーメの様子がおかしかった。
……なんか、ムラムラしてるというか……呼吸が荒いというか……。
「……私、お腹が空きましたぁ……」
「とてもお腹が空いただけとは思えない様子ですけど?」
「……まぁまぁ、ヴァンパイアだし……。血なのかな?」
……じゃあ、誰の血を吸うのかって話だ。
ライ……サキュバス。血が通ってるのか不明。
ラーナ……ドラゴン。血が氷点下そう。
私……人。普通の血。
「あの……吸っても、いいですかぁ……?」
「……だよね……私になるよね……」
シーメは私……の耳に齧り付いた。
……待って待って!ガチASMRとか聞いてないって!
「……美味しい……ですぅ」
「や……やめて……っ!もう耳は……!」
シーメは私にトドメを刺してきた。
「血、美味しかったですよぉ?ご主人♡」
これを、僕の耳元で、小声で囁いた。
……あっぶない……。男のままなら倒れてた。
「……シーメ、ご主人に何してるの?」
「……イタズラ」
「ほら、そのイタズラのせいでご主人が固まってる」
「……ごめんなさい」
「許さない」
ライはシーメをくすぐりの刑に処していた。
いいぞもっとやれ。
「……ご主人、疲れましたよね?寝かしつけてあげますよ」
「……だ、大丈夫だよライ……。そこまで……」
「おやすみなさい」
「アッハイ……」
私は寝させられた。
……しっかし、妙にいやらしい夢だったなぁ……
◇◇◇
「……あれ?白兎ってもう治ってたんだ。ログインしてるよ」
「それじゃ、白兎くんを探そっか」