紅の禁眼。そして爆裂の皇帝
神殿の奥に、大きなゴーレムのようなものが埋まっていた。
触ったら動き出したりしない?
そう考えながらも近づくと、地面を揺らしながら動き出した。
「……まずは紅の禁眼から試すか」
やっぱり名前が長い。くれないのきんがんじゃダメなのか……?
……効果も分からないけど。
「紅の禁眼!」
ゴーレムはピタリとも動かなくなった。
……えっ妨害技なの?
「まぁ今のうちに攻撃……!」
じゃあ爆裂の皇帝を撃つ……けど。
絶対ライをしまったほうがいいよね……。
多分尋常じゃない被害出るし……。
「……初めての被害者になるけど、許してね。じゃ……」
「爆裂の皇帝!」
アトムヴァッフェンバイナハト。
さてどれほど強いのか……。
杖からニュークよりも強い青白い光が放たれる。思わず目を細めてしまうほどだ。
その光がゴーレムの身体を貫いた後、またさらに光り、とてつもない煙が出る。一秒経たずに爆音も響いた。
「……そんな強いの……?」
煙が一分ほど経ってやっと晴れてきた頃には、ゴーレムは消え失せていたし、神殿はクレーターと化していた。
「……ニュークでも地形破壊はほとんど無かったのに……?えぇ……」
『……爆裂の皇帝は伊達じゃないんですね』
……いやまぁ、これが普通なんだろうし、威力的にはもっと大きなクレーター出来てるはずなんだけど……えぇ……?
「……乱発は控えるか……」
イメージが不十分だったのかな……?
……いや爆発だからこうなるか……。
一番の煌めきは流石に大丈夫……だと思いたい。
……もう片方も撃とうにも、必殺技は片方放ったらもう片方もクールタイムを受けるらしいのだ。……まぁここ敵いないからいいけど。
……でも、クールタイムは一時間か……。
長いなぁ……。とりあえず俺様最強☆とやらを探して彷徨うか……。
◇
あれから一時間近くが経った。現在四時半頃だろうか……。
もう皆学校終わってるだろうな。
今日は確かどの部活も休みだったはずだ。
……部活入ってない私には関係ないけども。
「……ふぅ……ぜぇ……ぜぇ……」
この世界はゲームであるが、流石に長時間歩くと疲れる。
日光は服のおかげか何故か何ともないのに。
『大丈夫ですかご主人!?』
「疲れたぁ……」
『……それでしたら!ご主人ってソウルライドを覚えましたよね?』
「……うん」
……まさかだよね?
私の身体を使ってください!とでも言いたいの……?
『私の身体にソウルライドしてください!』
「デスヨネ-」
知ってたよ。……でもさ、他者の身体操ってるスライムを乗っ取るって……複雑だよなぁ。
「……いやいいよ……。人の身体操ってるスライムを操るとか……なんか複雑だし……」
『……それなら背中に乗ってください!』
……ダヨネ-。まぁ、乗りたくないわけじゃないけど……恥ずかしいし……。私の精神が抉られる。
「……えっいやちょっと……」
『だから私は気にしませんよ!』
「だから”私”が気にするの!」
私がそう言うと、ライは一瞬黙った。
「……まぁいいよライ……。出てきて」
「ご、ご主人……。”私”……というのは何ですか……?」
「……ちょっとね。別に気にしないで」
「……は、はい」
他の二人も黙っている……。
……いや、寝てるのか……?
「……で結局乗る羽目になると」
「いいじゃないですか。ご主人は小さいですから絵面は悪くないですし」
「……」
……ヤバい。ヤバいヤバい。
……いや、乗っていることじゃない。まぁそれもだけど……!
ライの胸が……いや、〇首が……見えそうなんだよ……!助けて……!