強い淫魔
山の女王 サキュバス
さっきまで無かったHPゲージが出てくる。
じわじわと回復もしている。
「……回復速度が速い……!」
「やはり、連発は出来ないようね。なら私の勝ちだよ」
「……っ……スパークル!」
眩い光が敵を包んだ。しかし効果はあまりない。
「さっきの魔法ほど威力はない。これでおしまいね」
「……まだ……だよ!出てきてラーナ!ライ!」
僕がそう叫び、ラーナとライが出てくる。
……ラーナはともかく、ライは足でまといな気がするんだけども。
「……ブリザード!」
「……っ!」
吹雪が相手を覆う。
相手は凍りつき、動けなさそうだ。
「時間を稼ぐよ。あと四分くらい」
「長っ……い、いえなんでもないです」
「大丈夫。長いのも分かってる」
……相手はまだ凍っている。
あと十秒ほどは稼げるだろう。
「ところで、防御魔法って覚えてる?」
「……今覚えます」
ラーナ はバリア を覚えた!
ラーナ はテレパシー を覚えた!
「……テレパシー……?」
「……すぐ分かりますよ。貴方も覚えてはどうです?」
「……もう相手動き出してるから後でね」
あと四分。
ずっと凍らせることも出来るだろうが、流石に相手も対処するだろう。
「フレイム……っ!?」
魔法を打った途端、相手はどこかに消えた。
右にも左にも見当たらない。
『真後ろです!避けてください!』
「っ!?」
これがテレパシーだろう。
声が脳に直接送られた感じがした。
「……今のを躱すのか」
「僕だけの実力ではないけどね。ファイア!」
フレイムはまだ使えないのでファイアを打つ。多分ファイアが回復する頃にフレイムも回復するだろう。
「スパークル!」
「……っ」
ファイアもスパークルも相手に被弾したが、全部そこまで効果はない。
フレイムもそうだろう。
「……何でそんな喰らってないと思っているわね?理由は単純。私が無属性だからよ」
無属性には弱点はない。
雑魚敵に無属性が多いが、全部諸めだ。
無属性で硬い。これが一番厄介な敵なのだ。
「……あと三分くらい」
『まだそんなに稼ぐのですか……?』
仕方ないじゃないか。
「シュムツィヒ!」
「っ!助けてラーナ!」
僕はラーナの元に向かい、防御魔法を使ってもらった。
「ありがとねラーナ」
「感謝される程でもありませんよ」
あと二分半ほどだ。やっと半分。
「ブルンスツァイト!」
相手は先がハート型の槍を何個か空中に浮かせ、飛ばしてきた。
「バリア!」
「……うん、ありがと。じゃ……スパークル!」
槍の雨を凌いで、その隙にスパークルを打つ。やはり効果はないが、あと二分となる。
「やっぱ、長いなぁ。五分は」
やはりこの魔法は中距離か遠距離向きの魔法なのだろう。
「フレイム!」
相手の猛攻を少しでも抑えるため、魔法を放つ。
「……ファイア!」
覚えている魔法を全て使って。
「アイス!」
「ライト!」
「スパークル!」
「フレイム!」
あと一分半。
「……ラーナ。相手の攻撃を少しでも放つ回数を減らすためだから、やってほしいかな」
「あぁ、そういう意味でしたか」
……あと回復を少しでも阻害させるためもあるんだけどね。
「ブリザード!」
「アイス!」
相手はまた凍った。
二十秒は凍るから、あと一分。
「……解けてから魔法を打つよ」
「分かってますよ」
相手が解けるまで、じっと待っていた。
すると、相手が少し動き出した。
「アイス!」
相手は少し怯んだが、またすぐ動いた。
「ファイア!」
あと40秒。
「アイシクル!」
氷柱を敵の頭上に出し、落とす魔法。
流石ラーナ、容赦ない。
……あと20秒。
「ライト!」
あともう少しだ。
「フレイム!」
5……
4……
3……
2……
1……
「ラーナ、時間稼ぎはもういいよ」
これで決める。
「ニューク!」
相手の少し減っていたHPのおかげで、倒しきった。