人型の何か
ヴィーフェを救助して、また僕らは集落を周っていた。
「……あっ!またはけーん!」
「……名前も知らないお嬢ちゃん……お気の毒に……」
……確か、露里羽さわわと牧弐哉にや……だったか。その人らと遭遇した。
「……なんですか?」
「えっと……私とフレンドになってくれない?」
「断ってもいいんだよお嬢ちゃん。この人は関わらない方がいいタイプの大人だからね」
……そ、そう……。
まぁまだ精神はこんな子供ではないですしお寿司……。
「いいですよ?」
「ありがたやぁ〜……!」
「……本当にいいのか……?お嬢ちゃん……」
大丈夫、無問題(急な広東語)。
「……私のわがまま聞いてくれてありがとね。それじゃやることあるし、バイバイっ!」
「は、はい……」
牧弐哉にや……の方?はやれやれといいながらもフレンドになり、彼女を追いかけていった。
◇
集落の少し外れあたりを歩いていると、とある人のようなモノに話しかけられた。
「何の用?」
「……ふむむ。良いですね。十分な強さがありそうだ」
奴は黒い布を纏った肌白くか細い男だった。
「私の名はシュワッヒ。黄金の天界に住まいしドゥンケラー様の部下。まぁ……私はプレイヤーなんかではありませんので、覚えてもらう必要は無いですがね」
「……一つ訊く。お前は僕の敵か?」
それっぽい奴が出てきたものだ。
このゲームに魔王みたいなのが居るというのか。
「……貴女がどう対応するかで私は敵になり味方になりますよ?」
「あっそ。プレイヤー以外を敵に回そうが味方にしようが別になんの支障もない」
彼は少し笑ったような声を出して言う。
「急に現れ力を持った……プレイヤーという存在……。私ら先住民の事も考えて欲しいものですよ」
「……へぇ。そう」
NPCはプログラムの存在のはずだ。
とんでもないメタ発言をするプログラムを組み込まれているのか?
「……特に、俺様最強☆とかいうプレイヤーは、私達を殺すだけでなく、プレイヤーを嵌め二度と姿を表せなくしたり……。困ったものです」
「……は、はぁ……?」
俺様最強☆……?
NPCを殺しまわり、プレイヤーをゲームにもう参加させなくしたりしている……。
……餓鬼だろうな。小中学生くらいの。
小三から中二くらいまでと考えられる。
……やべーオッサンの可能性もあるが。
「……本題に戻しましょう。貴女も、ドゥンケラー様の部下となりませんか?」
「嫌だね」
「……そうですか。諦めるとしましょう」
「えらく簡単に引くものだね」
「無理矢理忠誠を誓わせる程人手不足でもありませんし。裏切りが怖いですしね」
その辺はなんか好感持てるんだな……。
魔王の方が良い奴な事が創作では多いし。
「……では、私はお暇するとしましょう」
「話が長い」
「……それは申し訳ありません。ですが一つ言っておきましょう。何か貴女二引っかかる事があったのでね……」
「貴女も知っているはずですよ?この世界は作り物ではない。干渉されているものの……本当の異世界であることを」
「……本当に、異世界なのか……?」
「……詳しくは、私も分かりませんがね」