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2-15 迫りくる終わり




 乾いた大地を突き進む三台のグラン・マルキノ。

 そのグラン・マルキノの横を無数の屍が通り過ぎる。その多くが解放軍の軍服を身にまとっていた。

 中央のグラン・マルキノの扉の前で、クレイド・アースロアはなおも立っていた。

 体はもうボロボロだった。数え切れないほどの無数の傷、深い傷も数か所負っている。

 それでもクレイドは歯を食いしばりながら立っていた。

 扉の周辺をグラン・マルキノと並走しながら囲むアサシン達。弱った獲物を仕留めるためにナイフを構えた、その時、


 ドオオオォォォンッ!!!


 空気を震わす巨大な爆音と共にグラン・マルキノの前部から爆炎が上がる。

 アサシン達が一瞬それに引きつけられたその時、クレイドが再び扉から飛び出した。

 アサシンの一人に斬りつける。

 隙を突かれたアサシンは、なんとかそれを避ける。しかし体勢を崩した。


 ギュンッ!


 素早く放たれるニ撃目。

 アサシンの体が切り裂かれ、吹き飛ぶ。

 近くにいたアサシンが驚き思わずクレイドに斬りかかる。それより早くクレイドは突きを放つ。

 アサシンはそれを素早くかわし、斬撃を放とうとする。

 しかしクレイドはそのナイフに向かって蹴りを飛ばす。わずかに切り裂かれるクレイドの足、しかしアサシンのナイフは腕ごとはじかれる。


 ギュンッ!


 アサシンの体が血しぶきを上げ吹き飛ばされた。

 冷静さを取り戻したアサシン達はそれを見てサッとクレイドから離れる。


 ラギドはクレイドをにらみつけると、手で指示を出す。

 アサシン達は少し陣形を変える。

 炎を上げて停まったグラン・マルキノから離れて立つクレイド、それをアサシン達は囲むようにして立つ。

 それを見て身構えるクレイド。その時、ラギドが単独で突進して来た。

 クレイドはそのアサシンの黄色い瞳を確認すると警戒心を強めた。

 クレイドの斬撃が先に放たれる。

 ラギドはそれをヒラリとかわす。

 素早い軌道変化で放たれるニ撃目。

 ラギドはそれにも反応し、かわす。と同時にラギドはスルリとクレイドの懐に潜り込む。


「……くっ!!」


 ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!


 無数に放たれるラギドの斬撃は、避けようとするクレイドの動きに合わせ正確に放たれる。

 三発の斬撃がクレイドの体をわずかにとらえた。


「ぐッ……!!」


 苦痛の表情を見せながら、なんとか一歩距離を取る。

 しかしラギドの手から飛ばされるナイフがクレイドを追う。顔面へと飛ぶナイフ。

 クレイドは素早く反応し、ナイフを避ける。

 その時だった、別のアサシンがクレイドの背後を取っていた。


(しまっ……)


 ヒュンッ!!



 宙に血しぶきが舞った。

 ドサッと地面になにかが倒れる音がした。

 地面にひれ伏すアサシン。

 その横にクロコが立っていた。


「よう……、元気か? クレイド」


 クロコはニッと笑う。


「見てのとおりピンピンだ…………」


 クレイドもニヤッと笑う。


 お互いがお互いの笑顔を見た途端、二人の顔に強い生気が戻る。

 突然のクロコの出現、アサシン達は距離を取る。


「とにかくだ、クレイド。こんなやつら相手にしてるヒマはねー。次のを止めねーと……」


「わかってるよ」


 そう言った直後、二人は並んで走りだす。

 二人を囲むアサシン達の壁、しかし以前よりだいぶ薄くなった。

 二人が同時に剣を振るうとアサシン達は避け、あっさり壁は破れる。

 壁を突破した二人は、黒煙を上げて止まったグラン・マルキノを置き去りにして、基地側から右に走るグラン・マルキノを追おうとした。

 しかしその時、クレイドはギョッとする。


「まずいぞ……! クロコ」


 クロコはクレイドと同じ方向を見た。

 前進する二台のグラン・マルキノのはるか前方、そこにうっすらと巨大な建物の影が見える。

 グラン・マルキノはすでにケイルズヘル基地の寸前まで迫っていた。距離はおよそ6、700m……グラン・マルキノの射程に入るか入らないかの距離だ。


「ダメだ!! クロコ!! もう扉から入ったんじゃあ間に合わない!! とにかく前に回り込むぞ!」


 クレイドはそう言って、前に向かって駆け出す。クロコもそれを追う。


「だけど、クレイド! 前に出てどうするんだ!!」


「そんなモン、前に出たあと考える!!」


 前へと走る二人、それをアサシン達は遠くで見ていた。

 ラギドはギリっと歯を鳴らす。


「グラン・マルキノはもういい……! それよりあの二人を始末する。我らを散々コケにしおって……!」








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