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オルカーネイション-血塗ラレシ啓示  作者: ミカエラ・マンサニージャ
6/10

反省の裏で動く影(飛ばして結構です)

反省ギャグパート。


アンナがその姿を現した。彼女の周囲には魔法の力で渦を巻いた風が吹き荒れ、怒りのオーラをまとっていた。ヴィクトルは思わず息を呑み、アーサーは顔をしかめて後退る。


アンナ:「アーサー、やったわね?」


アーサー:「な、何も……」


アンナ:「何もじゃない!山、見てみなさいよ!全く……また、どれだけの手間をかけて……!」


アーサー:「いや、本当に今回は……その……偶発的というか……」


アンナ:「“偶発的”で山を燃やせるのは、あんたと....ドラゴンくらいよ!!」


ヴィクトル:「(あ、それ母さん的にはドラゴンより下の扱いだ……!)」


アーサー:「……言い返せないのが悔しいな。」

アンナは深く息を吐くと、手をかざした。風が唸りを上げ、渦を巻いて炎へと突き進む。

大気を操る精密な魔法、熱と酸素を抑える風の刃が次々と火を削り取り、わずかな時間で山火事は終息した。


ヴィクトル:「うわ……母さん、すげぇ……」


アーサー:「……おい、父さんの株は?」


ヴィクトル:「燃えたね。山と一緒に。」


アンナ:「アーサー、後で家で話があるわ。」


アーサー:「ヴィクトル、今のうちに逃げ――」


アンナ:「二人で正座よ。」


ヴィクトル:「なぜ僕までえぇっ!?」


アーサー:「いいかヴィクトル……人生ってのは、時に理不尽な運命と向き合わなきゃならないんだ。」


ヴィクトル:「言い訳の前にまず謝って!!」


場面は換わり、喫茶店リーベ・クレメ店内。


店内は、山火事の余韻もどこ吹く風といわんばかりに、いつもの香ばしい珈琲の香りと木の香り漂う温かな店内。客たちはそれぞれの時間を楽しみながら、新聞や雑誌に目を通している。


常連客A:「ねえ、これ見た? また竜人の失踪事件。今月だけで三件目だって。」


常連客B:「まったく……物騒な世の中になったわね。昔はもっと、こう……平和だった気がするのに。」


常連客A:「今度は女児竜人がターゲットらしいわよ。こんな連続事件が起きるなんて……」


常連客B:「竜人...竜人ってさ、やっぱりなんだか……怖いわよね。あんな見た目で、街をうろつかれると、どうしても警戒しちゃうわ。」


その頃、2階ではアーサーとヴィクトルが正座をさせられ、厳しい雰囲気の中で謝罪の時間が始まっていた。


アーサー:「す、すみませんでした……本当に、予測外で……」


アンナ:「言い訳は一切聞かないわ。」


ヴィクトル:「(あれ? 流れだと僕も謝るところじゃない?)」


アンナ:「ヴィクトル、あなたも反省しなさい。父親がこうなってるのを見てるのに、何もしないなんて言語道断よ。」


ヴィクトル:「や、やっぱりだ。でも僕、関係ないじゃん!!」


アーサー:「……いや、関係あるだろ。お前も俺の息子だから。」


ヴィクトル:「父さんのせいで山が燃えたのに、何で僕まで謝らなきゃならないの!?」


アンナ:「正座してるからって、謝らなくていいわけじゃないのよ! これは家族としてしっかり反省する場なの!」


アーサー:「……本当にすまなかった。俺がもっと気をつけていれば、こんなことにはならなかったんだ。」


ヴィクトル:「あぁ、もう、すっごいムカつく!」

アンナは深いため息をつくと、机の上に何かを置いた。それは、書簡用紙とペンだった。


アンナ:「反省文を書きなさい。」


アーサー:「反省文?」


ヴィクトル:「うわ、反省文……」


アンナ:「書簡用紙三巻分。涙で濡らして提出すること。期限は今日中よ。」


アーサーとヴィクトルは顔を見合わせる。そんな無茶な、と言いたげな表情を浮かべるが、アンナの目は厳しい。


アーサー:「(三巻!?それも涙で濡らして……!?)」


ヴィクトル:「(今から書かないといけないって……どうしよう)」


アンナは二人に冷ややかな視線を向けながら、ゆっくりと続けた。


アンナ:「途中で手を抜くことは許さないわよ。あなたたちが心から反省していることが伝わるように、全力で書きなさい。」


アーサーはふっと息を吐き、ペンを手に取る。ヴィクトルも同様に、筆を取るが、どうしていいのか悩んでいるようだ。


アーサー:「……わかった。」


ヴィクトル:「……僕も。」


アンナ:「泣いて書くくらいの気持ちでやりなさい。自分たちの行動の重大さを理解して、心から謝る気持ちを込めなさい。」


二人は黙って反省文を書き始める。アンナはその姿をしばらく見守った後、立ち上がり、静かに部屋を後にした。


アーサーはペンを持つ手が震えるのを感じながら、紙に向き合う。


アーサー:「……本当に、これでいいのかな。」


ヴィクトル:「うーん、やっぱり泣いて書かないと駄目なんだろうな。どうすればいいんだ……」


アーサー:「ああ、これはしばらく反省の日々が続きそうだな。」


ヴィクトル:「……泣けるかな?」


アーサー:「……とりあえず、頑張ろう。」


二人は、母親の厳しい命令に従い、涙で濡れるくらい心を込めて反省文を書き始めた。


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