神魔天人
「今日はあなたが好きな話よ。」
昔々、宇宙が誕生するはるか昔の事。
無に一粒の命が孕んだ。その命の名はカオス、混沌 を生み、支配するモノ。
原初の神はすべての神の祖として混沌から無数の存在を生み出し、空の玉座に座して万物を支配した。しかし、その支配の始まりと同時に、不完全な世界が生まれていた。おのれの自由を求めるあまり、他者の魂を鎖で縛る愚かさが根源に宿っていたからだ。その矛盾の深淵に沈みながら、神は己の獄吏となり、自らをも縛り続けている。
しかし、永遠に続く事はなかった。新たなる強大な神の到来である。その神、逆賊の名はバエル、数多の天使を束ねし神であり気象を司った。彼により一つの時代は終わりを告げた。
バアルはカオスの支配を取っ払い、下劣な神々に自由を与えた。バアルは自他共栄を望んだ。しかしその理解し難い行いに不満を持つある神様が彼と下劣な神々に戦を申した。彼は自身の配下であった天使団に裏切られ、敗れ、力を失い、肉体を分割された。別れた肉体から創られしモノ一つ、名は天使ベルゼブブ、そして魔神バアルは魔王バエルへと名を堕とした。
そして、その戦いを制した神の名は.....。神様は空の玉座に座り、この世に秩序をもたらし、唯一神となった。
空の玉座は、やがて至高者の座と呼ばれるようになりました。
神様は現存の下等な神達から力、知恵、勇気を宿す魂を奪い悪魔へと堕としました。
そうして神達の魂はエデンの園に生える木々に閉じ込められました。木々の名は善悪の木、この木々の実を食べることは神により禁じられました。
それから暫くして我々生命が唯一神により作られました。
ある時、神に特別な命として選ばれ、天界に繋がる楽園——エデンを託された、アダムという名の青年と、エヴァという名の少女がいました。
しかし、彼らは蛇に化けた悪霊リリスに唆され禁じられた木々の実を食べてしまいました。
神から課せられた掟を破り、アダムとエヴァは力と知恵、そして勇気を得ました。
彼らは真の進化を遂げたのです。
それはただの変化ではなく、知恵の果実がもたらした、新たな生命の次元への跳躍でした。
自らが裸であることに恥じらいを覚えたふたりは、木々の葉でその身を覆いました。
その行いにより、彼らが禁じられた果実を口にしたことが唯一神の知るところとなり、
ふたりは楽園――エデンの園から追放されてしまったのです。
けれども、我ら人の祖たちは、神魔天人の聖戦において神の御名のもとに戦い、ついには赦しを得ました。
そしてその日より、我らは下界に住まうことを選び、今に至るのです。
おわり。
???「コレハイツワリノレキシダ。」