こっつんフォーエバー②
エリオット王子が、あたしのこと好き好き言うのは嘘だった――だからどうしたというのだ。初めから信じていなかったじゃないか。仮に真実だとしてもどうでもいいって言ってたじゃないか。
それをこんなに泣いて喚いて、馬鹿丸出しにして、なんだこれ?
これじゃあまるで、エリオットに愛されてなかったことがショックみたいな。
あたしのほうが、もう大好きになってしまってるみたいな。
まるでそんなことになっちゃってるみたいじゃないか!
「う、うああああうぅぅ」
あたしは顔面を覆って呻いた。それを何か、誤解したのだろうか。エリオットは表情を曇らせ、あたしを慰めるように撫でてきた。
「……あなたが、我ら王侯貴族の者たちと自身とを比べ、容姿が劣っていると感じていたのは知っている。だが私にはそれが不可解だ。私は、心が良ければ容姿が悪くても気にしない、ではなく、あなたの容姿が優れていると思っている。可愛くて、抱きしめたくて、妻にしたくて仕方がない。ただただそういう気持ちでしかないのだ」
親指の先があたしの頬をなぞる。あたしの顔の造作、一つ一つを慈しむように。
「多くの人間は、私の姿を見て麗しいと褒めてくれる。それに対し、異論を唱える者はいない。……私は私が好ましく思ったものを好きだと言っている。どうしてそれを、他人に否定されなくてはいけないのだろう。愛おしく思う、あなた自身からでさえも」
エリオットの体温が、あたしの冷えた頬を温める。
そう……結局のところ、あたしは自信がなかったのだ。
あたしには地味な顔にコンプレックスなんかない、エリオットとはどうせ身分の垣根がある――ずっとそんな風に思っていたのは、自分に言い聞かせていただけだった。
あたしは信じられなかったんだ、王子様が自分のことを好きになってくれるということ。
信じさえすれば、すんなりと受け入れられた。とても素直に、彼の思いと、あたし自身の思いを。
そしてあたしの瞳をじっと見つめて、エリオットは囁いた。
「私が、ジーナの好きなところ、可愛いと思う箇所を並べ上げるのはとても簡単だ。だけどなぜそれを好ましく思うのか、説明を求められたら困ってしまう」
「……はい。ごめんなさい……」
「一目見て好きになった。それでは足りないか?」
あたしは首を振った。
十分です。あなたの言葉が真実ならば、ただそれだけで十分です。
「ジーナの姿を見かけると、近づきたくなる。近づくと触れたくなる。その衝動に理由は必要か」
要りません。あたしも、そんな理由は持っていないから。
エリオットの指があたしの唇に触れた。理由は分からないけれど、あたしはそれで、目を閉じた。
「……ジーナに口付けがしたい。あなたが目を閉じてくれている。それ以外に何か、必要なものがあるだろうか」
あたしは一度首を振り、それからひとつだけ、贅沢を言った。
「もう一度、好きって言って……」
「大好きだ」
一瞬の間すら置かずに彼は言い、呼吸する隙も無くキスをした。




