表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ロング版】「突然だが、貴女との婚約を破棄させてもらう!」と言われました。人違いです。   作者: とびらの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/17

こっつんフォーエバー②


 エリオット王子が、あたしのこと好き好き言うのは嘘だった――だからどうしたというのだ。初めから信じていなかったじゃないか。仮に真実だとしてもどうでもいいって言ってたじゃないか。

 それをこんなに泣いて喚いて、馬鹿丸出しにして、なんだこれ?

 これじゃあまるで、エリオットに愛されてなかったことがショックみたいな。

 あたしのほうが、もう大好きになってしまってるみたいな。

 まるでそんなことになっちゃってるみたいじゃないか!


「う、うああああうぅぅ」


 あたしは顔面を覆って呻いた。それを何か、誤解したのだろうか。エリオットは表情を曇らせ、あたしを慰めるように撫でてきた。


「……あなたが、我ら王侯貴族の者たちと自身とを比べ、容姿が劣っていると感じていたのは知っている。だが私にはそれが不可解だ。私は、心が良ければ容姿が悪くても気にしない、ではなく、あなたの容姿が優れていると思っている。可愛くて、抱きしめたくて、妻にしたくて仕方がない。ただただそういう気持ちでしかないのだ」


 親指の先があたしの頬をなぞる。あたしの顔の造作、一つ一つを慈しむように。


「多くの人間は、私の姿を見て麗しいと褒めてくれる。それに対し、異論を唱える者はいない。……私は私が好ましく思ったものを好きだと言っている。どうしてそれを、他人に否定されなくてはいけないのだろう。愛おしく思う、あなた自身からでさえも」


 エリオットの体温が、あたしの冷えた頬を温める。


 そう……結局のところ、あたしは自信がなかったのだ。

 あたしには地味な顔にコンプレックスなんかない、エリオットとはどうせ身分の垣根がある――ずっとそんな風に思っていたのは、自分に言い聞かせていただけだった。

 あたしは信じられなかったんだ、王子様が自分のことを好きになってくれるということ。

 信じさえすれば、すんなりと受け入れられた。とても素直に、彼の思いと、あたし自身の思いを。


 そしてあたしの瞳をじっと見つめて、エリオットは囁いた。



「私が、ジーナの好きなところ、可愛いと思う箇所を並べ上げるのはとても簡単だ。だけどなぜそれを好ましく思うのか、説明を求められたら困ってしまう」

「……はい。ごめんなさい……」

「一目見て好きになった。それでは足りないか?」


 あたしは首を振った。

 十分です。あなたの言葉が真実ならば、ただそれだけで十分です。


「ジーナの姿を見かけると、近づきたくなる。近づくと触れたくなる。その衝動に理由は必要か」


 要りません。あたしも、そんな理由(もの)は持っていないから。

 エリオットの指があたしの唇に触れた。理由は分からないけれど、あたしはそれで、目を閉じた。


「……ジーナに口付けがしたい。あなたが目を閉じてくれている。それ以外に何か、必要なものがあるだろうか」


 あたしは一度首を振り、それからひとつだけ、贅沢を言った。


「もう一度、好きって言って……」

「大好きだ」


 一瞬の間すら置かずに彼は言い、呼吸する隙も無くキスをした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ