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プロローグ上

趣味詰め込みセットです

エルフ、と言われたらあなたは何を思い浮かべるだろうか


『弓』『卓越した魔法』『森の守護者』『耳長』うんうん、それらは正しくエルフのイメージそのものだ。


けれど人間にだって得意不得意があるように、エルフの中にも『弓が下手で』『魔法が一切使えなくて』『森を離れて旅をして』『耳があまり長くない』……そんな奴がいてもおかしくないわけだ。


──────ま、それは私のことなんだけどね……



「ベルメリア!またひとりで冒険にいっていたの?!……」


またしても母親に見つかってしまった。私だって皆と同じように狩りをしたいだけなのに


「だっておかーさん、あたしもう100歳よ?子供じゃないんだから……」


「何を言ってるの!あなたは『魔法も』『弓術』もどちらも使えない……ただの人間より歳を取らないだけの女の子なのよ!」


私は何も言い返せずに黙り込む。その様子を見て、言いすぎたと思ったのか母親はそれ以上何も言わずに、私の頭を撫でるとどこかへと行ってしまった。


お母さんが居なくなったあと、私はぼそりと呟く


「──────知っているさ……『魔法』も『弓』も使えないエルフにできることなんてないことぐらい……」



△▽△▽△▽




私、『ベルメリア=アイギス』はエルフの中の異端児だ。それは見た目も、持ちうる力も全てが既存のエルフとは異なっていたからである


本来、エルフとは『魔法』に愛されて、『魔法』を熟知し、『弓』を使ったりして戦う種族だ。

しかし私は生まれた時から今の今まで1度も『魔法』を使えたことがない。


それぐらいはよくある事だと長老は言っていたが、私は『弓』を装備することが何故か出来なかった。


私が持った弓はなんの脈絡もなく塵になって消えてしまう。

そんなことが幾度となく起きて、最終的に私は森でのんびりと暮らすだけの長生き少女になってしまっていた。


でも、平穏に暮らそうとしてもほかのエルフからは異端に映る私はよく嫌がらせを受けていた。

数々の暴言、卵を家に投げつけられたこともあったっけ?


挙句の果てにはこの前長老に


「──────お前にはこの里から出ていって欲しいのだよ。……理由か?、今度この里はリバーグッド王国と提携を結ぶ予定なのだが、お前がいるとこの里の皆がエリートという説明に齟齬が出てしまうやもしれぬ」


──────そんな自分勝手な理由で私を追放しようとするなんて本当にふざけてる。


……口ではそう言うけれど、実際に私がいても少なくとも良い方向には進まないことぐらい馬鹿な私でも分かる。


だからなるべく早く力をつけてこの里を離れる必要があるのだが


「あ〜!もー!……腹立つ、腹立つ!あの耄碌エルフどもめ!」


片手剣1本を背負いながら罠にかかった獲物を追いかける私はぶつくさと文句を言う

普段ならこんな獲物を逃すことは無いのだが、どうも気が散っていたらしい


▽△▽△▽


「あれ……ここは何処だ?」


気がつくと私は見知らぬ遺跡に足を踏み入れていた。


遺跡は非常に古く、様々な観点から見てもすごい価値がありそうなことぐらい私にもわかった。


けれど何が問題なのか、と言うと……エルフの里の近くにはそもそもこんなものが見つかったと言う話すら無かった……つまりこれは何者かによって意図的に隠されている……という事になる


危なさそうだなあと考えた私はゆっくりとその場を離れ……


『転送開始』


あれ?なんか嫌な予感が……


次の瞬間、体がふわりと浮き、私は遺跡に取り込まれた。






▽△▽△▽



「…………ここは何処?……遺跡の中?」


困惑しながら私は周囲を確認する。幸いなにかやばそうなことをされた感じは無い。


ほっと撫で下ろしつつ、ある意味私は安堵していた。


しばらくの間はここにでも隠れよう、そうすればあのエルフの嫌な奴らに小言を言われなくてすむし


そんなことをのんびりと考えていた私の前に、突然文字が浮き上がる



「うわぁ!びっくりした……えっと何……?ちゆうとりある?……」


文字はかなり読みにくい形ではあったが何故か私は自然と読めていた。確か耳の短い人間族とかいう奴らの文字によく似ている……改めて私は読み直す


「えっと……ちゆうとりある『ゆみとまほうのせんとうくんれん』?……」


続けて出てきた文字は微妙に読みにくかったが、その発音や意味からおそらく弓と魔法の訓練ということだろうか?


「あ、まだあった……えっと?『せいげんじかんなし』……?『このばとるは、いせかいてんせいしやがこのせかいになれるためのふいるど』……どういうことなんだろう、意味がわからない」


そして最後に赤文字で表示された文字を読み、私は頭を抱えた


「『なおこのふいるどないはじかんがとまつており、あせるひつようはごさいません』……『いせかいをたのしんてね』」


……よく分からないけどなんか面倒くさそうだし、こんな遺跡を荒らすのは失礼だから……ここから離れよう



私はそう考えて、先程入ってきた入口を探すが


「……待って、私『転送』されてきたから出口が分からない!……ここからどうやってでるの!?」





よろしく

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