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魔族とエルフ

胃腸炎治ったわ。死ぬかとおもた

『ベルメリア』がゴールドランク冒険者になってから2日後のこと


酒場でのんびりと過ごす『ベルメリア』を含む数々の冒険者の元に緊急の知らせが届いた。


辺境の村に魔王軍が襲来し、村は壊滅したと。


そしてそこには勇者が使うための伝説の武器のひとつ、『ブレイブソード』が祀られており、それを破壊されては困るため冒険者各位魔王軍を撃退して欲しい。との知らせだった


話を聞きながら私はすっごい興味がわかなかった。

何故かと言うと、最近知ったことなのだが魔族は基本的な魔法で戦う物らしく、剣を一切使ってこないやつも多いのだとか。


私は隣で蒼白な顔色で今にも気絶してしまいそうな『ピアード=ノリッサ』を眺めながらパスティーラという麺の料理を食べていた。

このパスティーラというのはかなり美味で、素晴らしい塩っけと魚の燻製の香ばしい香り、さらにその中にある僅かな果汁の甘さと酸っぱさがベストな様相を呈しており、正直、今まで食べた料理の中でもかなりの素晴らしいものだと言えるものだった。


みんなが慌ただしくしているのを眺めながら私は隣の『ピアード』に尋ねる。


「?なんでそんなに青ざめてんの?大丈夫?お酒とか飲む?……あ〜でも昼間っからお酒はちと体に悪いかー」


反応は無い。……うむむむ……私は別に人の心が読めるとかいう能力なんて持ち合わせとらんしなぁ……それに剣の道を極めたからと言って別にそれ以外は並以下の能力ですしねぇ……


愕然としている『ピアード』を放置して、私は再びおかわりをしに食堂に歩いていく。


「あんたよく食うねぇ!……全く……いいさどんどんくいな!……それにしてもアンタは魔族狩りに行かなくていいのかい?」


食堂のおばちゃん(元ダイヤランク冒険者)がそう訪ねてきたので


──────「うーん別に他の人が行ってるんだしそれに剣を振るわない魔族如きにわざわざ出向くのもなぁ……って思いまして」


食堂のおばちゃんは……それもそうだねぇ。とつぶやくと


「はいよ!お待ち遠様。……ついでにスープもオマケにしといてやるよ!……なぁにあんたの食いっぷりが見てて気持ちが良いもんでなぁ……」


ありがとね〜と言ってその料理を持ってゆっくりとその場を去ろうとすると


「あぁ、そういえばあのあんたの隣にいるお嬢ちゃん、さっき走って行ったよ?」


と、教えてもらった。私は、ばえぇ……色々あるんだなぁ……なんて思いながら再び席に着く。

別に人がどんな行動をするのかは自由だから私が止めるべきことでは無いよなぁ。

うん。


しかしまぁこの料理もまた格別な味だ。このスープ、おそらくだがとても質のいいものを使っている、それだけじゃない、なんだ?

この不思議な食感は……?

さくさくとして、それでいてしばらくすると中に秘められたものすごい量のうまさが染み出してくる。


「おばちゃん?この料理って何?……うますぎるんだけど!」


「あぁ……それはねぇ、グラグランと言って……あぁそういえば忘れておった。……その料理のその素材の取れるのは……先程魔族が攻めてきたと言っていたとこなんじゃが……」


なんと。それは一大事じゃあないか。……正直誰かの為とか、正義のためとか、見知らぬ人のために動く気にはならないけど……私の好きな物のためなら致し方ない。


……「おばちゃん!あんがと〜ご馳走様!ちと魔族狩りにでも行ってくる!」


そう言って私は食べ終えたご飯を食堂に持っていくと、ダッシュで飛び出して言った。

その様子を見ながら


「やれやれ、ああでもしてくれないと動かないとは……うーんやはりあのエルフの里の者はめんどくさいのう……」


と、極小再現のため息を呟いた


△▽△▽△▽△▽








ダッシュでかけること実に数十秒。


目的地までありえない速さで到着した彼女の前に、割と酷い惨状が広がっていた。


「うわこれは酷い。……のかなぁ?」


確かに酷そうではあるが、どちらかと言うと何故か微妙に違和感が残る酷さだった。


老人、子供、それから病人、女は軒並み壁に縛り付けられていて大人の男どもは足を折られたり切られたり、と言ったことしかされていない。


むしろ、あえて誰も殺すことなくこうやって放置してある……と言っても過言ではなさそうであった。


……ふむ?的当てゲームでもやってたのかなぁ……っとびっくりした


突然、後ろの茂みから槍が降ってくる。

さらにそれに合わせて辺り一面から矢の雨が降り注ぐ。

私はそれを片手間にはじき飛ばしながら辺りに潜む連中を凝視する。


「ほう?今の攻撃を防ぐとは……お主中々の強者と身請けさせていただく。我が名は『ガンベルト』。魔王騎士団副団長、歪のガンベルトだ。」


丁寧に名乗り挙げられてはこちらも返す他ないだろう


「あ〜どうも。あたしは『ベルメリア』さっきここに着いたものなんだけど、あんたらで剣を使うやついる?」


「ふむ、我が剣を使うものだが、……くくく貴様そのただの鉄の剣で我に勝とうと考えておるのか?……舐められたものよ……我の剣はたとえ歴戦の猛者であっても刈り取る剣なり!」


そう言いながら武器を構えるガンベルトに対して私は


「ん?じゃあ君から死のっか!……あぁ何言ってんのって顔してるね?……いやぁだってさあ……後ろに1万は控えてるんでしょ?なら八割ぐらいは私が斬っても問題ないよねぇ?」


私はにっこりとまるでインド神話のカーリーのように残虐な笑みを浮かべながら剣を構える。

その笑みは魔族出会っても鳥肌を逃れることは不可能だったようだ


「……なんだ?何故か我が震える?……まさかこやつのことを恐れている……とでも?……ええい!貴様なんぞただの雑魚!このガンベルトが……ねじ伏せてやるわ!」


──────『ベルメリア』は魔族の硬さを知らない。



それ故に一撃、適当にはなった斬撃を弾かれた時、即座に理解する。


なるほど、硬いのか……と。

即座に彼女は斬撃を重ねて放つ。


その一撃は、ガンベルトと名乗る魔族の左腕を吹き飛ばした。

しかしすぐに再生し始めるその腕を見ながら


「へぇ〜確かに見かけによらずタフだねぇ〜んじゃ私も少しだけ本気でいっくよ〜!」


親指と人差し指だけで挟んでいた剣を5本の指でしっかりと握り直す。


「えりゃ!」


そんな適当な掛け声から放たれた斬撃は


──────半径80m四方を消し飛ばすほどの一撃へと変化する。





ガンベルトは困惑していた。

普通、魔族を傷つけるには魔力のこもった一定ランク以上の武具でないとダメージが入らないはずなのに、何故か目の前のエルフは鉄の剣で自分の体を細切れにしてくる。

という状況に


さらに驚くべきことなのは、先程にぎり方を変えた途端、肉体の再生速度がどんどん低下しているという最悪の状況についてだ。


ガンベルトは約200年は戦ってきた歴戦の兵士だ。それ故に目の前にある異常としか言い表せないそれのことを僅か数回剣を合わせただけで把握した。


──────こいつはやばい。と


彼は律儀な魔族だった。

彼は全力で脳内で以下のメッセージを魔王に伝令した。


「やばいです。このエルフにだけは手を出さないでください。私は先に逝きます、すみませんがもしこいつに手を出したらおそらく今の魔王軍は壊滅します。これは比喩ではありません。では魔王様、さようなら。娘と妻を頼みます」


ベルメリアの顔を貼っつけたあと、彼は


自分はなんて不幸なんだろうか、と考えていた。

昨年やっと娘が生まれて、あの子の成長を見守るお父さんになれたというのに……それで張り切って仕事をしたのが裏目に出たのか?


それでも、ここでなんとか生き延びればまだ魔族には残機があるからなんとか復活できる。

普通ならそう考えるべきなのだろう。


しかし、今かろうじて攻撃を防いではいるが、その度に自分の残機がゴリゴリとげずられて行くのが肌身に感じている


……あぁすまない。『ユタ』……



▽△▽△▽△


魔族には最終奥義というか、全ての残機を犠牲にして放つ奥義がある。


『魔戒解放』

というのだが、それを使えば全ての身体能力が100倍以上に膨れ上がり、それの終了と共に消滅するというものだ。



彼はそれを使った。




ゆっくりとペースを戻していきますので

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