プロローグのプロローグ
あえてこの話を最初に持ってきました。
魔王軍の侵攻により、押されかけている辺境の騎士団支部にとある伝言が伝えられる。
「なんだ?この忙しい時……に…………?!っ!」
騎士団長は即座にその伝言をきき、顔を真っ青にしながら部下に命令を下す。
「全員……早く逃げろ!……今すぐに、全力で!これは騎士団長命令だ!」
困惑する部下たちを団長は急かしながら、心の中でひとつの事を祈る。
「頼む、間に合ってくれ……私達が逃げる前に……アイツらが……あいつが来る前に」
そんな儚い願い虚しく、前線の方で轟音が鳴り響く。
「あぁ……終わった……ちくしょう、皆!……全力で逃げろ!あいつらに巻き込まれる前に!」
──────そんな騎士たちを見ながら、1人のエルフが土煙の中から歩いてくる
「ねぇ?私ってそんなに怖いかな……なんか悲しいなぁ……」
彼女の名は『ベルメリア=アイギス』。暇すぎて剣を極めたら極めすぎたエルフ
まぁいいや。と、そのエルフは剣を構え
──────「とりあえずおめぇら今すぐ私と戦いな!」
騎士たちを追いかける魔族の前に立ちはだかる。
とは言え、そんなエルフ1人の言葉で魔族が止まるわけ……で。
「ひ、ひぃ!?なんで……なんであいつがここにいるんだよ!!」
「嫌だぁ……死にたくない、しにたくないよォ!」
「ちくしょう!軍曹はもう逃げやがったのか!あいつ、裏切りやがっ」
その言葉は途中でぶった斬られる。
「ん?あれ……私はただ剣を素振りしただけなんだけどなぁ……ねぇ君たち、脆すぎない?」
彼女の素振りにより、周囲の魔族は一瞬で消し飛び、消滅する。
「まぁいいや!さぁ!てめぇら……まとめてかかってこいよ?!……早くし〜ろーよ〜!……来ねぇのか?なら…………」
「──────鏖殺になっちまうぜ?」
そう口にするや否や、『ベルメリア』はものすごい速度で逃げようとする魔族の間に突っ込んでいく。
そうして、鏖殺がスタートした。右から左に、魔族だった物が吹き飛んではひっつき……
その様子を見ながら
「はぁ、今回も私たちの出番はあの人を止めることになりそうですよ……全く……」
──────1人の魔法使いがため息をこぼし
「はぁ……彼奴を止めるためにまたしても身を削らなあかんとは……難儀な事やのうて……」
──────1人の黒竜が毛ずくろいを初め
「あーあー俺しーらね。あいつだけまた怒られればいいんじゃねぇの?……ったくあれだからあだ名が『裁断のバーサーカー』とかいうのがつくんだぜ?まじでよ〜」
──────1人の鍛冶師が愚痴をこぼした。
「おや?遅かったですね?もう戦は終わりましたよ!……相変わらず雑魚ばーっかりで退屈なんですがね。こっちも」
先程まで膠着状態だった戦局はわずか数分で決着が着いた。
返り血すら一切浴びていない、まるでジョギングに行って帰ってきたかのような素振りで……退屈とほざくのが
──────『ベルメリア=アイギス』なのだ。
彼女はエルフでありながら、剣を極め……そして戦を好む傾奇者。敵とみなせば延々と追いかけて、戦い続ける戦に酔いしれる女
彼女の戦いを見たものは、皆してこのようにつぶやく。
「あれはバーサーカー以外の何物でもないない……と。」
後始末をしながら、仲間の魔法使いは彼女と出会った時のこと、そして彼女が以下にして剣を極めるに至ったかの話を思い出していた。
──────あれは確か……
この話は実はあとから付け足したんで、若干違和感があったら申し訳ない