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ストレートに絞って。”そうやれば”

作者: 孤独

2023年の阪神タイガースは、リーグ優勝と日本一に輝いた。

特に強力打線が各球団に猛威を振るった……というのは確かであるが、個人レベルで中心選手がいたというよりは、文字通りの”打線”となって戦っていた印象である。


打率、本塁打、打点という打つ要素では、他球団の選手達の方が上であった。

しかし、”得点”と”四球”の数では阪神の選手達が多い。

シンプルに出塁してくる機会が多いからこそ、チーム全体の得点力アップに繋がった。


なるほど、そうやればチームの得点が増えるんだな。


という考えで、偉業を成せるのなら誰でもできるんだ。できねぇから、凄いのである。



◇        ◇


「うおおおおーーーー!!」


大エースを打ち崩しての日本一優勝は大盛り上がり。

野球大好き少年・おっさん達の興奮はすんごい。その中で、プロ野球選手として、同じ舞台に立つ者達からすれば


「これだ!これだ!来年は四球も年俸査定に入れて欲しいなぁ!!」


軽視されていた、打者の”四球”の数。ヒット>四球という考えは間違いではない。四球では、打点を挙げられるケースは、満塁以外あり得ない。ヒットであれば、打球や2塁走者によっては1打点。3塁走者がいれば犠牲フライや内野ゴロでも、1打点。

相手より打点を挙げる事が勝利となる野球において、打点とは重要であり、その場面でキッチリ応えられるかが打者の強さ(あくまで作者の考え)。

得点機会を沢山作る上で四球は必要であるが、それが先行してはいけないと思う。


とはいえ、盛り上がったという事は流行りにもなる。


「四球革命だーー!!追い込まれるまで下手に振るなーーー!!」

「ボールを見ていけーー!!」


各球団と選手達がこぞって、四球増加を狙うトレーニングや方針、戦略をとる。

ヒットを打たれるより、四球にされるほうが投手は疲れるというメリットもある。

四球が今後、プロ野球界において、左右されるのは間違いない。それは間違いないが……



ドパァッ



「ストライクッ!!バッターアウト!!」

「!……か~~、速っ」


そもそも、四球というのは投手が4つもボールを出すことだ。ストライクをまともにとれない投手が、一軍マウンドに上がるわけもない。(そうじゃないのもいるけど)。

2023年の阪神打線の強さは、基本的にストレートに強い。最初から四球を狙ってるのではなく、ストライクゾーンをしっかり打つ、基本はストレートを打つ。この基本の2つができている上で、ボール球を振らないという徹底ぶり。

全打者が粘っているというよりかは、全打者が自分の思い通りにバットを振ってくる、甘い球は飛ばされる。打者全体がバットを振ってくるから、相手投手も警戒して投げるからこそ、コントロールミスが出て、それをちゃんと見逃してくる。


2023年の阪神打線の唯一の穴、三振数の多さ。

特に見逃し三振は昨シーズンよりも多くなっている。これは四球増加の影響というか、副作用だろう。きわどいところをストライクにされるのは仕方ない。好機で三振は痛いけれど、三振で併殺へいさつは起きないので、そーいう割り切りをすれば悪い事ではないのかも。ゲッツーで楽にピンチを切り抜けたい相手投手には嫌になるだろう。



カッ


「内野ゴロ~……」


粘れる打撃……をさらに悪く言うならば、”前に飛ばさない”打撃=ファール打ち。

際どいコースの球をカットする打撃技術は重要であるが、ど真ん中や甘い球をわざわざカットしちゃうというのは、打者の失敗である。

ほとんどの打者に言える事だが、ヒットの数は四球の数よりも多いのが普通だ。そもそも、打てるから四球という選択を相手投手側がとる事も珍しくない。四球をとるという前提で打席に立つというのは、お遊びとしては面白くても、結果が全てのプロ野球では笑われる。



「ボールっ、フォアボール!!」


粘って四球を勝ち取る打者は、一塁走者となる。

2023年の阪神タイガースには、ちかもと選手、なかの選手、といった走れる選手がいる。2人の盗塁数は合計で48。昔の方が1人でもっと走っている選手がいるというのは、置いておくとして、……。走者にも警戒しなきゃいけない状況を作れる。

2人以外でも阪神タイガースには適度に走ってくる選手がいるのも大きかった。


「おーーっ!四球でランナー出たぞーー!!」

「続け続けーーー!!」


全員が走れる必要はないが、全員が”まったく走れない、小技ができない、まとまらない”球団では、出塁をそう恐がらない。

監督、コーチ、チーム編成がしっかりと、連携、把握、戦略をしているからこそ、強力打線となっていた。出塁した走者をしっかりと還す。

ビックイニングを作って、試合を決定付けるというよりかは、じわりじわりと得点を重ねていくスタンス。リードをしている場面でキッチリと犠打を選択し、それに応える選手と、後続の打者達。チームワークが徹底されている。選手一人が考えているだけでなく、選手達やスタッフ全員が纏まって動いてくるような打線であった。



◇         ◇


「えー……君、戦力外」

「うぅぅっ、分かってました」


四球査定は追加されたが、四球数は前年度と比べて、大きく伸びたわけではなかった。

むしろ、その反動で他の打撃成績が軒並み低下し、一人の選手は戦力外を受ける。


2ストライクまで振ってこないのなら、さっさとストライクをとればいい。

際どいコースに投げられるコントロールや、打てない豪速球や変化を投げるといった、投手個人のレベルアップでねじ伏せる。

安打を打てる球がない打者と対戦するのは、投手としては楽な相手。

出塁しても、それを活かせない、後続打者やチームの構成。


野球に限らず、戦い方にはいろんな流行りがあり、それに対策を講じる投手やチームはあるものだ。


選手一人だけが、2023年の阪神タイガースの打線を模倣してもダメなのだ。

なぜなら、打線と言われるに相応しい攻撃をしていたのだから……。打者一人で攻撃してるんじゃないんだよ……。







日本シリーズの第一戦。

あの山本投手を打ち崩した事は凄かったですね。


作戦は凄くシンプルでしたが、それを言われて、ちゃんと実行できる選手達はシーズンの覇者として素晴らしかったですね。

低めの球には手を出さない。ストレートを狙う。フォークは捨てる。

簡単に言えますが、大舞台で球界の大エースを相手に、それができる選手は何人いるんですかね。


その後、第六戦で山本投手と若月捕手が対策をし、やり返したのはホントに頂上決戦って感じでした。高めの際どいところを多く要求して、第一戦の作戦を潰せるのも凄い。阪神打線は、見逃し三振が多いという弱点を的確に突いてますが、山本投手の実力があってこそ。



作戦はあっても、それを実行できるかどうか。

特定の選手達に頼った打線ではなく、チームとして戦った打線が見事過ぎました。




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