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心のシリーズ

心のない言葉

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2023/09/17



 出社したら、エレベーターの前でハンカチを落とした。


 それを、知らない誰かが拾ってくれたようだ。


 私はそれをもらって、口を開く。


「ありがとう」






「ありがとう」と言う。


 私は、誰かに何かをしてもらった時に、必ず「ありがとう」と言うようにしている。


 素晴らしい理由なんてない。


 相手に良い印象を与えるためだ。


 社会というのは、「礼儀正しい」人を持ち上げるもの。


 場合によっては、能力が高いとかよりも「礼儀正しい」事は重要になってくる。


 できない奴がいても、「礼儀正しい」だけで持ち上げられる事がある。


 仕事ができて、礼儀のなってないやつより、仕事ができなくても礼儀がなっているやつを、優先する事がある。


 なぜ?


 どうして?


 それは。


 だって、その社会をまわしているのは人だから。


 人を気持ちよくさせる事が重要なのだ。


 人間の社会は、そういう価値観がかなり重要視されている。


「ありがとう」


 だから私は、心のない感謝の言葉を言い続ける。


「ありがとう」


 むなしくなってきてもやめやしない。


 会社の同僚に、上司に、部下に。


 空っぽの、中身のない言葉を吐き続ける。


 ほら、これでいいでしょ?


 みんな騙されてる。


「いつも提出が遅くなってごめんなさい」


「少し間違えちゃったけど、許してね」


「これくらいなら、大丈夫よね?」


 私が何か遅れても、間違えても、勘違いしても。


 礼儀正しい人だから、ってみんな許してくれるのよ。






 私は、仕事を終えて会社を出る。


 トイレによってから帰ろうと思って、足を向けると。


 違う部署の人達が話をしていた。


「あの人、ほんと不愛想よね」

「仕事はできるけど、ちょっと近寄りがたいわ」

「関わりたくないから、他の部署にうつってくれないかしら」


 ほら、やっぱりみんなそう。



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