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「まってください。なんで私が呆れられるんですか?」

「だって君が事を大きくしようとしてテレーザに話した。そのせいで理由は分からないが、俺はテレーザから責められているんじゃないか。君の行動には呆れてしまうよ」


 ――あ、呆れるのは私の方よ!


「テレーザ様」


 思わずテレーザを見る。テレーザは私の手を取った。


「貴方は何も悪くないわ。すべてはアルマーの常識のなさが招いたことです」

「ひどいな。どうしてダリアの肩を持つんだい?」


 ――こいつ……。


「いい加減にしてください。あなたは貴族の恥を見せています。私のほうからあなたへ婚約破棄を言いたいくらいです。いいえ、言わせていただきます」


 テレーザの言葉にようやくアルマーが困惑した様子を見せた。

 眉を顰めて私とテレーザ様を見ている。


「どうして急に婚約破棄なんて……」

「説明しても貴方には無駄だと思いますが。人は、婚約者がいながら他の方と恋人関係になることは浮気であり、非難されるべき行動であり、恥ずべき行動です。そしてそれは侯爵家を侮辱した行動とも取れるのです」

「そんなつもりは」

「そんなつもりがないことが、一番の問題です」


 アルマーが叫ぶ。


「それで婚約破棄? 一方的すぎるよ!」

「アルマー様」


 私は彼に呼びかけた。


「あなたは何か勘違いしています」

「勘違い?」

「あなたは浮気でもないし、悪いこともしてないと思っている。テレーザ様は貴方が悪いことをしたと思っています」

「だから?」


 ――どうしてわからないのだろう。あなたが言ったのよ。


「貴族というのは上の言うことがすべてだ。つまりテレーザ様の言うことが全て。あなたのそれはただの妄想です」


 私は彼に言われた言葉を返した。

 だってその通りだから。


「貴方とは金輪際会いません。さようなら」


 私は言い放つ。

 すると今度は続くようにテレーザ様が言った。

 

「貴方とは金輪際会いません。婚約は白紙にいたします。さようなら」


 こちらはにこやかに言うものだから、むしろ怖いくらいだった。


 そして私たちは彼を置いて裏庭を後にした。

 やはり何か彼が言っているが、完全に無視する。

 彼にはもう何を言っても意味はないし、彼が何を言ってもまともに聞く人はいないだろうから。






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