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「驚いた。テレーザ、そんなところにいたのか」


 アルマーは驚いているが、まずいという顔はしていない。

 

 ――本当にこの人なんとも感じないのね……。


 私はため息をつく。そんな私にアルマーが顔を向ける。


「どうしてダリアとテレーザが? 交流があるとは知らなかったな」

「アルマー様が私との浮気をテレーザ様が知っても怒らないだろうとおっしゃったので、私から謝罪に行きました」


 正確には、アルマーのことをより身分の高い人に相談したくて、彼女を選んだ。ついでに先に謝ることで、侯爵家から怒りを買わないように行動したともいう。

 聡明な人だと聞いていたから、緊張はしたが、しっかり話すことができた。

 テレーザ様の友人たちは私を非難したけれど、テレーザ様はそうはしなかった。


「ダリアさん」

「はい」

「お話聞いた時はまさかと思いましたけれど、本当だったのですね。あの時はわたくしの友人が心無い言葉を浴びせてしまい、申し訳ありませんでした」

「いいえ、気にしてません。私が最初に過ちを起こしてますから」

「でも、あなたは婚約者がいるとは知らなかった」

「そうですね……」


 本来なら知らないでは済まないのだが、事情をしっかり説明したところ、もしアルマーが私の身分が低く、婚約者の情報も得られないことを知りながら黙っていたなら、アルマーに非があると言ってくれた。

 そのためにどこかでアルマーの本音を聞こうという話をしていた。

 今日はその打ち合わせの日だったのだ。


 ちょうどいいとはそういうこと。


「アルマー」

「なんだいテレーザ」

「貴族にとっては、婚約がとても大事なことだということはわかっていらっしゃいますよね」

「もちろん。どうしてそんなことを聞くんだ?」

「わたくしは、"学園の中では婚約していても自由恋愛が許される"などと聞いたことはございません」

「それは当然堂々とは言わないだろう」

「いけないことだからです」

「それは初耳だな」

「堂々と言わないのはいけないことだからです。そして何度もいいますが、"学園の中では婚約していても自由恋愛が許される"ということはありません」


 アルマーが不思議そうな顔をする。


「何が言いたいんだい?」

「あなたが分からないことが信じられませんが……貴方のしたことは浮気だと申してます」

「浮気? 自由恋愛をしただけだよ」

「それを浮気と一般的には言います」

「一般……貴族は一般ではないよ」

「では貴族でもそう言います」

「初耳だな」

「それでは覚えてください。と言ってももう遅いと思いますが」


 そう言ってテレーザは周囲を見渡した。

 いつのまにか複数の生徒が事態を眺めていた。

 ひそひそと話している様子を見るに、アルマーの行いがあまりにも常識外れなことに驚いているのだろう。

 それにしても話が通じない。


「もしかしてテレーザ怒っているのかい? 貴族である君が?」

「正確には貴族だからかもしれませんが、怒っているわけではなく、呆れています」

「ああ、俺もなんだか大ごとなっているぽくて、ダリアには呆れているよ」


 ――はい?



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