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㉔その後のシンドラー

ドラムの松田は、何年か会社勤めをしたあと、親の個人タクシーの会社を継いだ。一度だけ会社の女の子を送って自宅に帰ろうとして乗り込んだのが、松田のタクシーだったのでびっくりした。

「なーーんだ、蝉丸。お安くないね」

「ばか、違うよそういうんじゃないけど、いやあ懐かしいな、みんなどうしてるか知ってる?」

松田の情報源はすばらしく、二人はほとんど女の子はほったらかして、昔話に花を咲かせてしまったため、その女の子はとてもつまらなそうな顔をして、挨拶もなしに自分の家で降り、その後何日か会社で口をきいてくれなかった。

会長は学生時代に出来ちゃった婚をしてから、マルチまがいの訪問販売で年収3千万だかの営業成績を上げたとかで、やがて独立をして自分の会社を興して、バリバリに活躍をしているようだ。ときどき河野や、昔のバンド仲間に非常にいかがわしいローヤルゼリーなどをいきなり送ってくるのには弊疫している。

目に入れても痛くない一人娘が公立のトップ高に合格したときは、ほとんど旧関係者全員に、もちろん河野にも喜びの電話をかけてきた。

「やったよ蝉丸。これでやっと高校の先公に敵がとれたよ」

彼も高校時代、人知れずひとりで戦っていたのだと、変なところで感心した。

天文部の壊れた精密機械こと進藤は、大事な時期の骨折にもめげず、なんと希望台南高始まって以来のW大現役合格を果たし、大学のテニスサークルで思う存分女の子のお尻を追いかけた後、今度は下着メーカーに就職し、なんでも部署の売り上げを十倍に増やしたとかで、経済紙に顔写真入りで「時の人」みたいな扱いをされて掲載されていたのには驚いた。やはり下着には相当な執着をもっていたらしい。

マジシャンこと佐々木幸恵は、一番平凡に生命保険会社に就職し、平凡に結婚し、今では2児のママだ。

私生活では何のマジックも見せなかったらしいが、前にビールと二人で家に呼ばれていったとき、二人の男の子が恐ろしくトランプが強く、ビールと二人で小学生の兄弟二人に完膚なきまでにたたきのめされた。佐々木は笑って見ていたが、やはり血は争えない。

二年生の佐藤・竹田の格闘技カップルは、その後どう方向転換したのか、いきなりテレビのお笑い番組に「格闘技漫才」とかで登場し、一躍売れっ子になったのにはびっくりした。

その後一時人気は下火になったが、二人めでたく結婚し、今でも時々テレビでは見かけるので、なんとか元気でやっているんだろうと思う。なにより、浅井は喜んでいるんじゃないかな。

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