⑳どうぶつの星 +(その2)
そう、そのうちにタイガー君のクラスに「マキ」が転校してきたのね。
もう、何だっけ、苗字が「マキ」だったか名前が「マキ」だったかさえも忘れちゃったな。
「マキ」はね、いきなりグループ交際の輪の中に入ってきて、タイガー君に対してすごいLOVELOVEオーラを出してるのね。全くまわりもはばからないでね。
ルナちゃんがあれよあれよと思っているうちに、もうマキはラブラブ状態で、タイガー君の彼女みたいに振舞ってるわけね。
タイガー君も最初こそ迷惑がっていたのに、面倒くさくなって来たのか、いつの間にか「よせよマキ」なあんて調子になってるし。
ルナちゃんはその様子を見て、大きく引いてたのね。
中学はグループ交際基本かななんて思ってたし、なんか幼なじみの頃からの心地よい関係に土足で踏み込まれたような気がして。
あなたと同じレベルで争うのは嫌、みたいなね。
本当はもっとなりふり構わずいかなけりゃ、いけなかったのかも知れないね。
それでルナちゃんは、私立の女子高の受験勉強しながら、パムちゃんと遊ぶ毎日だったのね。
やがて受験は終わり、タイガー君はサッカーの強い有名校へ、ルナちゃんは私立の女子高へ。
そのころはマキとの仲はとっくに消滅してて、ざまあみろって感じだったけれどね。性格悪いね私も。
でもね、卒業の時、タイガー君にね、信じられないこと言われたの。
「ルナちゃん、なんで黙って見てたんだよ」
ってね。
はあっ? って感じだったわね。
自分は勝手に楽しんじゃってたくせにさ。二人の思い出も汚しちゃったくせにさ。
「なによ今さら、知らないっ!」
そのままケンカ別れね。
で、とりあえずルナちゃんのはかない初恋編はいったん終了。
ルナちゃんの入った女子高ってね、本当に退屈だったのよね。規則にだけは厳しいしね。
それとね、女子高ってね、時々とんでもなく遊んできた子が入ってきちゃったりするんだなこれが。
きっと中学で遊びすぎて、無理やり親に女子高に押し込まれちゃったのね。
ルナちゃんはね、心の隙に水がどんどん入り込むような感じで、そういう悪い友達グループに引き込まれてね、すぐにウルフ君っていう男の子と付き合いはじめるのね。