⑰「好きな人とか、いるの」
「浅井さんさっきからのりがいいのは、もしかしてお笑いフェチ?」
「あーわたしそっち方面ではちょっとしたもんよ、友近のキャサリンなんかそらで全セリフ言えるもん」
「じゃあだれのファン?」
「えっ、それってお笑いで? 芸能界で?」
好奇心から、両方聞いてみたくなった
「それじゃあ、両方お伺いしてみましょうか」
「そうね、あんな問題起こす前は、TOKIOの山口君」
(うーっ微妙、ファイト一発!ってか、男運わるそ。まあ長瀬や松岡じゃなくてよかったか)
「それからキンキキッズの堂本光一」
(あちゃー 聞かなきゃよかったかな、堂本でも光一の方か。せめて剛ならなあ、しかも最近の剛ならな…)
「お笑いでは、ロバートの秋山」
「おっ! いける!」
思わず口に出してしまった。
「え、なにか?」
「あ、いやいやいや、何でも」
「航ちゃんは、どうなんですか?」
「へえっつ」
「なにが、へえ、よ。芸能人でもいいわよ」
「えーっとね、まずね、井川遥」
「はあっ」
(やべえ、反応鈍いかな)
「それと・・・釈由美子、かな」
「・・・」
「あ、なんかご感想でも?」
「うーん、ほんにゃら癒し系美人、って感じかな」
「はあ、そうですかねえ」
「じゃあ気が強いわたしなんて、タイプじゃないわね、きっと」
「いやそんな、タイプかタイプじゃないかなんて、とても恐れ多くて、だいたい気が強いかどうかなんて、今日の今日まで知らなかったし」
「うん、まあいいでしょ。あっほらすごいすごい。またちょっと流れ星、見ましょ」
河野はまたしばらく、浅井の横顔にみとれていることにした。
ただ、浅井が、流れ星が流れるたびに、何かをぶつぶつ祈っているのが、どうしても気になった。
「浅井、ひとつ聞いていい」
「何、いいよ」
「好きな人とか、いるの」
浅井は一瞬びっくりした眼をして、すぐにはじけたように笑い始めた。