表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《連載版》名探偵の友人は「迷」探偵?  作者: 吉川 由羅
第一章
5/15

本日の推理

その晩。

「調査の方はどうだ。進歩したか?」


蓮は賢人と通話していた。

「まあまあかな。」

「今のところのお前の見解を聞かせてくれ。個人的に興味がある。」

「自殺なのか他殺なのか、という点に関しては、俺は他殺の線が有力だと思ってる。」

「理由は?」

「ドアだよ。発見されたとき、ドアは開いたままだった。これじゃあまるで見つけてくださいと言っているようなものだ。自殺だとしたら、明らかに不自然だよな?」

「うん。それで?」

「そ、それで?」

「それだけじゃまだ説得力に欠ける。来る予定だった妹にいち早く見つけてほしかったという説明もできるだろう?ほかに何かなかったのか?」

「他か。そういえば理乃から聞いたんだが。」

「理乃というと、助手か。」

「ああ。で、彼女によると、遺書が見つかったらしい。」

「駄目じゃないか。」

「こっからだよ、メインは。その後理乃が琴乃さんに連絡を取って尋ねてみたら、遺書と食い違う点があったんだ。」

「ほう。」

「遺書には大学時代の友人による暴力が原因だと書かれていたが、被害者、高卒なんだよ。」

「確かに矛盾している。となるとその遺書は偽造されている可能性が高いな。」

「ああ。それが今の時点で分かっている全てだ。」

「なるほど。お前にしては筋の通った推理だな。」

「お前にしてはってなんだよ。」

「はは、すまない。あ、あと…」

「?」

「佐伯に、よく頑張ったと伝えておいてくれ。」

「お、ついに認めたか。あんなに馬鹿にしていたのに」

「からかうのはやめろ。もう切るぞ。」

「ハイハイ。」


通話を切った後、蓮は理乃の部屋のドアをノックした。

「入るぞ。」

「はーい。」


蓮がドアを開けると、カップ焼きそばをすする理乃と目が合った。


「またカップ麺?ほんとに好きだな。」

「だって美味しいんですもん。」

「野菜も取りなよ、太るぞ。」

「私、太らない体質なんですよ!それに、ほら。野菜ならキャベツが入ってます!」

誇らしげに言って、また一口すする理乃。

その隣に、蓮は座る。


「さっき、賢人と事件について話してたんだよ。」

「賢人さんですか。」

理乃はあからさまに嫌な顔をする。


「そんな顔するなよ。賢人、お前の事褒めてたぞ。よく頑張った、て。」

「相変わらず上からですけど、嫌な気はしませんね。」


理乃は蓮の話を聞きながら、パクパク食べ進めていく。


部屋中に、ソースの濃い香りが充満していく。

(ヤバい食べたい)


そう思って理乃の方を向くと。


箸でつまんだ麺を差し出す、理乃の姿があった。

「食べます?」

「え、良いの?」

「腹ペコの顔していたので」

(ばれたか)「じゃあ、お言葉に甘えて。」


蓮は口を開ける。そこに、焼きそばが投入される。


「蓮さん顔真っ赤ですよ?そんなに熱かったですか?」

「い、いや、大丈夫だから。」

「そうですか?」


理乃はこてっと首をかしげる。

蓮は理乃の無邪気さに悶え、両手で顔を隠した。


「美味しいですか?」

「…うん。」

「明日の調査も頑張りましょうね。」

「うん。」


思考停止する蓮であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ