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《連載版》名探偵の友人は「迷」探偵?  作者: 吉川 由羅
第二章
12/15

プロローグ

いよいよ二章だイェーイ\(^_^)/

最初だから張り切ってたくさん書いてしまった

ぜひ読んでくださいねー


ある夏の日。

他の職場が忙しく働いている中、峰崎探偵事務所は当然のように夏季休暇に入っていた。

まず前提として、仕事が何一つないのだ。休むのはむしろ当然だろう。


事務所の中心に置かれた机には、パーティー開けにされたポテトチップスと、ペットボトルのコーラ。そして近くで座り込み、ゲームをたしなむ助手、佐伯理乃の姿があった。

もちろん、いつもの仕事着ではない。一回りサイズの大きいTシャツに、デニムの短パンという超絶ラフな格好で、普段依頼人が座るはずのソファーの上に足を折りたたんでいた。


どうしてこんなにも自由に理乃が生活しているのか、理由は一つしかない。

所長の不在。

蓮はこの日の朝早く、朝食を食べてすぐに近くの図書館に行ってしまったのだ。

つまり、理乃を見張る人物がいなくなる。その結果がこれだ。


理乃は「ほっ」とか「やっ」とか声を上げながら、ゲームに熱中していた。

ちなみにこのゲームは、理乃が実家から持ってきた旧型のものだ。

すると、

    ……ピーンポーン……


かすれたチャイム音が鳴った。

理乃は渋々ゲーム機を置いて、ドアに向かう。


この事務所には、インターホンがない。事務所は絶賛休業中のため理乃は宅配便か何かだと思っているが、それは必ずしもそうとは限らない。


「はーい!どうなさい、ましたか……」


ドアを開けた途端、理乃は固まった。

玄関の前に怪訝そうな表情で立っていたのは、

名探偵、綾小路賢人だった。


そこからは、もう大変だ。


「う、うわあああっ!!見ましたね、今、確実に見ましたね!」

理乃は慌ててドアを閉め、隙間から賢人を睨みつける。

「見ていない。Tシャツ短パン姿のお前など、見ていない。」

「やっぱり見てるじゃないですか!ヘンタイ!」

「へ、ヘンタイ…。」

「とにかく、待っててください!要件は着替えて(事務所を片付けて)からお聞きしますので!」


それだけ言うと、理乃はぴしゃりとドアを閉めて、鍵もかけた。


そして5分後。

「お待たせしました、どうぞお入りください。」


Yシャツと黒い長ズボンに身を包んだ理乃が、実に恨めしげな表情でドアを開けた。


「どうしたんですか、こんな時期に。」

「実は、蓮に用があってきたのだが。」

「蓮さんは現在外出中です。私が代わりにお伺いいたします。」

「ほお、それなら話は早い。お邪魔させてもらうよ。」


賢人は一つ礼をすると、事務所に入る。それを見届けた後、理乃はゆっくり扉を閉めた。


「コーヒーは、苦手ですか?」


キッチンの冷蔵庫を覗き込みながら、理乃は尋ねる。


「いや。」

「今コンビニのカフェオレしかないんですけど、良いですか。」

「大丈夫だ。」

「よかった。」


理乃はパックのカフェオレを取り出し、なるべく高級そうな感じになるようにガラスのコップに注ぎ、賢人に手渡した。


「それで。ご用件は?」

「いうまでもないだろう。事件の依頼を持ってきたのだ。」

「おっ、来ましたね。」


理乃は椅子に座りなおすと、身を乗り出して意気込む。


「で、どういう依頼ですか?事件?事故?」

「落ち着け、理乃君。二つとも外れだ。」

「じゃあ、一体なんですか?」

「現場の確保だ。」

「……?」


理乃は頭の上に『?』をいくつも浮かべ、目をぱちくりとさせる。


「えー、細かく説明するとだな。ここから少し離れたところに、繁華街がある。そこの一角にあるクラブが、最近怪しい動きをしているという情報を入手した、だからその怪しい動きの正体をつかんでほしい、という依頼だ。」

「はい。で、私たちはどうすれば。」

「潜入捜査だ。」

「ええっ!賢人さんご存じですよね?蓮さんはそういう類の依頼が特に苦手だ、って。」

「ああ、知っている。だから、捜査の実行役は他の人にやってもらおうと思っている。」

「誰ですか?ほかの人って。」

「言うまでもない。理乃君、お前だ。」

「…ん?」


理乃は言葉の意味が分かるまで少しの時間を要した。

そして、

「えーっ、私が!?」


大声をあげた。


「ああ、そうだ。」

「嫌ですよ!潜入捜査って、変装とかするでしょうし。それに、私ってほら、助手ですし。」

「探偵をフォローするのが助手の務めだろう。探偵の苦手な調査を助手がやるというのは、かなり理にかなっていると思うが。」

「ま、まあそうですけど…」


理乃はすっかり困ってしまい、頭を抱える。


「で、でも蓮さんが許してくれるでしょうか?」

「その許可を得るために今日は事務所に来たというのに。全く、いちいち手間取る男だ。」

「私、連絡先繋がっているので、電話できますけど。」

「そうか。許可が取れ次第すぐに調査を開始したい、今すぐにお願いする。」


(それって許可が出る前提じゃない。でもまあ蓮さんの事だし、許可はしないだろうな。蓮さんああ見えて結構プライド高めだし)


理乃はそう思いながら、ポケットのスマホを取り出した。




「OK!?」


理乃は大声をあげて立ち上がった。


『どうしたんだよ、理乃。聞いてきたのはお前だろ?』

「で、でも、私…」

『いいんじゃない?なんか、楽しそうじゃん。』

「そんな軽い気持ちでOKしないでください!」

『はは、冗談だよ。ただ、いい経験になりそうだなーって、思っただけ。行ってきなよ。』

「ええ…」

『じゃ、もう切るよ。そろそろ司書さんに怒られそうだし。』

「ちょ、ちょっと」


何か言う前に、強制的に通話は切られた。

そして理乃が顔を上げると、目の前でにやつく賢人が。


「それは、許可をもらったと判断しても、良いだろうか。」

「うう…。」


理乃はうなだれて、がっくりと肩を落とした。

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