プロローグ
いよいよ二章だイェーイ\(^_^)/
最初だから張り切ってたくさん書いてしまった
ぜひ読んでくださいねー
ある夏の日。
他の職場が忙しく働いている中、峰崎探偵事務所は当然のように夏季休暇に入っていた。
まず前提として、仕事が何一つないのだ。休むのはむしろ当然だろう。
事務所の中心に置かれた机には、パーティー開けにされたポテトチップスと、ペットボトルのコーラ。そして近くで座り込み、ゲームをたしなむ助手、佐伯理乃の姿があった。
もちろん、いつもの仕事着ではない。一回りサイズの大きいTシャツに、デニムの短パンという超絶ラフな格好で、普段依頼人が座るはずのソファーの上に足を折りたたんでいた。
どうしてこんなにも自由に理乃が生活しているのか、理由は一つしかない。
所長の不在。
蓮はこの日の朝早く、朝食を食べてすぐに近くの図書館に行ってしまったのだ。
つまり、理乃を見張る人物がいなくなる。その結果がこれだ。
理乃は「ほっ」とか「やっ」とか声を上げながら、ゲームに熱中していた。
ちなみにこのゲームは、理乃が実家から持ってきた旧型のものだ。
すると、
……ピーンポーン……
かすれたチャイム音が鳴った。
理乃は渋々ゲーム機を置いて、ドアに向かう。
この事務所には、インターホンがない。事務所は絶賛休業中のため理乃は宅配便か何かだと思っているが、それは必ずしもそうとは限らない。
「はーい!どうなさい、ましたか……」
ドアを開けた途端、理乃は固まった。
玄関の前に怪訝そうな表情で立っていたのは、
名探偵、綾小路賢人だった。
そこからは、もう大変だ。
「う、うわあああっ!!見ましたね、今、確実に見ましたね!」
理乃は慌ててドアを閉め、隙間から賢人を睨みつける。
「見ていない。Tシャツ短パン姿のお前など、見ていない。」
「やっぱり見てるじゃないですか!ヘンタイ!」
「へ、ヘンタイ…。」
「とにかく、待っててください!要件は着替えて(事務所を片付けて)からお聞きしますので!」
それだけ言うと、理乃はぴしゃりとドアを閉めて、鍵もかけた。
そして5分後。
「お待たせしました、どうぞお入りください。」
Yシャツと黒い長ズボンに身を包んだ理乃が、実に恨めしげな表情でドアを開けた。
「どうしたんですか、こんな時期に。」
「実は、蓮に用があってきたのだが。」
「蓮さんは現在外出中です。私が代わりにお伺いいたします。」
「ほお、それなら話は早い。お邪魔させてもらうよ。」
賢人は一つ礼をすると、事務所に入る。それを見届けた後、理乃はゆっくり扉を閉めた。
「コーヒーは、苦手ですか?」
キッチンの冷蔵庫を覗き込みながら、理乃は尋ねる。
「いや。」
「今コンビニのカフェオレしかないんですけど、良いですか。」
「大丈夫だ。」
「よかった。」
理乃はパックのカフェオレを取り出し、なるべく高級そうな感じになるようにガラスのコップに注ぎ、賢人に手渡した。
「それで。ご用件は?」
「いうまでもないだろう。事件の依頼を持ってきたのだ。」
「おっ、来ましたね。」
理乃は椅子に座りなおすと、身を乗り出して意気込む。
「で、どういう依頼ですか?事件?事故?」
「落ち着け、理乃君。二つとも外れだ。」
「じゃあ、一体なんですか?」
「現場の確保だ。」
「……?」
理乃は頭の上に『?』をいくつも浮かべ、目をぱちくりとさせる。
「えー、細かく説明するとだな。ここから少し離れたところに、繁華街がある。そこの一角にあるクラブが、最近怪しい動きをしているという情報を入手した、だからその怪しい動きの正体をつかんでほしい、という依頼だ。」
「はい。で、私たちはどうすれば。」
「潜入捜査だ。」
「ええっ!賢人さんご存じですよね?蓮さんはそういう類の依頼が特に苦手だ、って。」
「ああ、知っている。だから、捜査の実行役は他の人にやってもらおうと思っている。」
「誰ですか?ほかの人って。」
「言うまでもない。理乃君、お前だ。」
「…ん?」
理乃は言葉の意味が分かるまで少しの時間を要した。
そして、
「えーっ、私が!?」
大声をあげた。
「ああ、そうだ。」
「嫌ですよ!潜入捜査って、変装とかするでしょうし。それに、私ってほら、助手ですし。」
「探偵をフォローするのが助手の務めだろう。探偵の苦手な調査を助手がやるというのは、かなり理にかなっていると思うが。」
「ま、まあそうですけど…」
理乃はすっかり困ってしまい、頭を抱える。
「で、でも蓮さんが許してくれるでしょうか?」
「その許可を得るために今日は事務所に来たというのに。全く、いちいち手間取る男だ。」
「私、連絡先繋がっているので、電話できますけど。」
「そうか。許可が取れ次第すぐに調査を開始したい、今すぐにお願いする。」
(それって許可が出る前提じゃない。でもまあ蓮さんの事だし、許可はしないだろうな。蓮さんああ見えて結構プライド高めだし)
理乃はそう思いながら、ポケットのスマホを取り出した。
「OK!?」
理乃は大声をあげて立ち上がった。
『どうしたんだよ、理乃。聞いてきたのはお前だろ?』
「で、でも、私…」
『いいんじゃない?なんか、楽しそうじゃん。』
「そんな軽い気持ちでOKしないでください!」
『はは、冗談だよ。ただ、いい経験になりそうだなーって、思っただけ。行ってきなよ。』
「ええ…」
『じゃ、もう切るよ。そろそろ司書さんに怒られそうだし。』
「ちょ、ちょっと」
何か言う前に、強制的に通話は切られた。
そして理乃が顔を上げると、目の前でにやつく賢人が。
「それは、許可をもらったと判断しても、良いだろうか。」
「うう…。」
理乃はうなだれて、がっくりと肩を落とした。




