表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FoxBoxで異世界放浪記  作者: 風詩
189/603

竜人の里

セティに手を貸しながら、サラザールの背に乗っていく。

全身が堅い鱗に覆われざらざらしている為、

確かに座り心地はお世辞にも良くないようだ。

そこで異空間収納アイテムボックスから毛布を取り出し、

クッション代わりに敷いていき、セティが落ちないよう前に座らせる。


「鞍でもあれば良かったのですが、誰かを乗せる機会などありませんでしたので…」

「大丈夫だ、気にしないでくれ」

「始めはゆっくりと飛びますが、落ちないよう私の鱗に、しっかりと掴まっていて下さいね」


この始原の森の樹はかなりの高さがあるのだが、サラザールが羽ばたくと、

瞬く間に上昇し、一気に森の上へと到達する。


「わぁ、凄い景色・・・」

「では、行きますよ」


次第に地上との距離が離れていくと、冷たい空気が肌を刺す。

セティが寒さに震えていた為、予備の毛布を取り出し体に巻き付けていく。


「ありがとう。カルは平気なの?」

「ああ、これくらいなら大丈夫だな」


サラザールの飛翔速度はかなりのもので、

あっと言う間に始原の森はおろか、広大な平原や険しい山を軽々と飛び越えて行く。

飛び立ってから数時間が経った頃、目の前に一際険しい岩山のようなものが見えて来る。


「見えてきましたよ。あれがカラドニア渓谷です」


そこはまるで、大地を2つに引き裂いたかのような、

高く険しい二つの岩壁が、更に奥の高い山まで続いている。

岩壁の上には森林が広がり、間には大きな川が流れており、

人を寄せ付けない秘境のような場所だった。


「凄い景色だね」

「まるで未開の地に来たみたいだな」

「ここは地形のせいもあり、我々以外立ち入る事が難しい場所ですからね。目の前にある山の麓に、竜族の集落があります」


岩壁に沿って飛行し、山の近くまで行くと、地上の開けた場所に集落が見える。

サラザールは、その集落の外にある広場に降り立った。

着地には気を使ってくれたようで、衝撃を感じる事は殆ど無かった。


「着きましたよ。ここが我等竜人族の住まうカイリンの村です」


半日ぶりの地表に足を付け、ぐぐっと背伸びをし周りを見渡すと、

武器を持った竜人ドラゴニュート達が、こちらへとやって来る。


「戻ったか、サラザール。こちらが例の客人か?」

「その通りだ。全員武器を下ろせ、客人に失礼だろう」


サラザールの一言で、全員が武器を下ろし警戒を解いてくれる。

いくら最長老が客人として呼んだからといって、

交流の無い他種族の者が来たのだから、警戒するのは当然だ。


「カル殿、セティ殿、村の者達が失礼を致しました。もし、お疲れで無いのであれば、このまま最長老様にお会いになって頂いても宜しいでしょうか?」

「セティは大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ」

「それでは、こちらへどうぞ」


サラザールに案内されたのは、

村の奥にある石作りの大きな神殿のような建物だった。

すると、サラザールは入り口の横で立ち止まる。


「私が案内出来るのはここまでです。中で最長老様がお待ちですので、どうぞ」


二人だけで神殿の中に入ると、中は簡素な造りで装飾の類などは無い。

また、相当古い建物のようで、所々破損も見受けられる。

更に奥へ進むと巨大な祭壇があり、

そこには巨大な白い竜が身体を休めていた。


「あれが、最長老か?」

「サラザールさんより大きいね・・・」


サラザールが竜化した姿も十分に大きかったが、

目の前にいる白い竜は更に数倍大きいようだ。

更に、その存在感にも圧倒される。

今まで様々な魔物と戦ってきたが、そのどれとも違う気配を放っている。

仮に、この竜が敵として現れた場合、到底勝てる気がしない。

ゆっくりと祭壇の前まで行くと…。


「二人共、良くぞ遠い所まで来てくれました。私は最長老の一人、白竜と申します」

「それで何故、俺達をここへ?」

「フフ、そう警戒しなくても大丈夫ですよ。今回二人を呼んだのは、頼みたい事があるからです」


とりあえず、敵対する心配が無いだけありがたいが、

彼ら程の存在が俺達に頼みとは一体どんな事なのだろう?

すると、祭壇の右側から二人の男性が中へ入って来た。


「白竜よ、その者達が例の?」

「見た目はただの人間のようだが、本当に大丈夫なのか?」

「客人に失礼ですよ。この二人は天竜と黒竜といって、同じく最長老です」


二人は人の形をしているが、その存在感は白竜と同じか、

いや、強さだけなら白竜よりも上かもしれない。


「それでは、二人を呼んだ訳をお話ししましょう」


俺達が呼ばれた理由、それはある特別な卵を預かって欲しいという事だった。

竜が卵を産むのは数百年に一度。

しかし、200年前、白竜さんが産んだ卵が、

通常であれば10年、遅くても20年程度で孵化する所が

いくら待っても一向に孵らないのだそうだ。

既に死んでいるのかとも思ったそうだが、

耳や手を当てると、しっかりと強い鼓動の音が伝わって来る為、

そのままずっと温め続けていたのだが、それでも全く孵る様子が無いそうだ。

流石にこのままでは良くないと思い、どうにか出来ないかと神に祈った所、

自分とセティであれば解決出来ると予言が下されたそうだ。


車、壊れたとです…(/ω\)ブレーキは優しく踏みましょう・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ