表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FoxBoxで異世界放浪記  作者: 風詩
178/603

ダンジョン攻略・其の18

この凄い気配の持ち主は、恐らく神様なのは間違いないだろうが、

まずはこの威圧を止めて欲しい。


「神様、この子達が怯えていますので、力を抑えて貰えますか?」

「あら、ごめんなさいね。でも、あなたは平気なのね?」

「凄い気配は感じますが、魔力が無いのでそこまでは」

「ふーん?魔力も無いただの人間なのに、よく平気でいられるわね?ああ、あなたが戦神の愛弟子ね?噂は聞いているわよ。あの馬鹿の修行に耐え、魔界を生き延びた変なのがいるってね」


変なのは余計だが、神界ではそんな噂が流れているのか。


「それで、さっきのスライムは神様の弟子だったんですか?倒しちゃいましたけど…」

「ふふ、安心なさい。殺られる前にちゃんと助けたから。あんなのでも一応、私の弟子だからね。それはそうと、名乗るのが遅れたわね。私は魔神よ、宜しくね」


魔神?それはいつぞやの魔人達の神という意味なのだろうか?


「失礼ね。あんな野蛮な連中の神になった覚えは無いわよ。私は魔法を司る神。彼らが崇拝するいつわりの神とは格が違うし、比べられたくも無いわ」


心を読まれるのはもう慣れているので何も言わないでおこう。

しかし、字は同じでも、根本的に違う訳だ。


「それじゃ、この勾玉は魔神様が預かっていた物ですか?」

「ええ、そうよ。ただ、普通に渡しても面白くないから、弟子を倒せたら渡そうと思ったのよ」


お願いですから普通に渡してください。


「それじゃ、ここの本当の階層ボスは…」

「そんなの、貴方達が来る前に私の弟子が倒したわよ?邪魔だったし」


階層ボスが何かは分からないが、憐れだ。


「そんな事より、お願いがあるんだけど」

「神殿ですか?まぁ、構いませんけど…」

「本当!?嬉しい、私どうしても美容製品が売ってある「ドラッグストア鈴木」に行ってみたかったの。でも、聞けば美容製品だけの専門店もあるって言うじゃない?良ければテナントもお願いしたいなーって」


魔神様は化粧品や美容品が欲しい訳だ。

あの手はどれも高いから、気を付けて欲しいものだ。


「失礼ね。あの飲んだくれの戦馬鹿と一緒にしないでくれる?それじゃお礼は前払いするわね。その子、セティといったわね。ナギの娘にしてはまだまだみたいね。私の加護を上げるから、もっと頑張るのよ」

「魔神様の、加護?」

「私の加護があれば、あなたはもっと強くなれるわ。もちろん努力は必要だけどね」


セティが授かったのは魔神の加護で、魔法系統の能力が強化されるようだ。


「それから、エース!出て来なさい」


魔神様が出てくるよう呼びかけると、

砂の中から先ほどのスライムがぴょこんっと現れた。


「私の弟子のくせに、あっさり負けてんじゃないわよ!帰ったら基礎から鍛え直しよ!」

「・・・・・・・・・」ぴょんぴょん(歓喜)

「その前に、ここのボスから出たドロップ品があるでしょ?あなたには必要無いものだから二人に渡しなさい」


スライムはぷるぷると震えると、身体から麻布で包まれた物を吐き出し、

目の前に差し出して来る。


「これは?」

「貴方達が来る前に、ここの階層ボスが隠し持っていた物よ。うちのエースが倒した時に手に入れたのだけど、あなたにあげるわ」

「あ、ありがとうございます。それじゃ俺達は先に進みますね」

「何を言っているの?ここが最下層よ?」


何とここが、ロストークのダンジョンの最下層だった。

しかし、エースというスライムは一人で最下層のボスを倒したって事か。

最後のボスは、一体何がいたのか凄く気になるのだけれど…。


「それじゃ私達は帰るわね。神殿と化粧品を楽しみにしているわ」

「了解しました」

「それから、最下層のボスが次に湧くのは大体一週間後だから、待つだけ無駄よ?」


そう言って魔神様とスライムのエースは、霧のようになって目の前から去って行った。


「見透かされていたか」

「ちょっとだけ見たかったね。それで、その中身は何が入っているの?」

「確認してみよう」


巻かれていた麻布を解いていくと、一振りの剣が入っていた。

鞘から抜くと、片刃の長剣が姿を現す。

どことなく刀に似た造りで、鍔が付いていない物だった。


「刀に似ているが、随分と刃が薄いな」

「でも、綺麗な剣だね。鑑定してみるね」

「そうだな、一応ボスから出た物だし、きっと値打ちがある物だろう」

「・・・風の魔剣・バルムンク、だって」

「・・・魔剣?」


※風の魔剣:バルムンク

オリハルコン製

古代のドワーフが、失われた技法で作り出したと伝えられる伝説の魔剣。

風の魔力を秘めており、一振りで相手を複数に斬り刻む事が出来るとされる。

使う者の魔力量で威力が増す為、剣と魔法の両方を取得する必要がある。


「これ、凄い物なんじゃないの?」

「多分、ヤバい奴だな。でも、売れば魔神様の神殿建てる時の足しになるかもしれないぞ」

「そうだね。私は勾玉が手に入ったから満足」


久しぶりに勾玉が手に入ったが、一体いくつ集める必要があるのだろう?


「今頃ナギは、どうしているだろうな」

「そうだね、お母様とお話ししたいな…」

「電話がある訳じゃないからな。ナギの力が回復したら、向こうから連絡があるんじゃないか?」

「うん、そう言っていたけど…。箱庭に連絡取れるアイテムって、売ってないかな?」

「そう都合の良い物は無いと思うが、帰ったら探してみるか」

「うん!」


そう簡単に方法が見つかるとは思えないが、もし仮にそんな魔道具でもあれば、

多少高くとも、セティの為であれば購入してあげたいと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ