薬のお値段
アンダリアさんは額に手を当てながら、とても悲しそうな目でセティの作ったポーションを見つめている。
「言っておくけど、これでも私は錬金術アカデミーで上位の成績だったのよ。そんな私が大枚叩いて材料を厳選した上で、三ヶ月もかかって作ったのが、この猛毒液だったのよ?それをこんな幼い子が初めて作った薬に一瞬で解毒されるなんて、アンタ一体どんな育て方をしてきたのよ!!」
「さ、さぁ…?」
「そんなに凄い猛毒だったんだ?私って凄いのかも。」
セティ、さり気なくドヤ顔するんじゃないよ。
というか、アンダリアさん。
今さらっと言っていたけど、そんな毒を一体何に使う気だったのか、そっちの方が気になるよ。
「それにこれ、解毒以外にも色々な効能が含まれているんじゃないの?私の作った猛毒には他にも効果が・・・。」
「解毒と麻痺、後、眠りと混乱にも効くように気付けの効果も付いているよ?」
「ちょっとアンタ!子供に何て物を作らせているのよ!!」
作ったのはセティなのに、何故か俺が怒られてしまう。
どうやら複数の状態異常を治す事の出来るキュアポーションは、上級のキュアポーション以上の価値があるらしい。
「凄く頑張って作った。」
「おだまり!」
※ペシッ!(額)
「あうっ!」
どうやら思っていたより、凄い効果のある薬を作ってしまったらしい。
自分達で使う分には素晴らしい薬なのだが、これでは気軽に売る事が出来ないかもしれないな。
アンダリアさんからは、良くない連中から狙われる可能性もある為、絶対に言いふらさないようにと念を押される事になる。
協議の結果、ハイポーションはそのまま売りに出す分と、効果を薄めた2つを販売する事になった。
ハイポーションは高ランクの冒険者や貴族、商人であれば決して高い買い物では無いからだ。
但し、キュアポーションに関してはこのままの状態ではとても売りに出せない為、薄めて効果を下げた方が良いとアドバイスを受ける。
「それで、薬をうちに納品してくれるのかい?」
「この街にいる間で良ければ、納品出来ると思いますよ。」
「そういえば商業ギルドには登録してるのかい?まだなら納品出来無いから注意してね。」
何かを取引する際には商業ギルドを通さない違法になる為、今後の事を考えると登録しておく必要がありそうだ。
また、アンダリアさんは商業ギルドにポーション納品の依頼書を出しているそうなので、登録の際に納品する事にしよう。
宿屋に戻り、再び箱庭でセティが2つのポーションを薄める作業に取り掛かる。
作業は簡単に済むそうで、ハイポーションを薄めた場合、1本で20本に。
ハイキュアポーションを薄めた場合は30本となった。
「薄めた物とそうでない物で、名前を分けておきたいな。」
「それなら今回作った物をハイポーションと、ハイキュアポーションと呼んで、薄めた物をヒーリングポーションとキュアポーションにしたらどうかな?」
それから自分達用にもいくつか所持しておきたいのでハイポーションとハイキュアポーションを一人3本ずつ手元に残し、残りは納品する事にしよう。
作業は半刻程で終わり、今回売る予定のポーションは自分達の分を除き、ハイポーション4本、ヒーリングポーション200本、キュアポーション60本となった。
色々削除したら短くなりました(/ω\)




