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FoxBoxで異世界放浪記  作者: 風詩
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呼び出し

温泉で数日ゆっくり疲れを取り、すっかり回復したので

箱庭の外に出て、ビフレストの街に戻る事にした。

街路に出ると、心なしか街の様子が賑やかな事に気が付く。

何かめでたい事でもあったのだろうか?


まずは近くの商業ギルドへ向かう事に。

ギルドの外も中も、多くの商人達が出入りしており、受付嬢達が慌ただしく対応している。

特に急ぎの用がある訳ではないので、またにしようかと思っていたら後ろから声を掛けられる。


「二人共、戻られていたんですね」


声をかけてきたのは、商業ギルドマスター・キアラさんだ。


「お久しぶりです。忙しいようなので出直そうかと思っていた所ですよ」

「何を仰っているんですか。お二人はギルドの上得意様ですよ。アポ無しでいつでも私の所に来て下さい」


そんな事を他の商人の前で言わないで欲しい。

並んでいる商人達からヒソヒソと何か言われているじゃないか。

何でギルマスが直接?上得意様?酒の人だ、石鹸の人だ、狐娘可愛い、挨拶しとくか?

などといった言葉が聞こえてくる。


「あの、出来れば別室で・・・」

「そうですね、では私の部屋へ」


商人達の視線から顔を背けギルマスの部屋へと向かう。


「それで、本日はどんな新商品を持ってきてくれたんですか?」

「はは、石鹸類は種類が多いですから今度見繕っておきます。今日はそれとは別件ですよ」

「種類が多いというのは聞き逃せない話ですが、それでどんな用件でしょう?」

「実は旅先で人魚族と知り合う機会がありまして…」


キアラさんの前に、ジュレリア王国の海中都市カシリアで手に入れた

大真珠や赤珊瑚などを出していくと、キアラさんは目を輝かせていた。


「こ、これはまた見事な・・・。どれもこれも素晴らしい品々ですよ!」

「良かったら少し差し上げましょうか?いっぱいありますから」

「・・・カルさん、それは求婚の申し出でしょうか?大変嬉しいですが、もう少し手順というものが・・・」

「違いますよ?何でそうなるんですか。って、痛い!セティ、何で抓るんだ!?」

「・・・・・・・・・」ぷいっ


結局、カシリアから持ち帰った真珠などは、全て買い取る事は出来ないと言われ、

5分の1を引き取ってもらう事になり、詳しい査定後にお金を振り込んでくれる事に決まる。

その後、倉庫へ行き、卸している商品を補充してから次の場所へと向かう。


次に到着したのは冒険者ギルドだ。

中に入ると、依頼を受注している冒険者達で溢れていた。

今日は依頼を受ける気はないので、そのまま解体所の方へ向かい、

カウンターで書類仕事をしているロランさんの姿を見つける。


「どうも。また、解体をお願いしてもいいですか?」

「おぉ、兄ちゃん達か。もちろんだ、何でも解体するぞ。で、今日は何を持ってきてくれたんだ?」

「それが、名前が良く分からないんですよ。教えてもらえると嬉しいです」

「よし、それじゃ倉庫へ行こう。どうせまた珍しいもんを一杯持ってきたんだろ?」


ロランさんの後を付いて行き、指定された場所に魔界で倒した魔物達を出していく。


「これは一匹しかありませんが、この2首狼と白い猿は一杯ありますね」

「・・・何だこれは?俺でも見た事が無い魔物だと?新種か亜種か?」

「珍しい種類なのかもしれませんね?」

「ちょっと待っていろ。資料に載っているといいんだが…」


ロランさんは奥にあった分厚い本を取り出し、魔物の種類を特定してくれようとしている。

記載されているモノだといいな。


「私、鑑定で名前だけなら分かるよ?」

「本当か?それなら話が早いぜ。名前が分かれば探しやすいからな」

「えっと・・・。猪がイビルボアで、2首狼がオルトロス、白いお猿さんはデビルマンドリルだね」

「・・・待て。今、オルトロスって言ったのか?兄ちゃん、これ、どこで倒したんだ?」

「えーっと、何処だったかなー?」


不味い。ここで魔界に行って倒しました、なんて言ったら相当ヤバい事になるぞ。

何かこう、上手い言い訳を考えないと…。


「兄ちゃん、誤魔化しても無駄だぞ。これ全部、魔界の魔物だぜ?」

「そ、そんな事無いと思いますけど…」

「オルトロスは魔界にしか生息していないんだよ。俺は昔冒険者で解体歴も長いが、他の二つも見た事がない。と言う事は、全部そういう事なんだろ?」

「・・・バレちゃいましたか。流石ロランさん、鋭いですね」

「煽てても無駄だぞ。いいか?魔界ってのは、大昔、勇者様にしか辿り着く事が出来なかったとされ、魔物は桁違いに強いし、魔王すら超える存在がいると伝えられているような特別な所だぞ」


魔界は想像通り、物騒な場所だったんだね。俺、よく生きて戻れたな。


「それじゃ買い取りは…」

「正直、値段を付けるのが難しい素材だ。そこで相談だが、うちを信用してくれるなら魔物を預けて欲しい。査定にはちょいと時間がかかるが、こんなお宝、他のギルドに渡す訳にはいかないからな」


という訳で、全ての魔物を引き渡し、査定後に料金が振り込まれる形となった。

ちなみに、素材の出所は極秘扱いとなるそうで、

情報は全て、ロランさんとギルマスのラバンさんだけの扱いにするそうだ。


「戦神様の修行、後で聞くつもりだったけど、怖くて聞けなくなったよ」

「あの修行は、そうだな…思い出すと今でも寒気がするよ」


地獄のような一週間は、二度と思い出したく無い。

用事も終わったので、ギルドを後にしようとしていたら、声を掛けられる。


「カルさん、セティちゃん。いらしてたんですか」

「ラピリスさん、お久しぶりです」

「良かった。お二人が来たら連絡するよう通達が来ていたんですよ」

「誰からそんな通達が?」

「領主のデニス様からです。大至急、屋敷へ来るようにと」


この後向かうつもりではあったが、一体どんな用事があるのだろう?


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