お守り材料採取
森の探索にでたアレンは、傷に効きそうな薬草や植物、木の実なんかを収穫しながらアリスが倒れた場所へと向かっていた。なにかしらの手掛かりがないか調べるためだ。
「ヒールベリーと、あとイタドリ草が少なくなってきてたな…少し取っていくか、あとは…」
アレンはアリスの治療だけではなく、身を守るためのお守りを作れないか森の中を散策する。
「あった…吸魔の蔓、おっと!危ない…よしっと」
吸魔の蔓…近づいた生き物に蔓をのばし締め上げ、魔力と養分を搾り取る恐るべき植物だ、魔獣ですら絡み取りその養分にすることすらある。
その植物の攻撃を躱し、手に持つナイフで根元から切る。すると攻撃性は無くなりただの蔓のようになった。
「次は…先に水のほうかな」
そういって木々が生い茂る山へと入っていくアレン。
水といってもただの水ではない…アレンが欲しているのは清らかな水、ブナンの浄水である。
「ブナンの樹、この樹の水穴は……ここかな?よっと!」
コォン!!
…ジョロロロロロロロ
樹を触りながらどこか場所を確認しつつ鉄の棒のようなものを差し込む…すると少ししてから勢いよく樹から水があふれてきた。
「よし!当たりだね!浄水ゲット!」
ブナンの樹…水を吸い上げ樹の中で不純物を取り除き浄化する樹。水穴という水が出てくる穴があるが、個々の樹によって場所が変わるため発見は至難の業、間違った場所に穴をあけると水が腐る。
ブナンの浄水は非常に美味しく、そのまま飲んでも多少の回復効果すらある。
「後は花の方なんだけど…この時期ならもう咲いててもおかしくないはず」
今度は日が良く差す山頂の方へと足を向けるアレン…断崖絶壁の山肌を苦もなく飛び上がっていく。
山の天辺に近づいたとき…山肌に人一人が入れるほどの横穴があった、そこに入っていくアレン
「よかった…数は少ないが咲いてるものがあった」
そこには天井にあいた穴から差し込む光に照らされ、自らも銀色の光を放つ花があった…その花の名前は
「…守護の聖花、すこしもらっていくよ」
守護の聖花…悪意あるものの接近や、身の危険を感じると花全体を覆うサイズの障壁を展開する魔法花である。この障壁は強固で剣での物理攻撃はもちろんのこと、魔法攻撃でさえ傷一つつかないという。
アレンは守護の聖花に近づく…すると花が咲いているものはすべて障壁を展開した。
焦ることなく近くの守護の聖花に近づくアレン、そのまま両膝をつき…ひたすらに待った…守護の聖花が自分の近くにいることを、害がないことを認めさせるためである。長い森での生活でアレンはどうすれば収穫できるかを熟知していた。
時間にして約2時間…微動だにしなかったアレンの目の前で守護の聖花の障壁が消える。
ゆっくりと…慎重に根ごと掘り起し、守護の聖花の収穫に成功した。
「ふぅ…これでよし、あとは周囲の捜索して帰りますか」
山を下り、今度こそアリスが倒れた場所へとまっすぐ進んでいった。