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すべて本物

適当に小説の題名を決めたのですが、知り合いからこうしたら?と、いろいろ意見を受けまして…小説の題名を変更いたしました。


無自覚チート戦記 ~女騎士を助けまして…~


になりました。

今度ともよろしくお願いいたします。


「それじゃ、冒険者ギルドに行ってきます」

「はいよ、いってらっしゃい」


アレンは依頼を受け、森へと探索に出た翌日…『春の夜明け亭』で朝ごはんをいただいた後に冒険者ギルドへと出かけた。

昨日受けた、依頼の【ラープ草】の納品のためだ。

ついでに【ラープ草】以外にも採ってきた薬草なんかも買い取ってもらえれば嬉しいなと思っている。


カランカラーン


冒険者ギルドへ入る。

朝ごはんを食べてから来たものの、この時間帯でも酒を飲んでいる他の冒険者の姿が見られる…彼らはいつ仕事をしているのだろうか?そんなことを思いながらも、そのまままっすぐ受付へと歩いていく。


「おはようございます」

「おはようございます、ご用件は?」

「依頼を受けた物の納品に来ました」

「分かりました。ではギルドカードの提示をお願いいたします」

「はい」


受付嬢に言われるがまま昨日渡されたカードを差し出す。


「お預かりします。…!?Bランク…名前は…ッ!しょ、少々お待ちください!」

「??」


受付を担当してくれた女性はギルドカードを確認するや否や、建物の奥へと走っていってしまった。

しばらくそのまま待っていると、奥から昨日アレンの登録を担当してくれたターニャが小走りで現れた。


「お待たせいたしました!アレン様!本日はどの様なご用件で!?なにかお分かりにならないことでもございましたか?」

「いや…さっきの人には言ったんですが、依頼の品の納品に…」

「あぁ!申し訳ございません!アレン様が来たことは知らされたのですが、用件までは聞いていませんでしたので!」

「かまいませんよ、納品はここでいいんですか?」

「受付で一度、報告していただいたあとに倉庫に近くにある確認場に提出していただく形をとっております、こちらになります」


そういって確認場へと案内をはじめるターニャ、アレンはその後ろについていく。


「言い忘れておりました…当分の間、アレン様の担当は私、ターニャが専属で担当いたしますのでよろしくお願いします」


なるほど…最初に受付してくれた女性がターニャを呼んでくれたわけか。

しかし、専属…これが普通なんだろうか…。


「こちらこそよろしくお願いします。…しかし、専属とは…他の冒険者の方も?」

「…いえ、これは特例になります。なにせアレン様の冒険者登録の時点でいろいろと前代未聞のことがありましたので…その際に受付をいたしました私がそのまま専属で、ということになりました」

「なるほど…」


ターニャの言う事は間違っていないが、本当のことでもない。

ギルドの上層部はアレンの戦闘力の高さを脅威と感じ、それを悪用しないかなどの監視のが必要だと感じたのだ。

そのために受付の1人をアレン専属にし、少しでも親密になり話が聞ければという狙いがあった。

そのため受付嬢の1人であるターニャがアレンの専属となったのだ。


そしてそれは別にターニャがやるように、という上層部の命令ではなかった。

誰かがアレンの専属となる…その話があがった時、受付嬢である女性たちの眼が変わった…言うなればこれから戦場へ赴く戦士の様な目つきに。

若く、見た目麗しく…そしていきなりBランクに認定されるほどに強い。おまけに礼儀正しいアレンは受付嬢にとっては超優良物件…未婚で、恋人がいない受付嬢にとっては、なんとしても関わりを持ちたい人物になっていたのだ。


それからすぐに受付嬢同士の…激しくも静かな戦いは始まった。

時には相手への借りを、時には相手の弱みをチラつかせながらアレン専属の座を奪い合ったのだ。

遠目からだとにこやかに話しているはずなのだが、なぜか悪寒や寒気が…そういったこともあり、一時的に受付嬢へと近づく人が減ったほどだった。


アレンが冒険者登録を終え、1日たって今日…そんな静かな戦いの末、アレン専属の座を勝ち取ったのがターニャだった。最初に担当したのもなにかの導きと感じ、その名の通り命がけで専属の座に収まったのだ。あの手この手で他の受付嬢を追い落とした…その方法は…この場では語りきれないので割愛する。


「こちらになります」


とにかく、念願の専属の座を手に入れたターニャは満面の笑みでアレンへと対応している。

今は納品場所の説明をしているところだ。


「このテーブルの上に品物を出していただくようになっております。品物はすぐに担当の者が検分いたします、アレン様、こちらにお願いいたします」

「分かりました」


アレンは言われるがまま、昨日採ってきた【ラープ草】を空間魔法から出しテーブルへと乗せる。


ドサッ…


「なっ!?こ、の…量は…」


採ってきた【ラープ草】をすべてテーブルに乗せるとターニャが驚いているようだった。


「これで全部ですね…どうしました?」

「これ…すべて【ラープ草】ですか?【ラープ草モドキ】…では?」

「一応確認しながら採ったので間違いないと思いますが…」

「…分かりました。すぐに薬草担当の検分官を連れてまいります」


そう言うとターニャは急いで人を探しにいった。

少しすると数人の男たちを連れて戻ってきた。


「お待たせしました。彼らが薬草担当の検分官になります。それでは今から確かめさせていただきますね。みなさん、お願いします」


ターニャが男たちに声をかけるが…テーブルの上に乗っている薬草の山を見てため息をつく。


「…あ~、ターニャ嬢ちゃん…ターニャ嬢ちゃんが急いで呼びに来るからなにかと思えば…こんな量の【ラープ草】をいきなり一気に採ってこれるわけねーだろ」

「そう、ですね…いくらなんでもこの量は…確実に大半は、いえそれ以上は【ラープ草モドキ】でしょう…」

「まったく…これだから新人は、とりあえず数だけとりゃいいと思いやがって」


口々に文句を言い始める。

それもそうだろう…上級回復薬の原料となる【ラープ草】を山のように採ってこれる人などいない、これが当たり前で常識なのだから。おおかた、本物と偽物の判断がつかないから手当たり次第に採っていたのだろう、そういう認識をされてしまったのだ。


「…それを確認するためにあなた達を呼んだのです。いいから早く自分たちの仕事をなさってください」

「ちっ…分かったよ、おい!さっさとやって仕事に戻るぞ!」

「「「へ~い」」」


ターニャに注意を受けた検分官たちはゆっくりとした動きで…非常に気乗りしていないようにテーブルへと近づき、検分を開始した。


そして…検分を初めて数十分後…

そこには何度も何度も…アレンがテーブルの上に出した薬草を確認する検分官たちの姿があった。


「ば、ばかな!この量すべてが【ラープ草】だと!?ありえんっ!」

「こ、こちらも間違いなく!すべてが【ラープ草】です!」

「こっちもだ…どうなってるんだ」

「…すべて、本物…」


検分の結果…そのすべてが間違いなく上級回復薬の原料、【ラープ草】であることが確認された。

そのことに一番驚いているのは検分官たちだ…最初はしぶしぶとやっていたが、十数本を確認した時には本気になって検分をしていた。

むしろ【ラープ草モドキ】を探すかのように必死になっていたほどだ。


「…では【ラープ草】の採取依頼、間違いなく達成となります。報酬をお支払いたしますので受付の方へお願いいたします」


昨日の今日でアレンのやることに少し耐性がついたターニャがアレンへ受付へと案内しようとするが、そこでアレンが待ったをかけた。


「ターニャさん、他にも使えそうな薬草や山菜を採ってきてあるので見てもらってもいいですか?」

「…それは、もちろん構いませんが…」


どこかためらうかのように返事をするターニャの許可をもらい、空いているテーブルへと他の薬草等を空間魔法で出すアレン。


ドサドサッ!!


「……」

「これで全部ですね…こちらもよろしくお願いします」


そう言ってテーブルの上に出したのは、昨日森で採ってきた【ヒールベリー】、【上甘草(じょうかんぞう)】、【反魂草(はんごんそう)】、【般若(はんにゃ)にんにく】などだ。

呆然とするターニャや検分官たちに対し、良い笑顔でお願いするアレン。


その後、確認場はアレンが持ちこんだ見たこともないような薬草、山菜などでしばしの間荒れることになった。



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