登録完了
更新が遅れました。
申し訳ありません。
アレンの魔法の威力を見て気絶したエリック。
「あ~らら、エリックちゃん気絶しちゃったわん…無理もないけど」
「この場合の俺の冒険者登録はどうするんですかね…というか、ジュリアンさん、傷そのままですけど大丈夫なんですか?」
「ふふ…これくらいなんともないわぁ~すぐに治るわよん!」
「…やはり化け物か」
気絶したエリックを放置しつつ会話を交わすアレンと、先ほど模擬戦をしていたジュリアン。
アレンがツッコみを入れたとおり、ジュリアンはアレンとの戦いの際に負った全身の傷はそのままである。
アレンの問いに対し、サイド・チェストを決めながら笑顔で答えるジュリアン…そんなジュリアンを見てアレンは苦虫を噛んだような顔をする。
「ターニャさん」
「ふぇ…!は、はい!アレン様!!」
このままでは話が進まないと思い、いまだ放心状態の受付嬢、ターニャへと声をかける。
エリックの放置は継続中だ!
「これで冒険者登録、できますよね?」
「も、もちろんです!今すぐにでも!!」
「助かります」
「で、では!少々お時間をいただきます!…あ、ジュリアン様!」
「なにかしらん?」
「アレン様との戦闘の際のお話も聞きたいので一緒に来ていただけると助かります…ついでにエリックさんも引きずって来てくれると助かります」
「了解よん」
ターニャはそのまま小走りでギルド内へと急ぎ…
ジュリアンは気絶しているエリックを肩に担ぎ、ターニャのあとを追っていった。
「じゃまたねん♪アレンちゃん」
「…また」
「ふふふ~ん♪ふふふ~ん♪」
アレンへと軽い挨拶をし、ギルド内へと入っていくジュリアンだが…その右手は担ぎあげたエリックのお尻へと伸び…ご機嫌で撫でまわしながら歩いて行った。
そんなジュリアンの様子を見て、できるだけ関わり合いになりたくねぇーな~!と心から思いつつも、この先、否が応でも関わり合いになるんだろうな~と半ば諦めているアレン。
…少し重くなった足取りで2人の跡を追うようにギルド内へと入っていった。
それから約2時間…アレンはいまだ、冒険者登録をできずにギルド内の一室にいた。
さすがのアレンも不機嫌さが表に出ている。
一緒の部屋にいるのは受付嬢で、アレンの冒険者登録を担当するターニャと、今回の騒動の関係者であるジュリアンである。
ターニャはテーブルの上に置いてある情報端末を操作しつつ、不機嫌になっていくアレンに気が気でないようだ。
「…だいぶ時間が経つんですが、まだ冒険者登録はできないんでしょうか?」
アレンの言葉にビクッと体を撥ねさせるターニャ。
アレンの実力はこの目で見たばかりだ…アレンほどの強者を無意味にずっと拘束していることに対し、平気な態度を取れるほどターニャの神経は図太くはない。
「…もろもろの手続きはほとんど終了しました、しかし、1つだけ問題がございまして…」
「問題…ですか」
「は、はい…アレン様のランク、なんです」
「…ランク?」
今回のアレンの冒険者登録…一番問題なのがアレンのランクだった。
普通、登録した時のランクは決まって一番下のEランクである。場合によっては登録時に決められた相手と模擬戦をし、その実力が認められればDランクからのスタートもあり得る。
しかし、アレンの場合は非常に特殊だ。
剣での模擬戦では、冒険者最高ランクのジュリアンとの戦闘で勝ち…その後の突発的な魔法の試験においては、ギルドの訓練場に設置してあった【淡魔石】を消し去るという前代未聞のことをやって見せたのだ。
戦闘能力ならばすぐさまSランク…なのだが、ギルドの決まり上、そう簡単には行かない。
まず、登録した時の最高ランクはDランクまでと決められている。
そして依頼をこなしつつ、経験を積み、実力を認められた場合にはCランクに昇格する。
そしてCランクからBランクへの昇格は実力だけではない…。
Bランクからは実力と共に信用性が大切になってくるのだ…依頼の達成率や、人格などが問題ないと判断された人物のみBランクより上に行けるのだ。
Bランクから上はそれなりに冒険者ギルドでの活躍と信頼度を必要とするため、いきなり高ランクの冒険者になることは今までに無かった。
そういったルール上の問題に加え、ギルド内の職員の意見も分かれていた。
ギルドの決まりに法り、Dランクからにすべきだという意見…実力を鑑みてAランクにし、高難度の依頼を受けてもらうべきだという意見…さまざまな意見が飛び交い、アレンの冒険者登録が遅れていたのだった。
ターニャが操作している情報端末には現在進行形でアレンの処遇に関することが送信され続けている。
その処遇が決まり次第、ターニャからアレンへ、すぐに登録完了の知らせを伝えることになっている。
ちなみにほとんどのギルド職員はアレンのランクをAランクにすべきだと言う意見が多い…中にはもうSランクでいいのでは?という者までいたほどだ。
しかしそれに待ったをかけたのが誰であろう、ギルド責任者のエリックである。
アレンの力は危険すぎる…こちらのいう事を聞かずに暴走する恐れがあるなど、冒険者登録自体をやめるべきだとまで言い反対した。
それはアレンに対する怒りと…そしてなにより恐怖からくる言葉だった。
前例がないことゆえに、すんなりとは登録できずにただただ座って待っているだけのアレン。
正直、アレンはランクについてはどうでも良かった…当面の目標はアリスが迎えに来るまでの生活費稼ぎだ…そのためある程度の金銭が稼げればなんだってよかったのだ。
そんなアレンにとってはどうでもいい決定を待っている時間にもとうとう終わりがきた。
「!…大変お待たせいたしました。アレン様」
ターニャの持つ情報端末にアレンへの処遇が決定したのだ。
「アレン様の実力を見せていただき、ジュリアン様のご意見を含め、ギルド職員での話し合いの結果…アレン様の冒険者ランクは…Bランクからのスタートになりました。おめでとうございます」
「あら~すごいわねぇ~…いきなりBランク、一流と言われるランクスタートなんて」
一緒に話を聞いていたジュリアンからも声があがる。Sランクの冒険者ですら驚くことだ…それほどまでに今回のランク決定は異例なのだろう。
「正直申し上げますと、Aランクでも問題ないかと思うのですが…反対する人もおりますので、Bランクという形に落ち着きました、なにか御不満はございませんか?」
ドキドキしながらアレンへと問うターニャ…ここでアレンがごねた場合は上司に丸投げしよう、そうしようと心に決める。
「構いませんよ、それでお願いします」
アレンはすぐさま頷いた。
とくにかく早く登録を終わらせたいアレンにとってすでにランクはどうでもいい。
「わ、分かりました!では、アレン様、冒険者登録…Bランク、こちらが冒険者カードになりますので無くさないようお持ちになってください」
そういいつつ、情報端末から1枚のカードが出てきて…ターニャはアレンへとそのカードを渡す。
少し厚く、丈夫そうなカードである…色はシルバーで、アレンの名前とランクなどが記入してあった。
「そのカードを使用し、すべての依頼の達成や、依頼の棄権などを管理しています。依頼を受ける際や、達成した時にギルド受付にそのカードを提出してください。また無くした場合には再発行にお金がかかる上、カードがない場合には依頼を受けることができませんので注意してください」
「分かりました」
どうやら冒険者ギルドではこのカードがないと依頼を受けることができないようだ。
無くさないようにターニャの言葉を心に留めるアレン。
「なにか質問はございますか?」
「…依頼を受けるにはどうすればいいんですか?」
「入り口にある掲示板から受けることができます。この後すぐにご説明いたしますので、どうぞこちらへ」
無事に冒険者登録を終えたアレンは、ターニャのあとを追って依頼が貼ってある掲示板へと歩いて行った。




